パリから農園へ! 採れたて野菜で作る「大人のポテサラ」
パリのマルシェとレシピ。
パリから南、車で1時間のエッソンヌ(Essonne)の農園へ出かけてきました。
ロックダウンの最中から、パリジャンたちがこぞって探しているのは、メゾン・ド・カンパーニュ(田舎の家)。普通、そう聞くと“別荘”という意味合いが強いのですが、実際に住む家として移住を考えている人たちが増えているということです。
パリを少し出るだけで、こんな素敵な家々があります。
人の多い都会のオフィスに通わなくとも、テレワークで事足りることが分かって以来、いままでの生活を見直して快適に過ごしたい、子どもを自然の中で育てたい、という若いカップルたちに人気のエリアは、パリから電車もしくは車で1時間圏内のノルマンディ方面。思い立った時に海に出かけられるからでしょうか。なので、そんなところはかなり高騰しているとか。
いつも農園に一緒に行く友人も、家を探しているところなので、行く先々の治安や利便性を見たり、不動産の相場を調べたりしておもしろがっています。
私の方は、いつか自分で育てた野菜で料理をしたい!という夢があるので、理想の生活を疑似体験しているようなつもりで、農園を訪ねるのが楽しみなのです。
今日の農園トルフー(Torfou)のあるエッソンヌという土地は、古くから農業が盛んな所で、のどかな田園地帯が広がっています。パリのマルシェにスタンドを構えているのは大概ここの人たちです。
畑に到着すると入り口に“本日収穫できるもの”と値段のパネルが。
ここは、Les cueillettes Chapeau de Pailleという組織が1985年から運営しているもので、旬のものを安く、太陽の下、家族で収穫を楽しめるところが人気。パリを中心とするイル・ド・フランス地域圏に10カ所、それ以外のフランス国内に23カ所あり、年々増えています。
ワインの自然農法でよく聞く言葉ですが、“アグリクルチュールレゾネ”(Agriculture raisonnée、農薬や化学物質の使用を極力避けて、健康な土壌や自然環境を守る農法)を実践していて、独自に作りだしたコンセプト“アグリレスペクト(Agrirespect)”地球環境をリスペクトしながら栽培することを心がけているそう。
これはミツバチ、てんとう虫たちのホテル。
感心したのは、人間を助けてくれる虫や動物たちとの共存。アブラ虫を食べるてんとう虫、受粉をやってくれるミツバチ、果実の木や野菜につく害虫を食べる鳥シジュウカラやハリネズミ、畑を荒らす野ネズミを餌にしているフクロウたちもそれぞれに巣箱を作ってもらい大切にされています。
これからの農業の良いプロトタイプですね!
至る所で、てんとう虫たちがいい仕事しています。
畑の中のマップを見ながら、欲しいフルーツや野菜のある場所へGO!
いちばん人気のいちご畑へ真っ先に。


八百屋では1年中あるズッキーニも、いまの露地ものは格別です。
圧巻、トマトのカーテン! 強風、病気や害虫から守る栽培がなされている様子。
色づいたものから夢中で収穫していると、あっという間にカゴがいっぱいになりました。


これらも夏野菜の王道。
虫食いの跡がいっぱいのキャベツを見て、ほっとします。
インスタで、ロンドン在住の陶芸家さんのアーティチョークの天ぷらを見てから早速作り、そのおいしさにびっくり! それ以来ハマっています。
家に帰ってから今日の収穫を見て、“さて、何を作ろうかな?”と、また楽しくなる。
ほかにも赤いフルーツをたっぷり採ってサラダなど作りました。(詳しくはインスタへ)
今日は、新じゃがを使った“大人のポテサラ”を。これはフランスに来てからずっと作り続けているものですが、ワインに合うので、多めに仕込んで数日楽しみましょう。
冷やしたロゼワインと一緒に、薄切りしたバゲットにのせてアペリティフにもぜひ!
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■ポテトとサーディンのサラダ
Salade de pomme de terre et sardines
ジャガイモ 500g
空豆(さやから出して) 20個(又は枝豆でも)
赤玉ネギ 1/2個
パセリ 2茎
セミドライトマト(又は生ミニトマト) 5個
オイルサーディン(又はサバ缶やツナ缶でも) 1缶
ケッパー 大さじ2
<ヴィネグレット>
オリーブ油 大さじ2
米酢(又は穀物酢、ワインヴィネガー) 大さじ2
ニンニク(おろしたもの) 小さじ1/5
塩 小さじ1/5
コショウ 少々
ー 作り方
1. ジャガイモの皮を剥き、1cmくらいの厚みに切ってから水に晒し、かぶるくらいの水と塩(分量外:水1リットルに対して10g)を入れ茹でる。竹串がすっと通るようになったら火を止めて湯切りする。(暑い時季は、時短のために電子レンジで加熱しても良いと思います)
2. ジャガイモを茹でている間に、空豆を沸騰した湯で2分程茹でて湯切り。冷めたら薄皮を剥く。
3. 赤玉ネギを薄く輪切りにして水に晒し、辛味を抜く。パセリをみじん切り。セミドライトマトを小さめに切る。
4. ヴィネグレットの材料を器に入れ混ぜ合わせて、ジャガイモが茹で上がったら、熱いうちにかけて味をなじませる。そのまま冷まして粗熱が取れたら、サーディン、ケッパーと2、3の材料を入れてざっくり混ぜる。(味見して足りなければ塩を加えてください)
*ヴィネグレットに刻んだアンチョビを入れるのも美味。好みでレーズンを加えても。
*温かくても、冷やしてもおいしい。酢やレモンを多めに利かせると日持ちがします。
たまに昭和風のポテサラが無性に食べたくなって作ることもあります。母のレシピは、さっと炒めた玉ネギ、ハム、塩揉みキュウリ、茹で卵、リンゴやミカンの缶詰めが入っていたなあ、と懐かしく思い出しながら。
子どもの頃のおいしい記憶は、いつまでも身に沁みついて残っているものですね。
43 Grande Rue 91730 Torfou
tel:01 60 82 91 11
Instagram:@cueillette.de.torfou
農園の楽しいビデオはこちら。
料理クリエイター
長い間モードの仕事に携わった後、2003年に渡仏。料理学校でフランス料理のCAP(職業適性国家資格)を取得。 パリで日本料理教室やデモンストレーション、東京でフランス料理教室を開催。フランスの料理専門誌や料理本で、レシピ&スタイリングを担当。2016年春、ベジタリアン向けの料理本『LA CUISINE VEGETARIENNE』をフランス全土と海外県、ベルギー、スイス、イギリスなどのヨーロッパ各地で発売。この連載をまとめた『パリのマルシェを歩く』(CCCメディアハウス刊)が発売中。
Instagram : @haradasachiyo