
MUSIC SKETCHのプレイリストで日々の生活に潤いを♪⑥
Music Sketch
SpotifyのmadameFIGARO jp.チャンネルで更新している「MUSIC SKETCH」。5月は都合により更新は1回のみでしたが、世界的に注目を集めたチャイルディッシュ・ガンビーノの「This is America」、謝罪声明を発表する騒ぎになったリタ・オラ、カーディ・B、ビービー・レクサ、チャーリーXCXら人気女性アーティスト達がコラボした「GIRLS」、またフジロックフェスティバル‘18 で初来日するポスト・マローン などを多数リストアップしました。ポスト・マローンは2017年の全米チャート下半期で「rockstar feat. 21 Savage」がNo.1に輝き、一躍注目を集めたヒップホップ・アーティスト。現在22歳の “白人男性ラッパー”である彼は、これまでプレイリストで取り上げてきた楽曲から察してもらえるように、ヒップホップに限定されないメロディを重視した歌ものも魅力です。全米ビルボード・アルバムチャート初登場第1位に輝いた最新アルバム『beerbongs & bentleys』には「Stay」のようなアコースティック・ギターの弾き語りナンバーも収録されていて、ファン層の広さに納得するほど多彩な全18曲になっています。ジャスティン・ビーバーと親しいらしく、最前線を行く音楽をポップ・ミュージックに結びつけていくその嗅覚には、似たものを感じるほど。
■LBTGQ+に対する反響や認識が10年前の歌詞と比べても顕著に
チャイルディッシュ・ガンビーノの「This is America」に関しては、既にかなりのメディアで取り上げられているのでここでは書きませんが(今後のMUSIC SKETCHの記事の中で触れる予定です)、ここでは「GIRLS」の歌詞の問題に関して少し書きます。
「GIRLS」のデジタルダウンロード用のアートワーク
“I ain't one-sided, I'm open-minded(私は偏見ではなくて、オープンなの)”
“I'm fifty-fifty and I'm never gonna hide it(私は公平だし、それを隠すことはしない)”
“Sometimes, I just wanna kiss girls, girls, girls(時々女の子とキスしたくなるの)”
“I put the lion in the cage and then I laid with her(ライオンを檻に入れて、それから彼女と寝たの)”
これらの歌詞を旬の女性アーティストたちが歌う「GIRLS」は、今年5月11日に配信された当初は“バイセクシャルのアンセム”と称賛されたものの、その後、ケラーニなど、カミングアウトしているLBTGQ+のアーティストたちが反発。曲を作ったスタッフ9名のうち大半が男性だったこともあり、“バイセクシャルの女性の視点からではなく男性目線で女性同士の恋愛を描き、バイセクシャルの女性に対するステレオタイプを助長させている歌”とまで言われ、これに対して曲作りに参加していたリタ・オラが「(前略)私が曲の中で自分自身を表現したことで、他の人を傷つけてしまったことを謝ります。LGBTQ+の人たちや誰かを意図的に傷つけるつもりなんて全くなかったの(後略)」と5月14日のツイッターで謝罪する騒動になりました。
これを聞いて思い出したのが、当時23歳だったケイティ・ペリーが2008年に大ヒットさせた「I Kissed A Girl」。“I kissed a girl and I liked It(女の子にキスしたら、気持ち良かったの)”といったライトな同性愛願望(経験)を告白した歌で、当時全米では思春期の女の子を持つ保護者たちが猛反対しました。調べていたら、ケイティ・ペリーは「GIRLS」の騒動が起きる前の2018年2月6日付のGLAMOUR.comのインタビュー記事で「この歌で歌われたようなLGBTQ+に対する認識はもう古く、社会はこの10年でものすごく変化し、成長したわ。私がもう一度この歌を書き直せるのならステレオタイプな箇所など歌詞を見直したいわね」といったことを話していました。当然ながらそう意識せざるを得ない社会になってきたのだと思います。
余談ながら先日『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』(7月6日公開)の試写を観てきました。これは、1974年に女性のためのプロテニスリーグ(WTT)を共同設立し、女性スポーツ財団を創設するなど女性解放運動に寄与した伝説のテニスの女王“キング夫人”ことビリー・ジーン・キングを題材とした映画で、男女平等を求めた彼女が男子元世界チャンピオンに戦いを挑んだ試合がクライマックスになっています。果たして女性監督が撮るか男性監督が撮るかでキング夫人の描かれ方が変わってきそうな気がしましたが、脚本は『スラムドッグ$ミリオネア』で知られるサイモン・ボーフォイが何度も本人に取材して完成させ、監督は『リトル・ミス・サンシャイン』で知られるジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス夫妻が担当。今の時代だからオープンにできる部分もあったわけで、そういう意味でも興味深い作品になっています。
5月のSpotifyのプレイリストを選曲していた時に、SOIL & “PIMP”SESSIONSのアルバム『DAPPER』の収録曲がどれもいいので、結果、取材を申し込んで記事を書きました。https://madamefigaro.jp/culture/series/music-sketch/180620-dapper.html
5月の選曲の中で一番聴いていたのはWaterstriderの「Nowhere Now」。夏が近づいてきたのでリズミックな曲を重視し、また今年に入ってニュージャズ系を多く選曲している中で、この楽曲はどの位置にもハマるお気に入りのナンバーになりました。実は新譜ではなく2016年12月にリリースされた曲なんですけどね。Waterstriderはネイト・サルマンを中心にカリフォルニア大学バークレー校の学生仲間で結成し、いろいろな音楽を背景に持つメンバーたちがジャムセッションをしながら音楽を構築。2011年から正式にインディーロックシーンで活動を始めています。今後は、新曲だけの構成に限らず、中には少し前の名曲も挿入していきたいと思っています。
Waterstrider 「Nowhere Now」アコースティック・ヴァージョン
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■201806 Vol.1では踊りながら楽しめる軽やかなナンバーも♪
201806 Vol.1では、さらに夏らしいレゲエやダウンビート系の曲を冒頭に置き、リリー・アレンのニュー・アルバム『No Shame』やカニエ・ウェストのニューアルバム『Ye』からのナンバー、ファレル・ウィリアムスとカミラ・カベロの「Sangria Wine」などを前半に。
中盤にはノラ・ジョーンズやバーシア、スウィング・アウト・シスターズの新曲、後半にはBTS(防弾少年団)が韓国人アーティストだけでなく、アジア圏全体でも初めて全米ビルボード・アルバムチャート初登場第1位(5月27日付)に輝いた『Love Yourself :Tear』からもセレクト。全50曲、ゆったり軽やかに聴いていただけたら幸いです。
これはダンスチャレンジ・ヴァージョン。ご一緒にダンスをどうぞ!
アーカイヴはこちらに入っています。
*To Be Continued