戦闘服を着たプリンスのごとく、三浦春馬が舞う。

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編集KIMのシネマに片想い

『進撃の巨人ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』は、前編に続き三浦春馬演じる主人公エレンがスキルを増し、人間世界を破壊し続ける巨人たちと闘いながら、どんな世界を見渡すのかを描いてゆく。

©2015 映画「進撃の巨人」製作委員会 ©諫山創/講談社

「身体の演技」には、優れた体幹が必要。

前編『進撃の巨人ATTACK ON TITAN』について触れた際には、三浦春馬の「眼の演技」について書いた。エレンが自身の体内に宿る「巨人」の特性に目覚めてからの後編は、スクリーンに躍動する「身体の演技」に注目したい。ワイヤーアクションを華麗に見せるためには優れた強い体幹が必要となる。細身の肉体は軽やかに空を切り、何度も壁に叩きつけられる。痛み、悲しみ、憤り……作品全編に流れる負の感情を駆使しながら肉体の痛みにも耐えつつ演技しなければならない現場であったと想像する。もともと身体能力の高い表現者でもある三浦春馬、そして水原希子のミカサの躍動は見事だ。

特にラスト近く、ミカサがエレンを爆発から空に向かって救う劇画調シーンは神々しく、監督の壮大なファンタジーへの希求が現われているように感じる。天上を見てまっすぐ救われていく三浦春馬のエレンは、純粋さと儚さの結晶のよう。今作では主人公エレンを、舞台の演技のように意図的に大きく演じている三浦春馬だが、作品の持つ想像を超える激しさと切なくシンクロしている。

映画の前半、全身白いルックで会話劇に流れ込むエレンとシキシマ隊長のシーンはまるで王子のような三浦春馬=エレンが美しい。

「君の中の英雄を裏切るな」という長谷川博己演じるシキシマからエレンに放たれる言葉。その言葉にインスパイアされるまつ毛の長いエレンの表情。純白のシャツと細身のパンツ姿のふたりは戦地の秘密の地下壕にある夢のような空間で対話する。

壮大なハリウッド映画のようなラストシーン。

カルト的作品となった原作『進撃の巨人』は、「エンド オブ ザ ワールド」の先へと長く物語が続く。けれど、特撮の規模を含め、監督が本作で決着したハリウッド大作のようなラストは、ニューワールドの存在を掴んだ主人公たちの希望を表現した。空、鳥、海、光、雄大な景色の中で肩を並べるヒーローとヒロイン。誇張的なまでのBGM。三浦春馬のエレンにも、水原希子のミカサにも、瞳には輝きがあふれていた。

ただし、原作の持つ厭世的なスパイスは忘れない。雄大なラストの風景の後に、上から下に流れるエンドロール(ブラッド・ピット主演の映画『セブン』と同じ)を挟んで、邪悪なパワーが世界のどこかで働いていることを伝えるワンシーンが置かれた。

計算された後味の悪さも含めて、人の在り方を問いかける見事なエンドだった。

撮影は一部、軍艦島(端島)で行われたそうだ。この夏、個人的に軍艦島を訪れる予定があるが、『進撃の巨人』そして『007スカイフォール』(2012年)のロケ地となった場所に足を踏み入れることにいまから興奮している。


『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』(通常版)
●監督/樋口真嗣
●出演/三浦春馬、水原希子、本郷奏多、長谷川博己、三浦貴大ほか
●2015年、日本映画 ●本編98分
●Blu-ray ¥5,280、DVD ¥4,180 発売元:講談社 販売元:東宝
©2015 映画「進撃の巨人」製作委員会 ©諫山創/講談社

編集KIM

フィガロジャポン編集長

編集KIM=編集長森田聖美
2024年よりフィガロジャポン編集長。フィガロ歴約30年。旅、ファッション、美容、カルチャーなど、現場時代はマルチで担当。多趣味だが、いちばん大切にしているのは映画観賞。格闘も好きでMMAなどよく観戦に行く。旅は基本的にひとりで行くのが好み。チミーグッズをこよなく愛する。