【Weekly連載 22】ある家族の「繋ぐ」お話。
caoの心の育て方。
先週に続きまして、ツナグお話を。
とある方からの依頼で、アンティークショップを巡ることに。
もう、仕事なのか、遊びなのか、わからんっ
って愚痴はさておき……、ツナグお話よね。
鳥の歌声をやけに耳にするさわやかな陽射しの中、いつも他愛ないお仕事を依頼してくださる方がご家族のお話をしている時のこと。
ふと、一枚の写真に目を落とし、おばあさまの想い出を話してくださいました。
おばあさまが家族のためにたくさんのモノを売り、いまに繋いでくれたそう。その中のひとつにコンパクトがありました。
お母さまも写真を手にして、おばあさまはこのコンパクトをとても大切にしていたと、よく話をしてくれたことを懐かしそうに子どものような笑顔を浮かべている。
なんともほのぼのとした時間。
でも、なんかやな予感が……
写真からわたしに目を向け、キラキラとした目で探してほしいとお願いされ、写真をお預かりしました。
やっぱりそうなるのね……
キラキラとした目しちゃって、断れないじゃないかぁー。
でも~♪
情報はセピア色の写真しかないが、当時にはとても珍しく鏡の付いた綺麗なコンパクトだったらしい。
写真はほかにもいろいろあって、その写真にある品々のどれでもいい、おばあさまの遺品をひとつでもいいから見つけてほしいとのことでした。
そこで、あたりをつけていくつかのアンティークショップに足を運んだのです。
どこのアンティークショップに入っても、これまで大切にされてきた想いが家具や品物から伝わってきます。
買う方も、モノの方も、それぞれに相手を選んでいるの。
たとえば、あなたがひとつの椅子に座ったら、買う場合にはすでに、その椅子の歴史そのものを受け入れているんですよね。
ふふっ
椅子の方も、あなたがこれまでの持ち主と同じように大切に扱ってくれそうだなと思うと、輝くような色になったり。
反対に、相性が合わない場合は、鏡に姿がきれいに映らなかったり、引き出しがうまく開かなかったり。
あなたがうれしいように、モノもピッタリの持ち主に見つけられたら、うれしがっているんですよ。
だから、ロックオン状態になった時は、運命の出合いだとあきらめて、止まった時間を動かしましょう。
悩んだ時は、ご縁がないのだとあきらめましょう。即決するはずだからね。
そんな様子をアンティークショップで眺めて楽しみながら、何件かまわったところ、おばあさまの大切な遺品をいくつか見つけることができました。
ホッと一安心。
無事に見つけることができて、依頼主さんの手に渡せた時、お母さまにも喜んでいただけました。
その時の様子は、いまもあたたかくてね、わたしの想い出としても大切なものになりました。
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illustration : MARIKO ENOMOTO