快適すぎ! プールもあるホテル・ル・バリュに暮らしたい。
PARIS DECO
また新しいホテルがひとつ誕生した。場所は9区のヌーヴェル・アテネ地区。19世紀に芸術家や知識人が集まった一角だ。そのバリュ通りにできたホテルは、かつての個人邸宅をふたつ繋げた建物からなっている。向かって右側は画家シャルル・ウィスランが1891年に建築させた建物で、1932年に亡くなるまで暮らしていたそうだ。多数の絵画展に参加していた画家で、1900年の世界万博でメダルを得ている。その才能は作家ギー・ドゥ・モーパッサンも称えたほどとか。ホテルを外から眺めると、右側の赤レンガの建物は画家の彼の美意識が生かされた建築で魅了的。左側もエレガントで美しい建築である。
19世紀の個人邸宅が多く残る9区のバリュ通りにオープンしたオテル・ル・バリュ。28番地側の建物の上部がロゴのデザインに用いられている。
4つ星ホテルのル・バリュ。建築家トマ・ヴィダレンクが合計37室の内装を手がけている。過去にもパリ8区のホテルを手がけているが、彼はここでは古い建物の再編成と内装を担当した。家具は彼によるデザインと東欧のデザイナーによる60〜70年代の家具のリプロなどをミックス。おもしろいのは “コーディネートしない” ということを命題にしたインテリアなのに、各客室はなんともエレガントで居心地のよい空間に仕上がっていることだ。部屋に入ると初めて来たのに、まるで長い旅の後に自宅に戻ってきたような気にさせる。部屋タイプに関わらずミニキッチンが備えられ、おまけに地下にはさほど大きくはないけれど、洒落たプールもある。地上階には緑の小さな庭も含めたネオ・ビストロ&バー。ということは、ホテル内を移動して過ごす “お籠り” 滞在に向いているのかもしれない。そして気が向いたら徒歩で15分くらいのマルティール通りまで、お散歩がてらスイーツを買いに……。
黄色、ブルー、グリーン……といった個性的な色が壁を彩る。
テラス付きの部屋は5つ。テラスのサイズはそれぞれ異なる。
各部屋にソファが備えられているのも、自宅気分を盛り上げる。
漫画『タンタン』のシリーズに登場する架空の国シルダビアが、ホテルのインテリアのイメージだとヴィダレンクは語っている。
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アンティーク風カーペット、東欧のランプ……。
パリ観光はさておいて、ここでのんびりしたい。
テラゾを壁と床に用いた明るいバスルーム。アメニティはAtelier Cologne。
ちょっとした食事を部屋で用意できるのも快適だ。
地下のプール。
サウナも備えた地下は60年代のロシアの雰囲気でまとめられている。
ホテルに入ると、目の前に広がるのは7時から22時までノンストップ営業のレストラン。
テラスと合わせて合計80席のレストラン。向かいのバーカウンターも含め、1日中活用できるスペースだ。
28-30, rue Ballu
75009 Paris
tel:01 86 54 21 21(ホテル)、01 86 54 21 22(レストラン)
www.leballu-paris.com
madameFIGARO.jpコントリビューティングエディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。