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kikippa
アートと音とともに、日々を重ねる、平野紗季子と三宅香帆が語る「自分らしい色」。
耳を塞がずに音を楽しめるオープンイヤー型イヤホン「kikippa」から、「異彩を、放て。」をミッションに障害のイメージ変容を目指すクリエイティブカンパニー「HERALBONY」のアートを纏った新モデルが登場する。「kikippa meets HERALBONY」と題したこのコラボレーションでは、耳元を彩る3人の作家による個性豊かなアートが、日常の音体験に新たな彩りを添える。
エッセイストでフードディレクターの平野紗季子と文芸評論家の三宅香帆が、音楽やポッドキャストとの付き合い方、アートを身につける楽しさ、そして「私という多重色。」という今回のコラボレーションのコンセプトについて、それぞれの言葉で語った。

心と記憶に寄り添う、音との付き合い方
――音楽やラジオ、ポッドキャストなど、毎日の暮らしに欠かせない「音」。多忙な日々を送るおふたりは、普段どのようなシーンでどのような「音」を聴いていますか?
三宅香帆(以下、三宅):散歩中や移動の時間は、ポッドキャストやラジオなどの「声がおもしろく聴けるもの」が好きですね。脳内が暇にならなくて、ありがたいんです。逆に、読書をする時は音楽を流すことが多いかな。読書の時間は仕事でもありながらリラックスタイムでもあって、至福の時間なんです。
平野紗季子(以下、平野):私もポッドキャストを聴いていることが多くて、実はあんまり音楽は聴かないんです。でも必ず聴いてるなと思うのが、旅先からの帰りのタクシーの中。街やホテル、レストランで出会って気になった曲を保存しておいて、帰り道に聴き返すと沁みます(笑)。その時の感情とか記憶をしまっておくような感覚で、宝箱みたいに音楽を使っていますね。
三宅:音楽を聴くと、そこに集中することで逆に「何もしない時間」が作れるじゃないですか。音を聴く時間って、疲れている自分を現実から少しトリップさせてくれるような、大事な余白なのかもしれません。

街の音も、自分の時間も。日常に寄り添う、耳を塞がない音体験
――オープンイヤー型イヤホン「kikippa」は、耳を塞がずに周囲の音を取り込みながら自分だけの音を楽しむことができます。実際のつけ心地や、音の聞こえ方はいかがでしたか?
平野:kikippaは、耳を開いたまま自分の聴きたい音を聴けるのがいいですよね。私はとにかく散歩が好きなので、予定が空くとふらっと街に出て気になっていたパン屋さんに行ったりするんです。その時も、外の音がちゃんと入ってくるから、街とともにいられる感じがして。イヤホンを外さなくてもお店の人と会話できるし、音楽が流れている中で街の音も自然に重なるのがすごく癒やされました。
三宅:いままでは「イヤホン=耳の穴に入れるもの」という感覚だったのですが、これは柔らかくつけられて感動しました。音楽を聴いている間も外の世界の音が入ってくるほうが、むしろ安心なんだなって。家で本を読みながら音楽を聴いていると、洗濯機が終わった音も聞こえなかったり、夫に話しかけられても気づかないことがあって(笑)。kikippaなら周囲の音も聞こえるので、家でのリラックスタイムにぴったり。
最近は、オーディオブックを聴きながら家事をしたり、お子さんの送り迎えをしている方も多いみたいですよね。忙しいとなかなか本が読めなくなってしまいますが、こういうデバイスを使って”耳から本を読む”のもリフレッシュになってよさそうです。
平野:仕事も家のこともちょっとずつ”ながら”で回していくような、いろんなことをグラデーションのようにこなしながら生きている人の在り方は、とてもしなやかで素敵だなあと思います。だからこそ、日々の生活に開かれた状態で寄り添ってくれるアイテムがあるって大切なことですよね。

エッセイスト/フードディレクター。小学生の頃から食日記をつけ続け、大学在学中に日々の食生活を綴ったブログが話題となり文筆活動をスタート。現在は、菓子ブランド「(NO) RAISIN SANDWICH」の代表や、ラジオ/Podcast番組「味な副音声」のパーソナリティを務めるなど、活動は多岐に渡る。著書に『生まれた時からアルデンテ』『ショートケーキは背中から』など。
デバイスに体温を吹き込む、個性豊かなアートたち
――今回、kikippaからHERALBONYの契約作家のアートが落とし込まれた3つのコラボモデルが登場しました。
三宅:高田祐(たかだ ゆう)さんの「迷路」が好きです。いろんな色が重なり合っていて、「どうやって遊んでもいいし、どんなふうに受け止めてもいいよ」って言ってくれている感じがします。
平野:私は伊賀敢男留(いが かおる)さんの「夜景」に惹かれました。ビル群から漏れる明かりを見ていると、「そこに暮らしがあるんだ」と圧倒される感覚があって。それを美しく表現されているなと。黒が好きなので差し色として身に纏いたいです。
三宅:fuco:さんの「イクツモノスタートチテン」も鮮やかな色がkikippaのデザインと合っていて素敵ですよね。「スタート地点」というタイトルから、「初心って大事だなあ」なんて思いを馳せたり(笑)。どの作品も本当に素敵なイメージを膨らませてくれるので、タイトルのコンセプトから選ぶのもいいなと思います。イヤホンって無機質なものが多いので、アートの要素があること自体がうれしいですよね。「これに合わせて何を着ようかな」って考えるのも楽しそう。

