2026年のカンヌ国際映画祭、レッドカーペットで大流行しているドレスのトレンドは「紫」!
カンヌ国際映画祭がクロワゼット通りを活気づけ始めてから数日が経つが、レッドカーペットでは、早くもあるファッショントレンドが際立っている。それは紫のドレスだ。
定番のリトルブラックドレスも、視線を奪う赤いドレスも、もう過去のもの。第79回カンヌ国際映画祭に集まったセレブたちがクロワゼットの階段を彩るなか、早くもひときわ目を引くトレンドが現れている。今年、スターたちはまるで申し合わせたかのように、紫を今季の本命カラーに選んでいるのだ。フィリピーヌ・ルロワ=ボリューのように深みのある紫を選ぶ人もいれば、デミ・ムーアやイリス・ミトゥネールのように、淡いパステルトーンに挑戦する大胆なスタイルを披露した人も。もっとも、淡い紫は“着こなすのが最も難しい色のひとつ”とも言われる、挑戦的なカラーでもある。

色彩を専門とする美術史家のアレッサンドラ・ロネティによれば、「紫は常に赤と青の中間に位置してきました。そのため、官能的でありながらどこか距離感があり、華やかでありながらメランコリックでもある、そんな曖昧さを持つ色なのです」と語る。ラグジュアリーや精神性、神秘性を連想させる一方で、どこかドラマティックなムードも漂わせる紫。その魅力は、先週水曜日のカンヌのレッドカーペットに登場したデミ・ムーアの姿にもはっきりと表れていた。彼女は、グッチによる、ほんのり透け感のあるラベンダーカラーのドレスをまとい、まるで幻想的なオーラを放っていたのだ。紫という色を完璧に着こなしたその姿は、長く記憶に残る印象的な瞬間となった。
紫色の歴史
扱いが難しい一面はあるものの、紫は昔からガラパーティや華やかなイブニングシーンにふさわしい色として愛されてきた。色彩を専門とする美術史家のアレッサンドラ・ロネティによれば、古代において紫は政治や宗教のエリート層を象徴する色だったという。さらに19世紀には、イギリスの化学者ウィリアム・ヘンリー・パーキンが、世界初の近代的な合成染料「モーブ」を発見したことで、“モーブマニア”とも呼ばれる紫ブームが巻き起こった。
「フランスのウジェニー皇后や、イギリスのヴィクトリア女王が、こうした新しいモーブや紫の色合いを、貴族社会や上流社交界で広める大きな役割を果たしました」とアレッサンドラ・ロネティは説明する。その後、紫はアクセサリーや装飾芸術の世界にも広がり、20世紀初頭にはイギリスの女性参政権運動(サフラジェット運動)によって、“女性の解放”を象徴するカラーとしての意味合いも持つようになっていった。
レッドカーペットで愛される“紫”
現在のレッドカーペット、とりわけカンヌでは、ファッションの主流といえば黒か白。時には大胆なスターたちが、その定番コードを破って鮮やかな赤をまとって登場することもある。だが今年、最も視線を集めたのは間違いなく“紫”のルックだった。アレッサンドラ・ロネティによれば、その理由は紫が「意外性」を生み出す色だからだという。「今の時代に興味深いのは、紫が依然として“着こなしの難しい色”であることです。黒や赤とは違い、光の当たり方、肌の色、素材感、そしてシルエットのバランスが非常に重要になります。でも、すべてがうまく噛み合った時、そのスタイルは一瞬で“忘れられない印象”を生み出すのです。」

さらに、その色味はレッドカーペットの“赤”によって、いっそう美しく引き立てられる。理想のイブニングドレスを選ぶうえでは、背景となる舞台もまた重要な要素なのだ。アレッサンドラ・ロネティはこう説明する。「この組み合わせがとても効果的なのは、紫がレッドカーペットの赤と自然に調和しながらも、決して埋もれないからです。どちらの色も温かみのある強さを持っていますが、紫にはより意外性があり、視覚的にも複雑な魅力があります。淡いパステルパープルは、まるで光を放っているかのような印象を生み出しますし、深みのあるプラムカラーは、よりドラマティックなシルエットを演出します。このカラーパレットがカンヌで特に映えるのは、おそらくそのためでしょう。」

今週木曜日には、イリス・ミトゥネールが、ソフィークチュールによるライラックカラーのドレスを披露した。アシンメトリーで彫刻のようなシルエットの一着は、まるで女神のような雰囲気を漂わせ、洗練されたフェミニンな魅力を際立たせていた。その2日前には、フィリピーヌ・ルロワ=ボリューが、ナスのような深みのあるパープルが印象的なサンローランのドレスで登場し、官能的なムードをまとっていた。まったく異なるアプローチでありながら、どちらのスタイルも、“気まぐれで難しい色”とも言われる紫に、もう一度挑戦してみたくなる魅力を感じさせる。
※この記事は、フランスの新聞社「Le Figaro」グループが発行する「madame.lefigaro.fr」で掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。
From madameFIGARO.fr
- text: Axelle Dusart (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi