春の海をのんびりと眺めに。【鎌倉・腰越さんぽ】

Lifestyle
腰越漁港の先に広がる腰越海岸。しらすのおいしいお店も並ぶ。すぐ隣には江ノ島が。

休日、鎌倉でゆっくりしようと思っても、GWをはさんだこの時期の鎌倉駅周辺は観光客で大変なにぎわい。そんなときは、江ノ電に揺られて20分ほど、漁港のあるのんびりとした雰囲気の港町、腰越へ。江ノ電が路面電車のように車道を走り、昔ながらの商店が並ぶノスタルジックな街並みに、センスのいい店が点在する。のどかな鎌倉を味わいに、足をのばしてみて。

#01. Minori Bake 
ワインと合わせたい、大人のための焼き菓子

店の前に立つと右手には海、左手には路面を走る江ノ電を眺められる、気持ちのよい場所。

のどかな春の海を見に腰越へ。海岸をお散歩した後に立ち寄りたいのは、海から歩いて2分もかからない場所にある小さなお店、Minori Bake。ここは自家製の焼き菓子とワインやクラフトビールが楽しめるお店だ。

もともとはオンライン販売からスタートしたのだが、そこで販売され人気を集めていたのが、「アペロ缶」という名のクッキー缶で、ワインに合う焼き菓子がギュッと詰まっている。

その製作のためのアトリエを探していたところ、出会ったのが海のそばの物件だった。こんな気持ちの良い場所ならと、カウンターをつくり、ゲストがドリンクとともに一息つける場所としたのだそう。

焼き菓子はスコーンやマフィン、パウンドケーキなど、8種類ほどを用意。おすすめのガトーナンテはフランスの港町ナントの焼き菓子で、ラム酒を効かせた大人の味わい。

「大人のための、ちょっとしたご褒美になるような焼き菓子をつくっています」と言う、店主の大田みのりさん。

店内で飲めるナチュラルワインは赤、白、泡があり、クラフトビールも4〜6種類から選べる。「この焼き菓子に合うお酒を」とオーダーするのもおすすめだ。

ヴィクトリアケーキ ¥650、グラスワイン ¥1000

紅茶やハーブティーもあるが、コーヒーが飲みたければ、「すぐお隣においしいお店がありますよ」と、隣に並ぶ自家焙煎コーヒーを出すお店を案内するそう。

Minori Bakeの焼き菓子をテイクアウトして、お隣でコーヒーとともに楽しむこともできるとのことで、そんなアットホームな雰囲気も腰越という町らしい。

ショーケースの前に立つ、店主の大田みのりさん。ご主人のしのぶさんはデザイン全般を担当されているそう。

店主自身が食べたいものをつくっているので、素材にはかなりこだわり、無添加で、できるだけ体に良いものを使っているのだそう。ベースとなる小麦粉は北海道産、味を左右するバターはカルピスバターを主に使用。材料費が高騰しているけれど、ここは妥協できないと言う。

かつて元気がないときに、甘いものを食べて不思議と元気が出たという経験のあるみのりさん。ちょっと疲れたとき、いつもがんばっている自分を甘やかすために、このお店を訪れてみて。取材時は土日のみのオープンだったが、今後は平日もお店を開けることを検討しているそう。お土産用にテイクアウトするのにもおすすめの店だ。

Minori Bake
ミノリ ベイク
神奈川県鎌倉市腰越3-1-24ベイマツバヤ100
営)13:00〜18:00
休)月〜金
@minoribake
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#02. aniko enoshima 
イタリア・マルケ州の郷土料理に出会える

オーナーシェフでソムリエでもある井関誠さん。

イタリア料理と一言でいっても、地域によって同じ国とは思えないほどそれぞれ特徴がある。北は肉やバター、チーズを使った煮込み料理、南は魚介やトマト、オリーブオイルを使ったパスタやピザが主流だ。

腰越に1年前にオープンしたこの店は、イタリア中部のマルケ州の料理を出すお店。マルケ州は、アドリア海とアペニン山脈にはさまれた土地で、その料理は北と南、その両方のニュアンスが溶け合い、生パスタに魚を合わせるなど、それぞれのいいとこどりのような自由さがある。

白壁にアンティークのドアが味わい深く、ヨーロッパの街角にあるような佇まい。

シェフの井関誠さんは、イタリア各地のレストランで修行する中で、マルケ州のミシュラン二つ星店にたどりつき、そこで5年間腕をふるった。

魅力あるマルケの料理を日本でも伝えたいと、帰国後の2019年、赤坂に「aniko akasaka」をオープン。ミシュランガイド東京のビブグルマンを獲得するなど、大人気となったお店の姉妹店として、昨年5月に腰越に誕生したのが「aniko enoshima」だ。

