さまざまな 愛のカタチを読み解く、漫画の世界 結婚とは？ セックスとは？ 漫画で夫婦を見つめ直す。

女の生きざま、夫婦という関係性、ジェンダーの呪い、シスターフッド……。漫画は幅広い社会問題や多様性に切り込み、さまざまな愛のカタチを知ることができる大人の読み物。エッセイスト犬山紙子が、いま読むべき作品を厳選＆コメント。

セックスレスの悩みに、丁寧に寄り添う作品。

『あなたがしてくれなくても』
（1〜8巻）

ハルノ晴著  双葉社刊 各¥660〜

主人公は32歳、結婚して5年、夫と仲が悪いわけではないけど、セックスレスになって2年。ある日ひょんなことから同僚と飲むことになり、彼が同じくセックスレスに悩んでいることが発覚する。「セックスレスに悩む妻の『陽ちゃん、ハエですらセックスしてるよ』のパンチラインがすごい。何に傷つき、何を求めているのか、丁寧に人間の気持ちに寄り添って解きほどかれていく。実際に悩んでいる人の友人になってくれるような作品」

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婚外恋愛を通して探る、 夫婦という関係性。

『1122』
（全7巻）

渡辺ペコ著  講談社刊 各¥627〜

結婚7年目、子どものいない30代夫婦。主人公はセックスレスから夫の不倫を認めているものの、心がモヤモヤして女性用風俗を利用し始める。「婚外恋愛を認め合う夫婦って実は多い。ポリアモリーとも違う、ノンモノガミーという関係性。夫の不倫相手も家庭で追い詰められていて、婚外恋愛をする女性をダメなものとしてではなく、しっかりと痛みが描かれている。“夫婦だろうが、性は個人のものである” という考え方が素晴らしかった」

＊「フィガロジャポン」2022年3月号より抜粋