パリでボキューズ! おいしいオテル・デュ・ルーヴルへ。

PARIS DECO

印象派を代表する画家のひとり、カミーユ・ピサロが描いた馬車が走るオペラ通りやパレ・ロワイヤルの広場。こうした作品をどこかの美術館で目にした記憶があるのでは? 1897年からしばらくの間ホテルで借りていた部屋の窓から、これらの景色の作品11点を彼は描いたそうだ。そのホテルは、オペラ通りとサントノーレ通りの交差点に建つオテル・デュ・ルーヴル。2年近くクローズしての大改装を終えて、6月頭にリニューアルオープンした。そして……。

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客室からの見事な眺め。

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オペラ・ガルニエが完成したのは1875年。オペラ通りはナポレオン通りと最初命名されていたが、ナポレオン3世の失脚により1873年にオペラ通りに改名された。

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改装後のオテル・デュ・ルーヴルには、モナリザが密かに微笑むインスタスポットがロビーに誕生。

リヨンのポール・ボキューズとのコラボレーションによるブラッスリー・デュ・ルーヴル・ボキューズがホテル内に誕生したというのは、グルメファンにとっては大事件では? 偉大なるシェフは昨年亡くなってしまったが、このコラボレーションは彼の生前から進行していたプロジェクト。ポール・ボキューズのパリ初進出である。ブラッスリー・ボキューズで何が食べられるのかというと、カワカマスのクネル(31ユーロ)、ブレスの鶏(32ユーロ)、リヨン風マカロニグラタン(13ユーロ)といったボキューズならではの料理。もちろんデザートには、有名なおばあちゃん秘伝のゴーフル(12ユーロ)も。前菜にも、リヨン風オニオングラタンスープ(13ユーロ)やピスタチオのホットソーセージを詰めたブリオッシュ(14ユーロ)といった名物が並ぶ。

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毎日、ノンストップ営業のブラッスリー。12時〜22時30分まで、何時でも食事がとれる。

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本日のメニューでは、前菜+本日のメイン+チーズかデザートで34ユーロ、前菜+本日のメインまたは本日のメイン+チーズかデザートで27ユーロ。

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ボキューズ名物のクネル。

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エスカルゴ、舌平目などブラッスリーらしい料理に加え、リゾットやバーガーなども。

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チョコレートソース、クレーム・シャンティイ、フルーツのコンポートが添えられたゴーフル(12ユーロ)。

ホテル宿泊客だけでなくても、すべての人に開かれている。ブラッスリーなので食事は12時から夜クローズするまで、いつでもOKという便利さも魅力だ。ホテルの朝食の監修もブラッスリーのシェフによるというから、朝7時からおいしい時間が待っているというわけだ。

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ビュッフェ朝食は7時〜10時30分。

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パリの中心部で静かに寛げる場として密かに愛用するファンが多かったホテルのバーは、どうなったか。改装後、L’Officine du Louvre(オフィシーヌ・デュ・ルーヴル)として新しいコンセプトで生まれ変わった。工事中に天井の中から姿を現した19世紀のガラス屋根がきれいに修復され、自然光が差し込む空間に変身。なぜ、オフィシーヌなのかという命名については、この場所にルイ14世の薬剤師だった女性が住んでいたこと、そして近所にジャン=ヴァンサン・ビュリーの香粧品の店があったことに由来している。バーのカクテルやドリンク類にはアロマティックハーブやプラントを使用。食事もグリーンを意識した料理がランチメニューに並ぶ。ゆったりとした雰囲気は改装前と同様なので、ブラッスリーの活気に満ちた環境より内輪な気分が望ましいときは、オフィシーヌ・デュ・ルーヴルへ。あるいはここでアペリティフを楽しんでから、いざブラッスリーでディナー! というのも悪くないだろう。

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オフィシーヌ・デュ・ルーヴルの営業は 10時30分〜24時(金土〜25時)。

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バーでのランチは12時〜15時、ディナーは18時30分〜22時30分。夜はクロックムッシュー、タラのリエット、野菜のコロッケといったアペリティフメニューもある。

