色の魔術師エルザ・プーの、真似したくなるインテリア。

PARIS DECO

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エルザ・ブー
Mapoésie創立者&クリエイター

7年前に自分のブランドMapoésie(マポエジー)をスタートしたエルザ。メインの商品は、彼女が描くモチーフと、繊細だったり大胆だったりする色彩が魅力のスカーフだ。家族と暮らす11区のアパルトマンのインテリアにも、彼女は色のマジシャンぶりを発揮している。

15年前、長男誕生の折に引っ越してきた80平米弱のアパルトマン。今に至るまで、床をフローリングにし、部屋の仕切りを動かし、壁の色を塗り替え……と家の中は少しずつ変化しているそうだ。とりわけ、しょっちゅう変わるのはリビング・ダイニングのカーテン。使うのは常にインドの布で、この間まではサリー用の鮮やかなものだったとか。今は真っ白いコットンである。

グラフィックな子供部屋

夏に模様替えしたばかり、という長女(8歳)の部屋を覗いてみよう。パウダリーなピンクと淡いブルーのグラフィックな2色使いが素敵。ペンキは既存の色を使わず、エルザ自身がミックスして理想の色を作っているという。国立高等装飾美術学校でテキスタイルを学んだという彼女らしい。収納と装飾のための木の家具は、エルザがこの部屋のためにデザインしたものだ。空間を有効に使えるこのアイデア、盗んでもいいかもしれない。

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長女の部屋は淡いブルーグレーのベースに、ピンクがアクセント。室内にリズムを響かせるような色使いのカーペットは、マポエジーと老舗Pantinのコラボレーションによるものだ。

長男(15歳)の部屋は渋いグリーンとくすんだクリーム色の2色使い。落ち着いた色調に、マポエジーのベッドリネンやクッションのモチーフが温かみを添えている。

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コーナーにペイントされたグリーンの三角が特徴の、長男の部屋。マポエジーの中でもこの部屋の寝具やクッションには、とりわけグラフィックなモチーフが選ばれている。

帽子に驚かされる夫妻の寝室

夫妻の寝室のドアを開けるや否や目をひかれるのは、壁に飾られた大小3つの帽子だ。マポエジーの夏のカタログ撮影のために購入したもので、プロヴァンス地方で女性たちが野外作業の際にかぶった伝統的なストローハットである。その平らなフォルムからきのこ帽とも呼ばれているそうだが、この信じられないほどの巨大なサイズ!

帽子の素朴な素材に呼応するような籐の引き出しの整理箪笥は古い品だが、周囲をエルザが白にペイントしてモダンタッチをプラスした。家具は譲り受けたり、道で拾ったり……という。エルザも多くのパリジェンヌ同様に、とてもパリっぽいインテリアを実践しているようだ。

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帽子のサイズと色をバランス良く配置した寝室。帽子を絵画かオブジェのように飾るアイデアがいい。帽子はインターネットで販売もされているので、興味があれば探してみて!

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寝室においたラタンの椅子や家具。パリでは最近この素材の家具が人気を呼んでいる。ぬいぐるみは子供たちが小さいときに大切にしていたもの。手放せずにいる。その後方は学校時代の友人の作品。photos:MARIKO OMURA

≫ グリーンを生かしたリビング&ダイニング。

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グリーンを飾ったリビング・コーナー

リビングとダイニングはひと続きのスペース。大きなソファは両親が使っていた70年代のもので、譲り受けて、濃いボルドーのカバーに取り替えて使用している。座り心地がとても快適で、一家団欒の場となっている。その上の壁のグリーンの並べ方がとてもユニーク。

「私、オーヴェルニュの自然に囲まれて育ったせいで、暮らしに植物が必要なの。オフィスにもたくさん置いていて、買うのをもうやめなければ、というくらいよ。この小さな鉢置き棚には、とても満足してるわ。というのも、この壁、いささか空っぽすぎたので……。でも、飾りすぎにはしたくないので、この棚のおかげで良いバランスで埋めることができたわ」

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ソファに並べたマポエジーのクッションと壁のグリーンが、良い感じに調和している。壁で鉢を置いている小さな丸い棚はMoustache Parisでみつけたもので、ショールーム用にもオーダーしようと思っているほど気に入っている。

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古い鏡のフレームのサイドには蛍光ペイントの黄色を塗って、現代的なタッチをプラスした。鏡の周囲には家族の写真が、アルバムのように多数飾られている。鏡の中に見えている向かいの壁の絵画は、友人の作品だ。

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レコードの収納やスツールはヴィンテージ。茶碗に使っているのは、サン・マロでみつけたヨーグルトの陶製の容器……エルザの美意識がいっぱいのアパルトマンだ。

和気あいあいのダイニング・コーナー

エルザのご主人はママがベトナム人ということで、ベトナム料理がお得意である。そしてエルザも料理が大好き。「ウィークデーでも美味しい食事を作って食べたい、という二人なの。そういうときは、じゃあ、誰かを招こう! となって……。しょっちゅうこの家には友達が集まってるの。夫と私は共に国立高等装飾美術学校で学んだので、共通の友達ばかり。彼らは同じ界隈に住んでいるし、私たちの習慣を知っているので、19時頃になると何してるの? って電話してくるのよ。じゃあ、食べに来たら、って感じで……食卓は、とっても和気あいあいとした雰囲気よ。こういうのって、すごく好きだわ」

