パリ2月のマルシェ 「冷え込む夜は熱々のヴァン・ショーを」
パリのマルシェとレシピ。
セーヌ川の氾濫に加えて久々の大雪に見舞われた2月のパリでしたが、まだまだ寒さは厳しくとも、マルシェを歩くと、ああ~春が来た!とうれしくなります。
今年になって、週末になると足繁く通っているのが、19区にあるEmmaüsエマウス(Abbé Pierre神父が創設した貧困者救済のためのリサイクルショップ)とLe 104。
今、自宅を改装中なので、マレの古いしつらえの部屋に合うものを探しているところなのですが、根気強く行っていると、突然お宝に巡り合うものです。
19世紀後半に造られた葬儀場が10年前の大きなリノベーションで文化施設として生まれ変わったLe 104。毎週土曜、Bioの小さなマルシェが立ちます。
親子で楽しめるアトリエやExpo、この春はコンテンポラリーダンスのフェスティバルが話題に。カナルサンマルタンに住んでいた頃には、よく朝の太極拳に通ったものです。
この中にあるLe café caché でひと息つくか、
Rue Riquetの橋を渡ってBob’s bake shopへ。
焼きたてマフィンやアメリカンコーヒーでNY気分を味わってから、いざマルシェへ!
ある雪の朝、お手製のカメラでRue Riquetの橋の上からSNCF(国鉄)の線路を撮影する人。それぞれに、雪の日を楽しんでいますね。
さて、やっとマルシェに到着!いの一番にチェックするのは魚屋さん。
ここが良いのは、普通は束売りのCouteauxクトー(マテ貝)が量り売り。全体の鮮度も悪くない。
出てきた出てきた!魚卵を見ると春。産卵シーズンの晩春までが美味しいので、毎年タラコを仕込みます。
向かいの鶏専門店には、入手困難な鶏ガラが、ぼんじり付きで売られています。これはラーメンのスープ用に。
同じ列を先に進むと、イノシシが目印の大好きな肉屋さん。寒くなるとロワール県の農場Le Haut Boisの塩漬け豚肉を買ってPotéeポテ(煮込み)を作ります。
自家製のハムやソーセージ、フランスのおふくろの味風な惣菜も充実。でも、やっぱり、ここのスペシャリテは大人気のパテだな。私は ”Paté de tête de la ferme”という、コラーゲンたっぷりの頭肉のものが一番好き。
いつも野菜は隣りのここで。親切、鮮度良く、お値段も下町らしい。
大好物の根菜が揃っています。瑞々しい大根はポテと漬物用に。トピナンブールはキンピラ用に。金色の蕪やパネも今がおいしい時期。ここのジャガイモは驚きの甘さ!だったので、さらにリピート。
どのスタンドも柑橘祭り。イタリアのBioオレンジを大量買いして冬のビタミン補給に。
店先には ”Pousses de Bruxelles et de chou frisé ” と表示されていましたが、日本でケールと芽キャベツを掛け合わせて作られた品種だそうで、フランスでも栽培されているとは知りませんでした。
珍しいので早速、春ならではの”蕾ごはん”にしてみます。その様子はインスタで。
今日は、最近のデモンストレーションで好評のVin chaud (ヴァン・ショー) ホットワインをご紹介します。普通は赤ワインで作るのですが、白ワインに旬の柑橘(無農薬のもの)と、それに合うスパイスをたっぷり入れて作ります。
■『ヴァン・ショー・ブラン』
Vin chaud blanc
-材料(4人分)
白ワイン(ソービニヨンなど好みのものを) 400ml
リンゴジュース 400ml
砂糖(お好みで) 大さじ2
*スパイス*
シナモンスティック 2本
カルダモン 大さじ1
丁子 5~6個
八角 2個
オレンジ 1個
ベルガモット(またはレモン)1個
ナシ(またはリンゴ)1/2個
ショウガ 20g
1.柑橘を皮付きのまま輪切り。ショウガも皮付きのまま薄切り。
ナシは皮を剥いてから小さめに切る。
2.鍋に全ての材料を入れ、弱~中火で沸騰直前まで温めて、火からおろす。
ゆっくりと火を通して、スパイスの香りがワインに移るようにする。
鍋の代わりにStaub のポットを使っているのですが、これはテーブルにそのままサーブ。保温性が高いので多めに作って少しずつ楽しみます。
オレンジとスパイスの香りでリフレッシュ、そして、体がジーンと温まってくる…おいしい!
寒い日のおもてなしのウエルカムドリンクにすれば、もてなす側の気持ちが伝わって、ゲストにも喜んでもらえそうですね。
■Marché couvert La Chapelle
10, rue de l'Olive 75018 Paris
メトロ)12番線 Marx Dormoy 駅下車
営)火~土曜8時30~13時、16時~19時30 日曜8時30~13時
料理クリエイター
長い間モードの仕事に携わった後、2003年に渡仏。料理学校でフランス料理のCAP(職業 適性国家資格)を取得。 パリで日本料理教室やデモンストレーション、東京でフランス料理 教室を開催。フランスの料理専門誌や料理本で、レシピ&スタイリングを担当。2016年春、ベジタリアン向けの料理本『LA CUISINE VEGETARIENNE』をフランス全土と海外県、ベルギー、スイス、イギリスなどのヨーロッパ各地で発売。この連載をまとめた『パリのマルシェを歩く』(CCCメディアハウス刊)が発売中。
Instagram : @haradasachiyo