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シャネルの扉 #22

シャネルとリッツ・パリが生んだ、新たな物語。

Toc Toc Chanel

December 28, 2016

ガブリエル・シャネルがこよなく愛した老舗ホテル、リッツ・パリを舞台に開催された2016/17年メディエダールコレクション パリ コスモポライト。「ここは、その昔から、パリジェンヌだけではなく、世界中のセレブリティが集まる場所。ココがこのホテルを訪れた40〜50年後に、まったく違ったスピリットを提示できたと思うよ」とカール・ラガーフェルド。

©CHANEL

「かつて、リッツでディナーを楽しむ女性たちが着ていたイブニングドレス」からインスピレーションを得たエレガントでパリらしいコレクションでは、ウエストラインを強調したり、ミモレ丈のフレアーを提案したりと、シルエットにフォーカス。繊細な刺繍や洗練されたサンレイプリーツなど、シャネルが誇るメディエダールを支えるクラフトマンシップも存分に生かされている。今回、メゾンのアイコニックなジャケットを、この上なくフェミニンに仕上げた新作も登場。ブレードは、グラス・パールやツイードが主役のバラで彩られ、花の刺繍や、プレキシガラスのボタンをあしらっている。さらに、定番バッグの「2.55」には、リッツ パリで使われているソファのマテリアルを模した刺繍をあしらって。華やかでグラマラス、そしてパリのシックが息づく、新世代のソーシャリストたちを想起させる仕上がりに。

©CHANEL

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Ritz Paris hotel and Gabrielle Chanel
シャネルとリッツ・パリの歴史。

©CHANEL

パリ・ヴァンドーム広場にあるリッツ・パリ。そこには、“ココ・スイート”と名付けられたスイートルームがあるほど、ガブリエル・シャネルとの縁は深い。1910年にカンボン通り21番地に帽子専門店をオープンしたマドモアゼル・シャネルにとって、そこからほど近くにあるリッツ・パリはお気に入りの場所のひとつでもあった。1920年代には、リッツ・パリを定宿にしていた彼女は、フォーブル・サントノレ29番地に自宅を移してからも、パーティを開いた後の翌日の不便さを避け、たびたびリッツ・パリに宿泊していたという。

スイートのバルコニーに佇むガブリエル・シャネル。
PhotoRoger Schall ©Collection Schall

そして、1935年7月12日、マドモアゼル・シャネルはリッツ・パリに生活拠点を移し、ヴァンドーム広場とその記念柱を見下ろす3階の14、15、16階の部屋からなるスイートで暮らし始める。彼女は、ジャン・コクトーやクリスチャン・ベラールのドローイングに漆塗りのコロマンデル屏風、そしてベージュのスウェードのソファなど自分の家具やお気に入りのアートピースを持ち込み、ホテルの部屋に自分好みの“ラグジュアリーな野営地”のような雰囲気を再現。その部屋で1939年に戦争が勃発するまでの時間を過ごした。戦後の1954年に、クチュールメゾンを再開したマドモアゼル・シャネルは再び、リッツ・パリに舞い戻り、ホテルの中庭を見下ろす304、305号室で生活を始める。「リッツでいちばん美しい部屋を取ることもできたわ。でも私は屋根裏がある部屋に住むことにしたの。ひとつは眠るため、ひとつはおしゃべりするため、ひとつはお風呂に入るため、その3つの屋根裏がある部屋にね」と彼女は、友人のクロード・ドレに語っている。1971年1月10日、マドモアゼル・シャネルは、リッツ・パリのこの屋根裏のある部屋で、息を引き取った。

ガブリエル・シャネルとサルヴァドール・ダリ、ジャン・コクトー、ガラ・ダリ、サモサ氏と。リッツ・ホテルのガブリエル・シャネルのスイートにて。
Photo Agneta Fischer Vogue US ©Condé Nast

ガブリエル・シャネルのスイート。
Photo Frqnçois Kollar ©Ministère de la Culture - Médiathèque du Patrimoine, Dist. RMN

texte : TOMOKO KAWAKAMI

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