【2027年春夏コレクション】デムナのヴィジョンを完全な形で表現した、グッチ2027年春夏コレクション。

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グッチのショーが2026年9月25日(現地時間)にミラノで開催された。数日前からティザー動画で「The Store Show」というタイトルが明らかにされていたが、実際の店舗が会場になったわけではない。広大な4つの空間に、アーティスティック・ディレクター、デムナによる新コンセプトの店舗イメージを表現したセットが設置されたのだった。

まず「店舗」に入ってきたのはメンズモデル。クロップドパンツの足元は素足にローファーで、イタリアらしいスタイルが感じられる。

ウィメンズが登場したのは、メンズが40体披露された後。1921年にラゲージショップとしてスタートした時からクライアントたちの間で親しまれていた乗馬の世界に着想を得てきたというグッチの歴史をふまえたような、ブルジョワ風スタイルから幕を開けた。

ただ、メンズと同様に人物像は多彩。これまでのデムナのクリエーションには珍しく、ラガーシャツやタータンのプリーツスカートを用いたプレッピー風スタイルも含まれた。

ブランドのアイコニックなモチーフもふんだんに用いられ、3つのホースビットをあしらった極太のカマーバンドベルトも登場。

ランジェリーにボリュームのあるシアリングのアウターウェアを羽織ったルックに続き、最後は吊り下げられたティアドロップ型のウェイトによってシルエットを固定するドレスをはじめとするイブニングウェアで幕を閉じた。

先シーズンはトム・フォード期(1994~2004)を思わせる、ボディラインを意識したシルエットを追求したコレクションだったが、今季は当時を彷彿とさせつつも、それよりも前の時代(1970~90年代)を描く映画『ハウス・オブ・グッチ』(2021)のような世界観にも注目していたように思われる。ただ、もちろんデムナはそのまま再現する、ということはない。キャスティングやヘアメイク、シルエットでひねりを効かせ、今の気分に沿う表現に落とし込んでいた。

さらに、ファッション界において、多様性への配慮からジェンダーを曖昧にする傾向がある中、結局は男女の理想像がそれぞれに存在している、という現実を突きつけるかのようにメンズ・ウィメンズの区別をはっきりと設けたことにもはっとさせられた。

2025年7月のアーティスティック・ディレクター就任から1年あまりを経て、グッチとは、「よりグラマラスな世界に属したいという欲望を原点とし、その世界を自分自身の姿へと大胆に作り変える意思を持つ」、「人の目を惹くことを望むラグジュアリー、そして、慎ましさと官能性の間に生まれる緊張感」という結論に達したデムナ。今後はその確信を元に、得意のユーモアを交えながら、クールにグッチネスを表現していくのだろう。

  • photography: Gucci text: Itoi Kuriyama