リサイクル品と自然がお出迎え。ようこそ我が家へ!

PARIS DECO

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Audrey Gallier/オードレー・ガリエ
コンセプトストア「Sept Cinq」共同創立者

 

ビジネス・スクールで知り合ったロルナ・モケとともに、2012年秋にコンセプトストアの「Sept Cinq(セット・サンク)」をパリ9区にオープンしたオードレー・ガリエ。店内はふたりの自宅に招かれたような気にさせる、コージーなアパルトマン風内装が魅力だ。ようこそ! と温かく迎え入れてくれる雰囲気は、オードレーがパートナーと暮らすアパルトマンにも満ち溢れている。

オードレーとパートナーのヴァンサンが暮らすのは、蚤の市でおなじみクリニャンクールからそう遠くない18区だ。アパルトマンの明るい黄色の扉を開けると、リビング・ダイニングが広がる。通りに面したふたつの窓の間、パリのアパルトマンに珍しく、どことなくロンドン的なインテリアを思わせるレンガの壁が目を引く。

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左:壁の下に隠されていたレンガを工事中に発見。白い壁を周囲に残し、額縁にレンガがはめこまれているイメージにした。
右:オードレーの暮らしに植物は不可欠。鉢はお気に入りのアンソロポロジーのロンドン店で見つけた。パリにも3階建てくらいのブティックができないか、と夢見ている。

 

「1年前にここに越してきた時に、すっかり自分たちで作り変えたのよ。このリビング・ダイニングは2部屋に分かれていたのだけど、その間の仕切りを取り払ってひと続きの空間にしたの。その際に窓側の壁の下にレンガがあるって、わかって……ふたりして気をつけながら壁を剥がしたのよ。この壁のおかげで、田舎の一軒家のようなオーセンティックな感じが生まれて、これはとてもうれしいわ」

取り払った壁は天井を支えていたもの。その代わりに天井に渡した黒い鉄が白い壁にアクセントとなっている。ヴァンサンは建築関係の仕事をしていて、オードレーのパパはDIY の実践者。家のこうした改装ならお任せ! という人々に、彼女は囲まれているのだ。そして、彼女のママは裁縫が得意。リビング・ダイニングのブルーと白のストライプのカーテンは、それまで経験のないオードレーがママから縫い物を教わる良いチャンスとなったという。

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オードレーとヴァンサンは自転車派。週末はパリ市内や近郊をサイクリングする。

 

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左:リビング・スペースとダイニング・スペースの天井には、イケアでみつけた籐のランプシェード。
右:玉ふさを手縫いした、自作のカーテン。

 

「ロンドンのアンソロポロジーのブティックで見かけたカーテンが気に入ったのだけどとても高くって……。それでマルシェ・サン・ピエールの布地屋にママと行って、似たような白青のストライプの生地と玉ふさを買ったのよ。ミシンの使い方を教わりながら、自分で縫ったわ。玉ふさは、ひとつひとつ手縫い! アンソロポロジーのに比べて、ずっと安上がりのカーテンよ!」

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左:エマウスでみつけた鳥の額は1ユーロだった。彼女が行くのは、安くて、品揃えも豊富な郊外ロンジュモーのエマウス。
右:静物画のような感じが好き、と食卓には常に果物を飾っている。この器はパートナーからの贈り物とか。

 

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左:暖炉の上にも自然を。パイナップルはロンドンのアンソロポロジーで買ったパフューム・キャンドル。
右:居心地のよいリビング・スペース。
Photos:Mariko OMURA

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子供時代に暮らしたのは、庭のある家。そして夏は、いつも自然の中で過ごしていた。だからアパルトマンの中に庭がないことにフラストレーションを感じるオードレー。

「だから家の中に植木鉢をおき、ドライフラワーを飾り、花を買って、自然を室内に持ち込むことで、快適な雰囲気を作るようにしているの。それに私もヴァンサンも木や籐といったナチュラルな素材が好き。だから、カーペットで隠されていたリビングの木の床やキッチンの床のトメット(昔よく使われていた赤レンガ)をきれいにして、大切にしてるのよ。自然の素材によって、空間にアットホームで温かみが醸し出されるのがいいわね」

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左:レンガの壁の前のグリーン。
右:寝室のグリーン。

 

オードレーとヴァンサンが目指したのは、ファミリーで過ごす田舎の家の雰囲気が感じられる内装。人を優しく迎え入れ、動きたくなくなるような空間作りだった。それについては、様々な場所から集まった不揃いの家具が大役を果たしているといえる。ダイニングテーブルはヴァンサンの家族が持つ田舎の家にあったもので、それを囲む椅子はエマウス(恵まれない人々のためにピエール神父が始めたリサイクル販売)でみつけた。1脚2ユーロとか! リビングの小さなテーブルもエマウスだ。カーペットはオードレーの祖母のおばの品だった、というように、この家にはそれぞれの品に歴史がある。

