竹林に隠れるナチュラル・リゾート、
'物語'に迷い込んだような別世界でした。
「Phu Chaisai Mountain Resort & Spa(プーチャイサイ・マウンテンリゾート&スパ)」チェンライ郊外/タイ
ホテルへBon Voyage 2010.01.15
「タイの北のほうに、ぜ~んぶ、竹で出来てるリゾートがある」と知らされて以来、行きたい思いを募らせてきたリゾートでした。その夢が適い、タイ北部チェンライ郊外にあるプーチャイサイを訪れたのは、2009年が終わりに近づいた頃でした。バンコクからは国内線でチェンライまで約1時間20分、飛行場からは車で約45分の距離にありました。
竹の林、山の斜面に埋もれるように建つリゾート全景
リゾート周辺は見渡す限りなだらかな山並みが続き、静かで平和な印象の山里でした。リゾートから見渡せる山のほとんどが竹林であることも印象的でしたが、件のリゾート「プーチャイサイ・マウンテンリゾート&スパ」の、想像を遙に超えた'竹との共存'には驚かされました。
リゾートからの眺め
リゾートで建築に使われている竹は、周辺の山からのものも多少あるらしいのですが、ほとんどは太く立派なものを業者から買い求め使用しているとのこと。柱、杭、天井、壁、机、ベッド、ランプ、テーブル、ソファ、ゴミ箱、そしてトイレットペーパのホルダまで、本当に、ぜ~んぶ竹製でした。床は強度の関係で粘土とコンクリートで下地を作り、その上に竹が敷き詰められていました。竹は、建築資材として強いばかりか、軽くてしなやかで丈夫。特にアジアでは昔から広く利用されてきた素材として知られています。このリゾートのオーナーである女性は竹を愛し、どうしても竹でリゾートを造りたかったといいます。さすがに客室内で竹に囲まれていると、コンクリートとは違う、何か温かで優しい空気に包まれているのを感じます。屋根は植物で葺いてあり、敷地には数知れない花が咲き乱れています。ケミカルなものが一切無い環境で過ごすことで、日ごとに心も体も癒され緊張感から解放されてくるのが分かりました。
(左)リゾートのレセプション前、赤い車はオーナーの自家用車(右)レセプション・ラウンジ
プール付きスウィート・ヴィラ
(左)スウィートヴィラのベッドルーム(右)客室のひとつ、竹だけで出来ている
食事も理想的でした。新鮮な野菜をたっぷりと使った料理は心のこもったタイ家庭料理風。その野菜類はリゾート所有のオーガニック・ファームで生産されていました。まさに、地産池消で安心、新鮮、そして甘みやエグミの分かる美味しいものばかり。もちろんここはタイですから、スウィート&サワーの特徴や、ホットな海老料理や肉魚料理も数々出され、家庭的な料理一皿一皿に大満足の食事でした。
(左)テラスで朝食用に特別にセッティングされたテーブル(右)オーガニック・ファームから、採れたて野菜の新鮮サラダ「プーチャイサイ・サラダ」
又、嬉しいことにこの地域は広く'お茶'の産地でもあり、気候の良さから茶摘みが年に何度も出来るため、オーガニック・ウーロン茶の'新茶'がしょっちゅう飲める状況にあります。新鮮で軽やか、甘みのすっきりとした味は忘れがたいもので、リゾートのショップで、自分へのお土産に買い求めてきたほどです。
(左)パブリックプール(右)バンブースパ
(左)車まで竹製?(右)アクティビティのひとつ、エレファント・ライディング
自然を愛するオーナーが庭や周辺の手入れをこまめにするお陰で、美しい花々は1年中耐えることなく咲いています。「自然と共に生きていたいから」と、バンコクを離れてこの地に住んだオーナー。今、広大な所有地でリゾートからも見える山の頂上に、「マッド・ハウス」と呼ぶオーナー自身の邸宅とゲストハウスを建築中でした。この自宅こそが現オーナーの'終の棲家'なのだと、タイ・ロイヤルファミリィの一員でもある現オーナーは嬉しそうに語ってくれました。(K.S)
Phu Chaisai Mountain Resort & Spa
(プーチャイサイ・マウンテンリゾート&スパ)
TEL: (+66-53)910-500 Fax :(+66-53)910-529
www.phu-chaisai.com
客室数:全46室+オーナーズ・ヴィラ3棟
料金:(2010年10月14日までの室料)
1名使用/BHT 9.600~41.600、 2名使用/BHT 9.800~42.200、
施設:レストラン、バー、ラウンジ&ライブラリィ、屋外プール、
ショップ、ミーティングルーム、パーティースペース、スパ、
オーガニック・ファーム、他、
アクセス:バンコクで入国手続きを済ませ国内線でチェンライまで、
1時間10~20分。チェンライ国際空港からホテル送迎車
(要予約/有料)で約45分、33km。
日本での連絡先:サンヨーインターナショナル 03-3461-8585

Kyoko Sekine
ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。
http://www.kyokosekine.com