ゴールデンウィークの過ごし方 家にいながら旅気分! 映画ライターおすすめの旅映画4選。
Culture 2024.04.27
海外旅行にも行きたいけれど、もう少し先かなと考えているあなたに。お家でまったり"旅気分"を味わうのはいかが? 映画ライターの細谷美香、久保玲子、立田敦子、金原由佳が厳選した旅映画と見どころを紹介! いつか行ってみたい、憧れの旅先に出合えるかも。
フランスの田舎が舞台、ハートウォーミングなドキュメンタリーがここに。
細谷美香推薦➡➡︎『顔たち、ところどころ』
©Agnès Varda - JR - Ciné-Tamaris - Social Animals 2016
ヌーベルバーグの祖母ともいわれる映画作家、アニエス・ヴァルダと、54歳年下の巨大ポートレートで知られる写真家でアーティストのJR。ふたりはフランスの村を巡りながら、そこに住む人の"顔たち"と出会い、敬意を込めて撮影していく。偶然が必然に、日常が非日常になる特別な瞬間を切り取った、ロードムービーのようなドキュメンタリー。田舎町の素朴な風景や、ゴダールの『はなればなれに』を思わせるルーブル美術館のシーンにも旅心を誘われる。この映画を観た後には、カメラ片手にいつもの街を旅するように散歩したくなるかもしれない。
『顔たち、ところどころ』
●監督・脚本・ナレーション:アニエス・ヴァルダ、JR
●出演/アニエス・ヴァルダ、JR
●2017年、フランス映画
●89分
●DVD ¥4,180
●発売元:アップリンク 販売元:TCエンタテインメント
© Agnès Varda - JR - Ciné-Tamaris - Social Animals 2016
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画家、フリーダ・カーロを生んだ情熱の国メキシコの旅情を味わう。
久保玲子推薦➡➡︎『フリーダ』
(c)Miramax/Everett Collection/amanaimages
『哀れなるものたち』のベラの大きなインスピレーション源になっていたフリーダ・カーロ。同じメキシコ出身の女優サルマ・ハエックがフリーダを演じた、ジュリー・テイモア監督による伝記映画です。マティスモの国でアイデンティティを模索し、世界のアーティストや思想家たちと交流したコスモポリタン。夫ディエゴ・リベラとは離婚・再婚し、ジョージア・オキーフやチャベラ・バルガスとも恋愛関係にあった自由な精神の持ち主が歩いたソカロ(中央広場)、大病と大事故による後遺症の壮絶な痛みと闘いながら絵筆を握った生家 "青い家"(現:フリーダ・カーロ記念館)など、ゆかりの地も登場し、アステカとスペイン文明が混じり合った風土、強烈な日差し、あふれる色彩、熱帯の燃える緑が情熱の国メキシコへの旅情を誘います。
写真:石内都写真集『Frida by Ishiuchi』
フリーダの遺言により、死後50年を経て数百点の遺品が公開された。写真家の石内都が彼女の遺品と対峙した写真集からは、石内が見いだしたフリーダ像が立ち昇ります。撮影風景を追ったドキュメンタリー『フリーダ・カーロの遺品 石内都、織るように』もオススメです。
『フリーダ』
●監督:ジュリー・テイモア
●脚本:クランシー・シーガル、ダイアン・レイクほか
●出演:サルマ・ハエック、アルフレッド・モリーナ
●2002年、アメリカ映画
●123分
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結婚生活を赤裸々に語った、愛の物語。
立田敦子推薦➡➡︎『イタリア旅行』
(c)Roadside Attractions/Everett Collection/amanaimages
異なる文化、通じない言葉、なじみのない食べ物。旅の刺激は、人を無防備にし、封じ込められていた感情が解き放たれる。叔父から相続した別荘を売却するために、ロンドンからイタリアを訪れた倦怠期の夫婦は、ついにその緊張を破り、感情を爆発させる。ナポリ、カプリ、ストロンボリ。男女の感情の揺れ動く様と、遺跡や芸術を見事にシンクロさせて描くロードムービー。1953年製作のモノクロ映画だが、いま観てもその不穏にして美しい風景は旅情を誘う。ゴダールに「一台の車と男と女があれば映画になる」と言わしめたロベルト・ロッセリーニの傑作。
『イタリア旅行』
●監督:ロベルト・ロッセリーニ
●脚本:ロベルト・ロッセリーニ、ビタリアーノ・ブランカーティ
●出演:イングリッド・バーグマン、ジョージ・サンダース
●1953年、イタリア・フランス映画
●83分
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世界24カ国以上で撮影された、美しい冒険ファンタジー。
金原由佳推薦➡➡︎『落下の王国』
(c)Everett Collection/amanaimages
ハリウッド創世記、撮影中の事故で失職、失恋し、希死願望を抱く俳優が、同じ病院に入院する少女に語る幻想的なおとぎ話。ある目的で少女を操りたい俳優によるチャールズ・ダーウィンの冒険譚は最上の光が注ぐ瞬間を切り取られた絶景の連続で、行ってみたいけど、本作以上の全景を望むことはまず難しいと思わされる罪深い作品。監督のターセムは故郷インドからはタージ・マハル、天文台で有名なジャンタル・マンタル、赤い城壁で知られるアーグラ城塞など荘厳な建造物をチョイス。ほかにもイスタンブールのアヤソフィア、オレンジ色のナミビア、ナミブ砂漠などの世界遺産を背景に映える石岡瑛子の衣装のデザイン性と色彩設計にも悶える。IMDB.COMの「THE FALL」(The Fall (2006) - IMDb)に、美しい映像スチールが掲載されているので、ぜひチェックを。日本での再上映も希望します。
『落下の王国』
●監督:ターセム・シン
●脚本:ダン・ギルロイ、ニコ・ソウルタナキス
●出演:リー・ペイス、カティンカ・アンタルー
●2006年、アメリカ映画
●118分
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