インテリアの老舗が若いクリエイターとコラボレーション。
PARIS DECO
インテリアの世界ではモチーフのデザインをイラストレーターやデザイナーに依頼することがよくあるけれど、近頃の傾向として気になるのは若い才能との活発なコラボレーションだ。
1935年に創業され、パリジェンヌに愛され続けているインテリア界の老舗であるPierre Frey(ピエール・フレイ)。イラストレーターのマラン・モンタギューとのコラボレーションによる壁紙を最近発表した。リュクサンブール公園、チュイルリー公園、植物園といったパリの有名な庭にオマージュを捧げるもので、庭に加えて、それぞれを特徴づけるアイテムのイラストをまるで18世紀の版画のようにマランは描いている。ボート、椅子、ピンクフラミンゴ、アイスクリーム、やしの木……ポエティックで、眺めているだけで、パリ散策へと誘われるよう。
壁紙はグリーンが主体の水彩画バージョンと、同じイラストのモノクロバージョンの2タイプあり(幅140cmで162ユーロ)。
さまざまなメゾンとコラボレーション活動をするイラストレーターのマラン・モンタギュー。
デザイン界のスター、レスリー・ダヴィッドの仕事はモード界、音楽界と幅が広い。そしてその内容もイラスト、グラフィックデザイン、ブランディング……例えばパリのLe GramontやBrasserie Barbèsといったバー・レストランで、帰りがけに持ち帰りたくなるショップカード。これも彼女の仕事だったりする。彼女の明るくダイナミックなグラフィックによる80年調のインテリア・ファブリックが1908年創業のインテリア・ファブリックのメゾンThevenon(テヴノン)から発表された。彼女の子供時代、彼女が愛するミノルカ島がインスピレーションだ。
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レスリー・ダヴィッドのグラフィックがダイナミックなインテリア・ファブリック(各140cm幅/56ユーロ)。
1867年から完璧な絨毯を追求しているアトリエPinton(パントン)。オービュッソン織りの伝統とサヴォワール・フェールを現代に生かす仕事に情熱を燃やすアトリエで、これまでにソニア・ドローネー、アレクサンドル・カルダー、ル・コルビュジエといった素晴らしいアーティストたちと仕事をしている。またパントンの名前はフランスではしっかりとリュクスの世界と結びついていて、オートクチュール・メゾンや高級レストランの床でフランスの卓越した技術を秘かに輝かせている。そのパントンの最新コレボーレションの相手は、エリザ・プーによるMapoésie(マポエジー)だ。彼女のグラフィックデザインはすでにスカーフ、バッグ、クッション、文具などでおなじみだけど、カーペットはこれが初めて。彼女のモダン&ポエティックな世界とパントンにより、2種類の大胆なカーペットが発表された。インスピレーション源はパズル!
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マポエジーのエルザ・プーはパントンとコラボレーション(photo:Nicolas Cruchant)。カーペットElémentは180×250cm。素材はウール95%、バンブーファイバー5%で5,623ユーロ。
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60×90cmのミニサイズの3つの要素が構成するカーペット。使うスペースに応じて1枚でも、2枚でも。各279ユーロ。
madameFIGARO.jpコントリビューティングエディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。