海と山に囲まれ、食材にも恵まれたこの場所が、マルケに似ているというのが、ここに決めた理由だそう。地の利を活かし、腰越漁港であがった魚介や新鮮な鎌倉野菜を使い、マルケの伝統的な作り方で生み出された料理はどれも手がこんでいる。

「ヴィンチスグラッシ マルケのラザニア」¥2,600(ランチセットでも特製ラザニアが選べる ¥2,300〜)、ワインはグラス¥800〜。

スペシャリテである「ヴィンチスグラッシ マルケのラザニア」は、牛、豚、鴨のラグーソースに、隠し味としてマルケ料理の特徴である鶏レバーやハツを入れており、コクと深みのある味わい。

薄く伸ばした手打ちのパスタ生地をミルフィーユのように10層以上重ねており、断面も美しく、しっかりとパスタのおいしさを味わえる。「これは過去いち!」と、感動する人の多い、特別なラザニアだ。

高い天井をいかしたアーチ壁が柔らかい雰囲気の、居心地良い店内。

オリーブの肉詰めフリットや豆料理のチャバッロ、本マグロのマルケ風グリルなど、アラカルトで頼みたい料理もたくさん。

店名のanikoは色々なものを少しずつという意味だそう。ぜひ気になったお料理を色々と試して、マルケ料理の魅力にひたってほしい。

aniko enoshima
アニコ エノシマ
神奈川県鎌倉市腰越3-8-20
0467-81-4538
営)11:30〜14:30(L.O.14:00)、17:30〜22:00(L.O.21:00)
休))月、火(水曜はランチのみ定休)
@aniko_enoshima
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#03. cohiki 
ずっとそばに置いておきたい雑貨を探しに

ヨーロッパやアフリカなど、各国からセレクトしたとっておきの品が並ぶ。

江ノ電が店のすぐ目の前をガタンゴトンと走り抜ける。2年半前にオープンした日用雑貨店は、近所の人はもちろん、遠方からも足を運ぶ人も多い人気店だ。

建物自体は築70年、内装も古材を多く使い、中央の大きな台はヨーロッパで学校の美術室で長年使われていた作業台だとか。「使い込んできたものの方が格好が良いと思っていて。扱っている商品も、使い勝手がよくて、男女問わず長く使えるものばかり」と言うのは店主の池田菜々子さん。

店名のcohikiは「粉引」という陶芸の技法からとっており、経年変化を楽しめる陶器のように、使い込んで味わいの出てくるものをセレクトしている。

インドの理化学ガラスメーカーBOROSIL VISION GLASSの耐熱グラス。飲み物を入れるのはもちろん、オーブン料理やカトラリースタンドなど、日々の暮らしに使える。

池田さんはインテリアショップで15年ほど働いていたそう。その経験をいかし、自分でお店をやるなら商店街の一角で、細く長く営みたいと思い、物件を探した。

腰越は、もともと愛犬の散歩でよく訪れていた街だとか。「鎌倉のはじっこで、古いお店が残っている腰越の雰囲気が好きで、ここに決めました」と言う。

それぞれの商品に、ブランド紹介やおすすめの使い方など、店主のコメントが添えられている。

お店はカフェも併設しており、一息つけるのも魅力だ。テーブル席は3席あり、ハンドドリップでいれたコーヒーや、ディカフェで豆乳で割ったチャイが人気。スイーツも自家製で、ファンの多いバナナケーキは完熟バナナをふんだんに練り込み、外がさっくり、中がしっとりとした食感がたまらない。

チャイとバナナケーキ ¥1020(セット価格)

店内にいると、ふわっと柔らかい香りに包まれる。常に季節のお花が数種類飾られており、それを目当てに来るお客さんもいるそう。

「雑貨屋ですが、お茶を飲みながらお花を楽しんだり、通りすぎる江ノ電を眺めたりと、皆さん思い思いの時間を過ごされています」。

お店のすぐ先にある龍口寺では、骨董市なども開かれている。海やお寺、ショッピング、おいしいもの……。ゆるやかな時間を過ごしに、腰越を訪れてみて。

cohiki
コヒキ
神奈川県鎌倉市腰越3-14-9
営)13:00〜18:00
休)月、火曜、第2・4・5日曜
@cohiki_koshigoe
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エディター兼ライター。鎌倉在住、3児の母。大学卒業後、出版社に入社。女性ファッション誌の編集に携わる。現在はフリーランスとして活動中。