美学を持つ人たちの選ぶ、美しい音楽。

坂本美雨がいまあらためて聴きたい映画音楽とは?

Culture

美意識を育んでくれる一方、選ぶ段階からセンスが問われる映画・本・音楽。多方面で活躍する憧れの彼女たちが独自の観点で選んだ、主人公の生き方や洗練の描写など、至極の美を体現する作品を紹介。

ミュージシャンの坂本美雨さんが選んだアルバムは、坂本龍一の『戦場のメリークリスマス』この1枚に見いだされる美しさとは?


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“歌”が物語の鍵となる、いまあらためて聴きたい名作映画を彩る音。

『戦場のメリークリスマス』

坂本龍一 ミディ ¥4,180

「先日、大島渚監督による1983年の映画『戦場のメリークリスマス』の4Kリマスター版が劇場で上映され、すっかり忘れていた曲と再会しました。ひとつは、デヴィッド・ボウイ演じる主人公の、幼い弟が歌う歌。可憐な声を持つ弟を裏切った罪悪感が心の底にずっと残り、美しく素朴な郷愁を誘うボーイソプラノが、後悔の念とともに彼の記憶の中で響きます。そしてもう1曲は、捕虜たちが歌う讃美歌。野太い声で合唱される聖書の詩篇の一句が、捕らわれた者たちの渇きと微かな希望をのせて、最期の時を迎える者へ響く。歌によって傷つき、歌によって召される物語です。声と旋律のみで心を揺さぶる力に、約40年前の作品の中であらためて出合いました」

坂本美雨ミュージシャン
MIU SAKAMOTO
歌手活動に執筆、ナレーションと幅広く活動。動物愛護に長年携わり、著書に『ネコの吸い方』(幻冬舎刊)

※『フィガロジャポン』2021年7月号より抜粋

この記事の元URL: https://madamefigaro.jp/culture/210827-miusakamoto.html