毎日15分、ドロテ・ジルベールと一緒にフィットネス!

パリとバレエとオペラ座と。

7月末、オペラ座エトワールのドロテ・ジルベールによるフィットネスのDVDが発売される。現役のトップダンサーによる世界初のバレエ・フィットネスには、興味津々。バレエをしない女性でも、このエクササイズによってバレリーナのように贅肉がそぎ落とされた体、きれいな姿勢、シェイプされたボディラインが得られるというのだから、これは見逃せない。

ワークアウトは パーツごとの筋肉トレーニング5分、バレエの要素をとり入れた有酸素運動5分、ストレッチ5分の合計15分が1セットという作りで、初級・中級・上級用に分けられている。プロデュースしたドロテに語ってもらおう。

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まずは筋力トレーニングから。脚、お腹、お尻、背中、腕とパーツごとのトレーニング。これで身体が温まるので、次の有酸素運動へと進める。

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バレエの要素を取り入れたオリジナルトレーニングの有酸素運動。

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最後にストレッチで身体のアフターケアを。この3要素の286パターンの組み合わせがDVDには含まれ、各人のニーズに応える。

簡単で効果的。ヨガマットが1枚あればいい。

「するべきことが山ほどある現代人の暮らし。オフィスで長時間座ってばかりで、ちっとも活動的じゃないじゃない。だけどこうした人たちが、ではスポーツジムに行こう! と思っても、ジムとの往復時間が必要だし、ジムに着いたら着替えもあるし、終わったらシャワーを浴びて……となって、それだけの時間を生み出すのは大変でしょう。その点、このDVDの利点は自宅で朝でも夜でも好きな時間にヨガマットを敷いて、すぐに始められること。道具も何もいらないので、誰でもとても簡単に取り組めるの。週に一度長時間やっても効果はなく、1日15分を規則正しく続けることが大切。朝でも夜でも、自分ができる時にすればいいだけ。このDVDは人々の日常生活に、スポーツやウェルネスの観念をもたらすものね。あらゆる人が対象よ。もちろん、痩せたいと願う女性にも 毎日続ければ必ず効果があるわ。ダンス的なエクササイズも取り入れているので、クラシックバレエを踊れる身体のように細長く筋肉がつきます。男性がダンベルを持ってつける筋肉とは違って……」

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撮影開始前に、自分がするべきことのメモをきっちりと準備。

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ダンサーでなくてもできるものを、ということを大切に考えたドロテ。準備に際し、youtube などで既存のワークアウトをいろいろと研究してからプログラムを組んだそうだ。photos:Mariko OMURA

ドロテは過去にヨガ、ピラティス、ジャイロトニックなど、体のためにさまざまなことをトライしている。この初DVDのプログラム作りに取り組むために必要な知識は、こうして培われていた。身体への意識がより高まったのは、妊娠がきっかけだそうだ。

「このDVDで見せていることは、出産後、まだ朝のクラスレッスンに出ない時期に、私がやり出したことが出発点。その後バカンスに出たときに実践しているワークアウトが、大きなインスピレーション源ですね。バカンス先だとスタジオのようなバーがなくても、こうしたことならヨガマットさえあればできるので……」

クラスレッスンのない休暇中、彼女が行う筋肉トレーニングの部位は主にお腹と背中、そしてヒップも少々とか。

「つまり休み明けにダンスを再開するときのための、体幹トレーニングですね。背中とお腹の筋肉ががっしりしてないと、クラシックバレエを踊れないでしょ。体幹がしっかりすれば背骨が守られることになるので、1日座って仕事をする人にもとてもいいですよ」

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撮影の合間、一瞬リラックス。輝くような笑顔が美しい。photo:Mariko OMURA

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三日坊主で終わらせない!

実際にDVDに合わせて、やってみないことには。だが、始めても続けなくては効果が得られない。この手のワークアウトDVDはすでに何度かトライしたものの、三日坊主で終わってしまったという人もいるのではないだろうか 。このDVDでは、各運動の途中に絶妙のタイミングでドロテが“Courage(頑張って)!”と、声をかけてくるのがとても印象的。これで、頑張る気力がかき立てられるのだ。

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疲れたな、と感じる頃、ドロテから“頑張って!”と優しく声をかけられる。photo:Mariko OMURA

「これは計算でも演出でもなく、ごく自然に私から発されていることばよ。このDVDの撮影において、私は周囲にいる人々と一緒にやっているというイメージを持っていたのね。それで私自身が疲れを感じたら、それは一緒にやってる人も同じ状態ということでしょう。それで、さあ頑張って続けましょう、と励ます気持ちで、“Courage!”と言っているの。やり慣れないことをしてる人たちだから、ぜひ続ける意欲を持って欲しくって」

優しさのこもった彼女の励ましの声は、耳にとても気持ち良く響く。これは女優デビューを果たしたドロテならではの強みだろう。

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筋肉は酸素が必要。運動中、呼吸するのを忘れないように。ドロテがどう呼吸するかもチェックして。photo:Mariko OMURA

さて初級、中級、上級用に分かれているワークアウト。どのタイミングで、初級から中級に、中級から上級にと進むのだろう。

「それは各自のリズムね。上のレベルですることを見てみて、自分にもできそう!と感じたら、上に進めばいいの。初級のエクササイズはベーシックで単純なものばかりだけど、中級、上級になると腕と脚の動きのコーディネーションが少し複雑になるのね。何かしらスポーツをしてる人なら、難しすぎるということはないでしょう」

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短時間を毎日続けることが効果を得られる秘訣だが、撮影は短期間で行われた。撮影中、田中良パーソナル・トレーナーがハードワークをこなすドロテをしっかりとケア。「スポーツをし慣れない人は無理をせず、休憩を挟みながらするのがいいでしょう」とドロテのアドバイス。photo:Mariko OMURA

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フィットネスDVDの次は何を?

