CREATOR 02

シシド・カフカドラムボーカリスト・女優

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「デザインが気に入っても、靴ズレすると一気にテンションが下がりますよね。だから、かかとの部分、取っちゃいません?」と、いきなり大胆な注文を投げかけたカフカさん。痛みからの解放を目指す、理想のシューズづくりが始まった。

Profile

メキシコ生まれ。アルゼンチンに住んでいた14歳の頃にドラムを始める。ドラムボーカルのスタイルで2012年「愛する覚悟でCDデビュー。女優としても活躍中。18年からリズムイベント「el tempo(エル・テンポ)」を主宰している。

リーガル本社にあるアーカイブルームを訪れ、展示されている歴代のシューズを観察しながら、デザインのインスピレーションを集めていくカフカさん。「メンズっぽいワイルドな感じのブーツが好きなんですが、今回はせっかくだから、フェミニンでエレガントなデザインになったらいいなと思っています。靴の後ろ部分を全部なくして、そこから素足が見えてくると、普通のブーツとは大分印象が変わるはず」。背中を大胆に開けたドレスのように、セクシーな雰囲気になりそうだ。

リーガルのデザインチームとのミーティングの場で、カフカさんのアイデアを、細かなディテールまで実現可能なものへとブラッシュアップしていく。いちばんの課題となったのは、靴の後ろをなくしたブーツを、いかに履きやすく、歩きやすく、かつ美しくデザインするか。「私は普段黒い服が多いですし、カフカという名前はチェコ語でカラスという意味なので、色はやっぱり黒がいいかなと思っています」。頭の中で思い描いた理想の一足が、しだいにその輪郭を表していく。

「気分に合わせて、ソールの高さを変えられたらいいですよね」。だいぶデザインがまとまってきたところで、さらに斬新なアイデアを思いついたカフカさん。「デザインはすごく気に入っているのに、ヒールがないからこういうシーンでは使えないってこと、わりと多いんです。高さを自由に変えることができれば、履いていけるシーンの幅も、合わせるスタイリングの幅も、一気に広がると思います」。ユーザー目線のリアルな発想が、既存の靴にはない、まったく新しいデザインを生んでいった。

Complete

トップ¥92,400/レジーナ ピョウ、スカート¥28,050/ジョウン(ともにリトマス☎06-6136-5612) 他は私物

Shishido kavka

「けっこう奇抜なアイデアだったと思うので、こうして完成品を見るまでは、どんな靴になるのか想像ができませんでした。まさか、こんなにカッコよくて、履きやすくなるなんて。こうやって簡単にソールを付け替えられるなら、たとえば結婚式の会場までフラットで行って、着いたらソールを替えてイメージチェンジ、なんてこともできそうです」。ブーツのクールなルックスとセクシーな肌感はそのままに、ソールを付け替えればガラリと印象が変わる、カフカさんらしいモダンで都会的な一足が完成した。

Shishido kavka

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羽根のディテールは残して、シューレースはハトメとともになくすことに。後ろ側を取り去ったことと相まって、斬新でミニマルなスタイルになった。シシドさんのアイデアを詰め込んだ一足は、これまで見たこともない、コンセプチュアルなデザインで実現した。

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靴の後ろ側が大胆に切り落とされた様子は、まるで美術館に展示されたコンテンポラリーアート。足首に設けたベルトストラップのおかげで、歩くときの安定感も確保。ライニングにはやわらかく、肌あたりの優しいレザーを採用しているので、靴ズレの心配も解消。

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ソールはマジックテープで簡単に取り外しできる仕様になっていて、2段階に高さを調節可能。替えのソールを持ち歩けば、シーンに合わせて何度でもイメージチェンジができる。後ろ側が開いているデザインのため、ブーツでも通気性は申し分なし!

※「マジックテープ」は(株)クラレの面ファスナーの登録商標です。