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前菜のウフ・モレ・クルスティヨン(16ユーロ)。

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ティータイム(15時〜17時30分)にも活用したいスペース。デザート(単品12ユーロ)、季節のスイーツ盛り合わせ、それにカフェか紅茶のセットは28ユーロ。

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アロマハーブやプラントをミックスし、薬局(オフィシーヌ)らしいカクテルを提案している。

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オテル・デュ・ルーヴルの歴史は1855年に遡る。この年、パリで初めて世界万国博覧会が開かれ、そのためパリにやってくる人々のために時の皇帝ナポレオン3世の命を受け、ホテル・デュ・ルーヴルは建築された。オペラ通りが開通する前のことだ。今回の改装はホテルのその起源に由来して、この年の万博でフランスの人々が知ることになる椰子、ラクダ、鸚鵡といったエキゾティックな要素を内装に取り入れている。

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1888年に移転し、現在に至るオテル・デュ・ルーヴル。こちら側に面した客室からはルーヴル美術館が窓から右手に眺められる。

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吹き抜けのロビーで迎えられ、ここから快適な滞在が始まる。

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ホテルの通路や客室にポエジーをプラスするのはアーティストのエマニュエル・ピエールによるコラージュ。19世紀の版画や当時の広告ビジュアルなどを切り抜いて、ホテルのためのオリジナル・コラージュを製作した。

1階のブラッスリーが面する広場の向かいに見えるのは、アンティケール・デュ・ルーヴルの建物。ホテルが1855年にオープンしたのはこの建物内だったのが、全館がブティックとなることになったため、1888年にホテルの別館だった現在の場所に広場を飛び越えて移転したのだ。その結果、角地ゆえにオテル・デュ・ルーヴルは オペラ座、コメディ・フランセーズ、ルーヴル宮、パレ・ロワイヤルという、窓から素晴らしい眺めが得られることに。パリの心臓部に建つ美しいホテル。カミーユ・ピサロに限らず、大勢の芸術家たちが集まってきた。作曲家のワーグナー、作家のジュール・ヴェルヌ、エミール・ゾラ、ヴィクトル・ユゴー……コナン・ドイルはホテルのロビーで “シャーロック・ホームズ” を書いたそうだ。シグムンド・フロイトも、1910年に滞在している。

57のスイートを含め、164室の客室のインテリアは比較的シンプル。夜、灯りを消した室内から、外の眺めを絵画のように鑑賞して味わう時間は、オテル・デュ・ルーヴルならでは。パリは初めてというカップルが新婚旅行でここに宿泊したら、ふたりはパリを一生愛し続けることになるに違いない。

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ホテルの室料は450ユーロ〜。写真はドゥ・リュックス・ツイン。

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窓からオペラ座が眺められるエグゼクテイブ・スイートのリビングルーム。

パリの思い出をより豊かにする提案として、宿泊客にはルームキーとともに “散歩者のパスポート” がチェックイン時に渡される。インスピレーション源としてのパリらしいアドレスを記したパリの6つの区の地図、そして季節に応じた5つの体験コースへのお誘いだ。シェフが用意するピクニック・バスケット(21ユーロ〜)以外は、すべて無料でガイドがつく。例えば、ルーヴル美術館見学、パレ・ロワイヤルでアペリティフ片手にペタンク……。

ブラッスリーもバーも充実しているうえ、オペラ座を遠くに眺められる、広々としたフィットネススペースももうじき完成するそうだ。パリの中心部でどこに行くにも便利なホテルなのに、オテル・デュ・ルーヴル内にこもった滞在になってしまうかもしれない。

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ピクニック・バスケットは4月15日〜10月15日の体験コース。チュイルリー公園や好みの場所でランチを楽しめる。

Hotel du Louvre
Place André Malraux, 75001 Paris
tel:01 73 11 12 34
www.hoteldulouvre.com
大村真理子 Mariko Omura
madameFIGARO.jpコントリビューティングエディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。

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