シャネルの扉 #12
スポットライトを浴びた、シャネルのアトリエ。
Toc Toc Chanel
July 27, 2016シャネルは、2016/17年秋冬 オートクチュールコレクションを発表するために特別なステージを用意した。何と会場になったグランパレの中に、パリ・カンボン通りにあるシャネルのアトリエを再現したのだ。細部に渡り、忠実に作られたアトリエでは、78人の裁縫師がいつものように、その手を動かしながら、美しい服を作っている。彼らと、ショーの観客の間を最新のクチュールコレクションをまとったモデルたちが颯爽を歩くという驚きの仕掛けだ。
「ショーで完成したコレクションを観るジャーナリストなどのゲストは、実際にどうやってあのドレスが作られているかを知る機会はない。そして、アトリエで働く裁縫師も自分たちが精魂込めて作ったドレスがどのようにショーでお披露目されるかを知らない。そのギャップに着目したのが今回のショーの始まり」とカール・ラガーフェルド。シャネルにとっても、アトリエが誇る比類なき高度なテクニックは重要なエレメント。彼らの技術なしでは、伝統と革新的なクリエイションを併せ持つメゾンの特性は語れない。そんな裁縫師たちの技が結実した最新作のスタイルは、流れるようなラインとすっきりとしたシルエットが特徴。構築的でグラフィカルな印象のフォルムは、卓越したカッティング技術が可能にしたもの。
「裁縫師にはそれぞれ、得意な分野があるからね。スケッチを手に、このドレスは誰が担当したらベストな仕上がりになるのか・・・、いつも考えるんだ。僕は彼らと仕事をするのが本当に大好きなんだよ」
Celebrities
シャネルのアンバサダーや女優たちも称賛。
いつもながら、華やかな顔ぶれが並んだショーのフロントロー。今年春、シャネルの新アンバサダーに就任したウィロー・スミスは父親で俳優のウィル・スミスを伴って、会場に駆けつけた。モデルであり、今のパリジェンヌを代表するスタイル・アイコンであるキャロリーヌ・ドゥ・メグレは「アトリエの中は、とても興味深かったわ。あの特別な場所を私たちに見せてくれるなんて、カールは本当に寛大ね」。そして、女優のジェシカ・チャステインは「シャネルのアトリエで働く人たちの親密さが伝わってきた。気が遠くなるような長い時間をかけた手作業から、美しいコレクションが生まれていることが分かったわ」と語った。
texte: TOMOKO KAWAKAMI