雰囲気づくりに照明器具が活躍。部屋のあちこちにランプを配していて、これは明るくすることより、柔らかな光をこのスペースに求めてのことだという。ちょっとした遊びは、窓のそばに下げたミラー・ボールだ。日中これが太陽に照らされると、ダイニングとリビングの壁に水玉の光模様が描かれる。

オフィスは自宅から徒歩圏内にあり、食材の買い物も途中でできる。ビオにはこだわらないけれど、なるべく自然な素材を使って料理するように心がけているそうだ。「子供も大きくなったいま、夕食は毎回一緒にとるのよ。一旦仕事を終えて帰宅し、食後にまた仕事場に戻るの。週末もそんな感じね……」

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ダイニング・コーナー。ゲストを招く食卓に、グラフィックなラインを生かした自作の花器が活躍。これは東京のスパイラルのためにデザインしたものとか。

家族や友人との時間に大活躍する食卓。ヴィンテージとリプロダクションのデザイン椅子が囲むガラスのダイニング・テーブルには、ちょっとしたエピソードがある。

「ここに引っ越してくる直前のこと。メゾン&オブジェに行こうと思って家を出たら、ガラスの天板が道路に捨ててあったので夫に降りてきてもらって、家に運び上げたの。その日仕事を終えて家に戻るとき、テーブルの脚らしいのを運んでいる女性の姿が目に入ったのね。“ああ、残念。持って行かれてしまったわ!”って思ったところ、そうじゃなくて、ちょうど彼女は脚を捨てようとしてるところだったので、もらうことができて……。彼女が“惜しかったわ。朝、ガラスの天板も捨てたのよ”って。まさか私がそれを拾ったとは、彼女思いもしなかったみたい」

運命の出合いと言いたくなるテーブル。長女はデッサンをたくさん描くので、汚れのつかないこのテーブルが多いに役立っているそうだ。蚤の市での買い物も好きだけど、こうして路上で気に入った品をみつけるのもエリザは好き。仕事場にも道で見つけた折りたたみ式の珍しい肘掛椅子があり、これにも満足している。ブルレック兄弟のランプもあれば、拾った家具も……エリザにとってインテリアで大切なことは物の金額より、自分たちの気に入るかどうかなのだ。

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楕円のガラスのテーブルは、路上で拾ったとは信じられない。ブルレック兄弟のサスペンション・ランプは、天井に電源がない場所に高さも自由に吊り下げられる。卓上にはインドの食器なども交えた、テーブルセッティングを。

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棚や、壁の片隅などダイニング・コーナーにもさりげなく植物をあしらっている。photos:MARIKO OMURA

≫ 11区にあるマポエジーのブティックを訪問。

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キッチン、etc…

キッチンと廊下との境に、コインの裏表のようにどちらから見ても美しく、そして光を通す仕切りの棚をエルザはデザイン。このアパルトマンで、これもまた真似してみたいひとつのアイデアだ。

「空っぽのインテリア、というのも好きよ。もし200平米くらいあるアパルトマンなら何もない壁を残すでしょうけど……。それにここは子供もいるファミリーの暮らしだし……」と、アパルトマン内いたるところにカラフルでグラフィックな装飾を楽しむエルザだ。

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キッチンの仕切りの裏表。廊下の壁には旅先から持ち帰ったエキゾチックなマスクを飾っている。キッチンでは子供たちも参加して一緒にお菓子を作ったりする。収納棚は11区のオーベルカンフ通りの店で見つけた、50年代のヴィンテージ。ここには、母の祖国であるポーランド製の華奢なボヘミアン・グラスや、つい買ってしまうというセラミックの食器などが大切に収められている。

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アパルトマン内の装飾を楽しむエルザ。玄関には機能も兼ねた棚を。白い壁のトイレには黒のペンキでグラフィックな模様を描いた。photos:MARIKO OMURA

エルザのブティックMapoésie

大学でセラミックかテキスタイルか専攻を迷ったというエルザ。選んだのはテキスタイルだ。卒業後にルサージュの刺繍のアトリエで数カ月間の研修をしてから、プレタポルテのブランドで、刺繍やモチーフの担当をしていた。7年前、自分のクリエイティヴィティとポエジーを発揮できる場として、マポエジーを創立した。スカーフに始まり、いまでは寝具やバスルーム用などホームウエアにもアイテムが広がっている。

10月初旬からエルザが仕事をするショールームの通りに面した部分が、ブティックとして一般オープン。デパートのボンマルシェでもマポエジーの品はみつかるけれど、豊富なセレクションから選びたければ、ぜひこのブティックへ。 

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Mapoésie(マポエジー)
69, rue du Chemin Vert
75011 Paris
営)11:00~19:00
休)日、月
tel:01 73 73 37 34
https://mapoesie.fr/
大村真理子 Mariko Omura
madameFIGARO.jpコントリビューティングエディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。

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