15区のプール付きホテル、手の届く価格で人気上昇中。
PARIS DECO
今年の初夏、15区に新装オープンしたオテル・エッフェル・ブロメ。名前にうたわれているエッフェル塔までそれほど近くはないけれど、庶民的な住宅地の地下鉄駅からそう遠くない便利な立地のホテルである。最寄りの地下鉄駅は12番線のVaugirard(ヴォジラール)。例えばボン・マルシェまで直通で行ける。


87室からなるオテル・エッフェル・ブロメの中と外。


自己申告制のオネスティー・バーを備えた、1階のロビーフロア。
ホテルを擁するのは1931年のしっかりとした建築物なので、内装もそれにあわせてアール・デコ・スタイルで改装された。担当した室内建築家のブルーノ・ボリオーヌは21世紀的タッチを加えて、直線が生きた照明や家具をホテルのためにデザイン。最近パリに生まれるデザイン・ホテルではインテリアにモチーフが多用される傾向があるけれど、このホテルではカーペットとクッションに控えめなモチーフがある程度で、全体的にグラフィックにまとめられている。内装に使われているのは紫檀、皮革、ラフィアなど、高級でエレガントな素材だ。87室あり、そのうちスイート(34〜38平米)は9室。2人なら、テラスからパリが一望できる最上階のスイートルームの滞在も悪くない。


ホテルがあるブロメ通りの33番地には、ジョセフィン・ベーカーが歌い踊った20年代の伝説的キャバレーBal Nègreがあった。今年このキャバレーがLe Bal Blometの名前で再開。このホテルがアール・デコ・スタイルにこだわるのは、通りの持つ歴史へのオマージュだ。
このホテル、パリの中心部になくても滞在したくなる大きな魅力を中庭の地下に隠している。それは、ガラス屋根から自然光が差し込む4×14メートルのプール。決して大きくはないけれど、パリ市内のホテルのプールとしては悪くないサイズだし、宿泊者だけが朝7時から夜の10時まで利用できるのだ。サウナ、ハマムもあり、到着日や観光で歩き疲れた日、あるいはどしゃ降りの日などにこれはうれしいはず。要予約だが、マッサージを受けることも可能。そうそう、客室のバスルームのアメニティグッズはNUXEです!
モザイク・タイルが似合う4×14メートルのプール。


地下のウェルネス・スペースも室内のバスルームも、もちろんアール・デコ・スタイルにまとめられている。photos:Bruno Comtesse
madameFIGARO.jpコントリビューティングエディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。