Parisienne file.vol.31 アレクサンドラ・カルラン/調香師
パリジェンヌが愛用する香りもの。
パリジェンヌファイル
「私にとって香りは特別な存在です。何気ない毎日の暮らしに特別感を添えてくれるから。ふとした瞬間に過去の思い出が匂いと共に蘇ることってありますよね。忘れかけていた記憶が香りのおかげで頭に浮かんで、その時の風景や一緒にいた人の表情までが鮮明に思い出せる。まさに魔法のような瞬間を味わえるのも、香りのパワーです。だから、メイクはしなくても、香水なしだと絶対に外出しないし、反対に、一日中家にいて誰にも会う約束がない日でも、香りだけは欠かしません」。
学生時代に偶然ラジオで聞いた調香師の話に魅せられて、香りの世界に入ったアレクサンドラ。ティーンエイジャーの頃からたくさんの香水や香りキャンドルを試してきました。
最近は季節によって愛用する香りを変えるという彼女。
「今年の冬はヨーロッパに生息する樫の木の苔をベースにベルガモットなどをミックスしたナチュラルな香りのシプレー系を愛用していました。肌に直接ではなく、ストールやマフラーにシュッとつけて、巻いた時にふんわりと香るのが好きなんです。夏に向かうこれからの季節は、パチュリなどウッディなハンサム系の香りを楽しみたいです」。
日常を彩る香りコレクション
4世代前からパリ生まれ家系を受け継ぐ、生粋のパリジェンヌ。ソルボンヌ大学で文学を専攻。ある日偶然聞いたラジオ番組での香りの話に感銘を受けて、ヴェルサイユにある調香師のための専門学校"ISIPCA"に転入する。卒業後、インターナショナルなブランドの仕事で経験を積み、現在はドイツのSYMRISE社との契約をスタート。フリーランスとして活動中。
photos : YUKARI ISA, réalisation : HIROKO SUZUKI