Z世代は最も知能の低いって本当?

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※この記事は、フランスの新聞社「Le Figaro」グループが発行する
「madame.lefigaro.fr」で掲載されたものの翻訳版です。
データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

数ヶ月前からZ世代の知能に関してSNSで流布している情報がある。それは米国議会でおこなわれた神経科学者による講演内容を要約したものと言われているが、果たしてどこまでが真実なのか。フランスの「マダムフィガロ」誌の記者が探った。

ある研究者の指摘によると、先進諸国における認知能力の低下の原因はデジタル教育ツールをこれまでにないほど使用している点にあるそうだ。photography : Fotografía de eLuVe / Getty Images

私はいわゆるミレニアル世代(1980年代初頭から1990年代半ば生まれ)だ。最近、インスタグラムを見ていたらこんな一文が目に飛び込んできた。「IQ測定の結果、ミレニアル世代とZ世代の間で史上初の低下が見られた」。それってつまり、Z世代(1990年代末から2010年代初頭生まれ)より我々ミレニアム世代の方が賢いってこと?正直に言おう。これを見て最初に、わーいと喜びがこみあげた。ディズニーの悪役のような「ムハハハ」という黒い笑いがもれそうになったほどだ。

もっとも、40本のろうそくを吹き消した日に、これからは分別のある大人になろうと誓ったのだ。そしてまだ頭脳が衰えきってもいないので、ひとしきり笑った後、管理職の悩みのタネであるZ世代に関するこの一文の根拠を調べることにした。と言うのもZ世代に対する好き嫌いはさておき、私たちより劣っている世代とは思えなかったからだ。辿っていくとこれは神経科学者のジャリッド・クーニー・ホーヴァス博士が2026年1月に米国議会で行った講演の一部を要約し、平易化し、変形したものだった。本人もこの一文がSNSで拡散されているのを目にし、真意を説明する必要を感じて記事(リンク:https://thedigitaldelusion.substack.com/p/i-told-the-senate-gen-z-is-less-cognately)の形で発表している。それによれば講演の冒頭で確かにキャッチーな表現を使用したそうだ。「私たちの子どもたちは、認知面で私たちが同じ年齢だった頃よりも劣っている」と。しかしその後SNSで引用に引用が重ねられるうち、「Z世代はミレニアル世代より知能が低いことが公に認められた」という内容になってしまった。インターネット恐るべし。

では我々ミレニアル世代は世界で一番賢い世代なのだろうか。ホーヴァス博士は記事で、私たちの(肥大した)自尊心を傷つけないよう巧みに説明している。議会での講演の際、語ったのはIQテストで測定可能な学習能力についてであり、それだけで一つの世代の知能について語ることはできない。さらに、これまで世代を追うにつれてIQが上昇してきた現象(Z世代まで続いていた傾向)は、主として先進工業国で見られるものであり、経済条件や衛生環境、栄養状態、教育条件に左右されると指摘する。しかも今回観測された低下幅はごく小さい。加えてこのIQ上昇の流れはいまや新興国へ移行している。2023年の研究が示すように、世界平均で見ればIQは依然として毎年上昇し続けているのである。

博士はまた、先進工業国における認知能力の低下は、これまでにないデジタル教育ツールの使用によって説明できると述べている。こうしたツールは生徒の代わりに「考える」ため、結果として思考力を弱めてしまうというのだ。博士が特に懸念しているのは、Z世代がやがて教える立場になった時に何が起こるのかという点である。それは未来の子どもたちの教育問題でもある。一方でもっと楽観的な米国研究者もいる。Z世代の知性が「低下」したのではなく「変化」していると言うのだ。この世代は情報を記憶するよりも、必要な情報をどう探し出すかに長けている。たしかに、若い世代がITツールを楽々と自然に使いこなす一方で、私自身はスマホのちょっとしたアップデートに何日も、もたついている。この説明はかなり納得できる。

きっかけは、何気なく画面をスクロールするという、非生産的な時間に偶然目にした一文だったが、結果的にはデジタルツールが私たちの脳に及ぼす、具体的かつ測定可能な影響について考えさせられた。少なくとも、スマホから少し距離を置いたほうがいいのかもしれない。そう思うには十分だった。

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  • text: Elvire Emptaz (madame.lefigaro.fr)