――また、今回は音楽家のharuka nakamuraさんとコラボレーションしたオリジナル楽曲「A Walk in Dialogue」も制作されています。
平野:暖かい毛布に包まれているような感覚になりました。街のざわめきのような声も入っていて、心が澄んでいくような美しい曲ですよね。うまくいかなくて「今日は絶望だ!」みたいになった気分の時に聴いたら、穏やかになれる曲だなって思います。
三宅:音楽で身体がリラックスモードに入るとか、癒やされモードに入るって、もしかしたらこういうことなのかもって思いました。夜眠る前とかに聴くと、リフレッシュできていい気持ちで眠れそうですね。

文芸評論家。高知県生まれ。小説や古典文学やエンタメなど幅広い分野で、批評や解説を手がける。著書『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』『「好き」を言語化する技術』等多数。2025年「新書大賞」を史上最年少で受賞。第76回NHK紅白歌合戦ゲスト審査員。
経験を重ねてしなやかに。”多重色”の私を受け入れる
――コラボレーションのコンセプトでもある「私という多重色」という言葉から、おふたりはどんなことを感じますか?
三宅:若い頃は明るい色の服ばかり着たかったんですけど、年齢を重ねると、いろんなレイヤーを足したくなるんですよね。「いろんな色があって自分なんだ」っていう感覚のほうが、いまの私にはしっくりきます。
平野:すごくわかります。私は黒い服が好きなんですけど、以前、パーソナルカラー診断をしてくれた友人から「黒は似合わない」と言われて(笑)。でも「好きな色を着ればいいや」って思ったんです。その時々で違う自分がいて、「この色だ」って一つに決めなくていいんですよね。
――年齢や経験を重ねる中で、ご自身の「色」や価値観の変化は感じますか?
三宅:昔は仕事で大失敗をしたり、うまくいかないことがあると引きずっていたんですけど、最近は「己がしょうもないことを受け入れよう」というモードになってきて(笑)。「寝てないと落ち込みやすいな」とか「甘いものが食べたい時は疲れてるサインだな」とか、自分のパターンが少しずつわかってきたんですよね。
平野:私は昨日、家を出る前に鍵が見当たらなくて(笑)。「私は一体何をしているんだ……」と落ち込むこともあるけれど、「仕方ない」「ないものはない」って、割り切れるようになった気がします。無理に取り繕ったり、大きく見せようとしなくてもいいのかなと。
三宅:動いて頑張る時間も大事ですけど、そうやって”自分のしょうもなさ”も受け入れつつ、感覚を整える余白を持つことが同じくらい大事ですよね。
平野:本当にそう思います。一見エゴイスティックに聞こえるかもしれないけど、自分を癒やしたり楽しませたりする時間を意識して確保することが、結果的に人との関わりで優しくなれたり、自分自身をゆるせるようになったりする。そうやって小さな時間を重ねていくことが、すごく大事なのかなって思います。

「いろんな色があって自分なんだ」「この色だって決めつけなくていい」という言葉のように、迷った日や立ち止まった時間も、すべてを層のように重ねていくことで、「私という多重色。」が出来上がっていく。忙しい日々の終わりにkikippaを耳に添えれば、それは自分を優しくほどくための、ささやかな時間になるのかもしれない。
平野紗季子と三宅香帆が出演する「kikippa meets HERALBONY」オリジナルポッドキャスト番組「おやすみ前の、ひと呼吸。」が、全3話配信中。ふたりが今日の出来事や日々の感情に、そっと寄り添う言葉を交わしているので、おやすみ前のひととき、心地いいトークに身をゆだねてみては。
「おやすみ前の、ひと呼吸。」 Episode 01.私という色。
kikippa meets HERALBONY
https://kikippa-meets-heralbony.com
三宅香帆着用アイテム:イヤリング¥55,000、チャーム¥22,000、シルバーのリング¥19,800/以上アガット(アガット 0800-500-5000) パレットリング¥33,000、2連リング¥31,900/ともにTEN.(TEN. 092-409-0373)
- photography: Mirei Sakaki
- text: Mikako Tsutsumi
- hair make(平野紗季子): kika
- styling(三宅香帆): Kenshi Kaneda