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由来さまざまな古い家具が仲良くおさめられたオードレーのアパルトマン。

 

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左:不揃いの椅子はエマウスから。このダイニングテーブルは仕事の場でもある。週に一度、ここにブティックのスタッフ全員が集まってミーティングが行われるそうだ。
右:近所の書店が閉店の際に放出したラックを購入。寝室に置いて、雑誌を飾るように並べている。
Photos:Mariko OMURA

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47平米のアパルトマン。ダイニング・リビングの並びが寝室だ。ここは何と言っても、ベッドの頭側の壁のブルーに驚かされる。

「ブルーに塗りたい! と思ってる時に、散歩をしてたら、あるブティックの壁のブルーが目に入ってきて……その色に一目惚れしてしまったの。それが、このル・ブルー・サラと呼ばれる色のペンキよ。夜、寝室ではパフュームキャンドルを灯して、良い香りの中で過ごします。小さな炎をみていると、とても心が休まるの。面白いことに、夜はこのブルーが深みを帯びるのよ。とても素晴らしい色。日中とは別の美しさのあるブルーで……1日の間に、光によって同じ色が異なるニュアンスを醸し出すのって面白いわね」

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ペンキの色はBleu Sarah。パリで人気の室内装飾家サラ・ラヴォワンヌがクリエートした緑がかったブルーだ。

 

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左:ベッドの脇に置いた古い物入れはブロカントで見つけた品。
右:光の種類や当たり方によって、色の見え方が異なる壁のブルー。

 

寝室の書棚を旅行のガイド本が埋めている。新しい景色との出会いや未知の文化との出会いによって豊かになれるから、と旅をするのが大好きなふたり。きっちりと予定をたてず、気の向くままに移動する、ちょっと冒険めいた旅をよくするそうだ。昨年はリュックを背負ってアイスランドを巡った。素晴らしい景色に何度も息を飲み……また訪れたいとすでに夢見ている。今年の夏のバカンスは、ブルターニュからアルカションまで車にテントを積んでの国内旅行。途中ワインの産地で知られたサンテミリオンではぶどう栽培者の家に滞在し、収穫を体験した。その結果、フランス人なのにワインについて何も知らない! ということに気がついて、目下、家の暖炉をセラー代わりにしてワインについて学びながらテイスティングを楽しんでいる。

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寝室の棚の上に、ジュエリーやお気に入りのあれこれを並べて。自然の描き方が旅に誘われるようで心に響く、というお気に入りの画家ルソーの画集も。

 

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左:ウィークエンドハウスのある田舎から持ち帰った花がドライフラワーになり……思い出がある。
右:オードレーとヴァンサンの旅への情熱を伺わせるコーナー。

 

友達はみんな同じ界隈の住民なので、気軽にこの家に立ち寄るそうだ。いつでも暖かく迎えてくれるオードレーのアパルトマン。でも、彼女のインテリア作りはまだ終わっていない。キッチンの調理台の後方にタイルを貼る予定で、すでにうろこ状の薄いタイルを購入してある。バスルームもすることがまだまだたくさんある。玄関の白い壁に壁紙を貼りたいと思うのだけれど、気に入るのが山ほどあって迷いに迷っているそうだ。絞り込んだという3種は、動物の斑のようなTanzania(http://www.aufildescouleurs.com/resort/4906-tanzania.html)、Mimouというブランドの波模様のようなNippon (http://www.wallpaperdecor.com.au/wallpaper/mimou/nippon/)、Cole & Son社のRoyal Garden(http://www.etoffe.com/papiers-peints-design/8327-papier-peint-royal-garden.html#8327-51285)。いずれにしても色は黄色と決めている。さあ、オードレーはどれを選ぶのだろうか。

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左:キッチン。クレープ、ゴーフル、キッシュなどをよく作る。中味は冷蔵庫の中にある素材に応じてアレンジ。
右:ちょっとしたスペースにもグリーン!
Photos:Mariko OMURA

 

Sept Cinq
メイド・イン・パリの品を集めたコンセプトストア。店名はパリの郵便番号である75を意味する。セレクションはオードレーがインテリア、雑貨系を担当し、ロルナがモード関係を担当。
2012年に9区にオープンし、2016年に早くも2号店をレ・アールに。どちらもティールームが併設されていて、日曜のレ・アール店ではブランチも楽しめる。
http://www.sept-cinq.com/ja/
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54, rue Notre-Dame de Lorette
75009 Paris
営)11:00~20:00
休)日・祝

 

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Forum des Halles, 
26 Rue Berger, 75001 Paris
営)10:00~20:00(日 11:00~19:00)
休)なし

大村真理子
Mariko Omura
madame FIGARO japon パリ支局長
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏する。フリーエディターとして活動し、2006年より現職。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。

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