映画にも主演し、こうしてドロテ・メソッドと呼びたくなるワークアウトも発表し、さあ、ダンス以外の分野で次は何を手がけるのだろうか。

「このDVDでした仕事の延長上みたいなことで、友人がウェルネスをテーマにした豪華クルージングのためのプログラムを考案中なんです。たとえば船上での1週間、食事もとても健全なもので、途中こうしたフィットネスのクラスがあって、というクルージング。私がそのためのレッスン内容を組み立てて、そして実際にツアー中にクラスを持つわけですね。“ウェルネス・クルージング・バイ・ドロテ・ジルベール”といったパッケージをフランチャイズ化して、さまざまなクルージング・ツアーで、というが友人のアイデアなの。自分自身のケアをするというのは、流行りという以上に最高の贅沢という時代。アメリカでヨガパンツをはいた女性たちの姿が街中でみられるのも、それゆえでしょ。グルテンフリー、シュガーフリーのレストランが増えているのもその表れね。自分を大切にすることへの意識が高まっているいま、このDVDのように簡単にできるフィットネスがより求められるだと思うわ」

9月で35歳になるというドロテ。彼女の話を聞いていると、フィットネス方向に進むことも42歳のオペラ座引退後の活動の選択肢のひとつと思わせる。

「ありえない、とは言えませんね。でも、これだけを毎日の仕事にするつもりはないわ。オペラ座引退後、何よりも自由を満喫したいので。入団以来、毎週金曜に次の週の予定がわかるという暮らしを続けていて、医者のアポをとるのも、ちょっとしたことも予定するのが難しい状態です。だから、引退後は誰にも拘束されない自由な暮らしをしたいし、1カ所に縛られるのも嫌。だからフィットネスのプログラムを作ることはあっても、自分の学校を開くようなことは、私の考えにはないわ」

パリのファッションやジュエリーの世界からもモデルとして声がかかるドロテなら、ウエアのデザインなどに興味を持っても不思議がなさそうだが……。

「ほかのブランドのためのデザインをするのではなく、いつか自分のブランドを持てたら、といった願いはあります。でもそれには資金も必要だし、これはまだまだ夢の段階にすぎません。それに何かをやるからには、私は中途半端なことはしたくないので」

このように何事にも全力投球し、自分の最高を求めるのもドロテが評価されるポイントである。『オネーギン』の悲劇のヒロインを踊ろうが、『リーズの結婚』でお茶目な田舎娘を踊ろうが、彼女の舞台は技術的にも芸術的にも常にパーフェクト。エトワールとして10年以上舞台を務めている彼女は、いままさにアーティストとしての頂点にいるといっていいだろう。

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DVDにはボーナス映像として、特別インタビューに加え、『瀕死の白鳥』のパフォーマンスも。photo:James Bort

「若いときに比べると、30歳くらいからかしら、疲労回復に時間がかかるようになったのは確かよ(笑)。以前は毎晩舞台があっても大丈夫だったけれど、いまは間に1日必要、という感じで。でも年齢を経るというのは経験が増えることで、それゆえに芸術的にも精神的にも進化があるの。同じ作品を繰り返し踊れば身体も覚えるので、年をとることが助けになっているといえますね」

この夏は、東京で3年に一度開催される世界バレエフェスティバルに初出演することを彼女はとても喜んでいる。

「これは世界中から素晴らしいダンサーが集結する有名なバレエの祭典。バレエ人生で一度は体験したいと願っていたので、とても嬉しいわ。世界有数のダンサーたちがどう踊るのか、を見るだけでもとても良い経験となるし……」

8月1日からスタートするフェスティバルではA・Bプログラムを終えた後、8月15日のガラにも出演する。通常そのガラの最後に行われるバレエファン待望のファニー・ガラが今回もあるのなら、ぜひ何か踊ってみたい、とすごく意欲的だ。

この公演のため来日するドロテを迎え、7月29日にこのDVDの購入者を対象にした発売記念特典会イベントがチャコット渋谷本店で開催されることが決定した。写真撮影会とポストカードプレセントからなるイベントの詳細は、以下のリンク先にて。
www.universal-music.co.jp/other/news/2018-07-parisballetfit

「DVD製作に関わった人たちからの前評判もとてもいいのよ。約120分と予定より長いものになってしまったのだけど、カットするのは惜しいからって、長いままで販売されることになったと聞きました。でも、何よりも実際に購入し、実践した人たちに満足して欲しいですね。それが一番大切なこと。毎日ちゃんと実行する人には、効果を保証するわ!」

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DVD『ドロテ・ジルベール、パリ・バレエ・フィット』(¥5,400/ユニバーサルミュージック)は7月25日発売。言語はフランス語、英語、日本語、中国語。
https://sp.universal-music.co.jp/parisballetfit/

大村真理子 Mariko Omura
madameFIGARO.jpコントリビューティングエディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。

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