ランニングは顔を老けさせるって本当？

ランニングで顔の老化が早まることを説いたニューヨークの医師の動画がTikTokで拡散した。本当にそうなのか、フランスのマダム・フィガロがパリの医師に意見を聞いた。

ランニングは顔を老けさせる？photo: Getty Images

「年季の入った長距離ランナーってみんな、やせこけて老けた感じでしょう？」と動画で語るのはニューヨークの美容外科医、ジェラルド・インバー博士だ。この動画は2月27日にTikTokへ投稿され、もう300万回以上再生されている。「アンチエイジングの専門家」を名乗る同博士によれば、ランニングは顔の老化を早め、シワを増やすという。「たまに数km」走るぐらいだったら問題ない。肌に影響を及ぼすのは長距離をひんぱんに走るような場合だ。シワを増やしたくないなら、ランニングしない方がいいのだろうか？

皮膚がたるむ

パリの美容外科医、アレクサンドル・クソマニ博士の意見では、この動画は「すべて嘘というわけではないが、すべてが真実でもない」そうだ。「確かにトップランナーになると全体的にほっそりしてきて筋肉に皮膚が張りついたようになるし、顔もそうですね」と言うとその理由を説明してくれた。「この種目を日常的に練習していると身体が“しぼられてくる”、つまり身体や顔にストックされていた脂肪の一部が消費されます。顔の脂肪が消費されると自然と老けた印象になります。顔の形を支えているのは皮下脂肪で、こうした脂肪が存在するのは特に頬骨付近、そして頬中央あたりの“バッカルファット”です。このあたりの脂肪がなくなると、皮膚がたるみます」とのこと。

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ほうれい線

TikTok動画では皮膚の老化を加速する要因がもうひとつあるとのことだった。「ランニングで着地するたびに身体は地面からの衝撃を受けます。 弾むたびに顔が上下に振動し、皮膚組織がひっぱられる結果、弾性線維が傷み、肌の張りが失われてシワになってしまうのです」とニューヨークの美容外科医は語っている。

アレクサンドル・クソマニ博士はこの説明に異を唱える。「正確に言えば、こうした動作で小ジワはできません。ただ、骨格や筋肉の接合部がゆるみ、皮膚を支えられずに下がります。その結果ほうれい線などは濃くなります。患者さんからすれば、ほうれい線もシワのように感じるでしょうが、実際はシワではありません」と解説した。

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本格的な研究は行われていない。

日曜日のジョギングを楽しみにしている人に対し、パリの美容外科医は「のんびり5kmぐらい走ったり、あるいは15秒のスプリントを何回かくり返したりする程度なら心配ないですよ」と語る。そして「皮膚の老化を加速するおそれがあるのは、ひんぱんに強度の高い練習をおこなった場合だけです。練習量で言えば週に少なくとも３回以上、かなり長い時間と距離を走り、身体に多くの負荷を与え、脂肪が減る場合です」「そのような練習を10年ほど続ければ、皮膚の老化が加速するかもしれません」と結論づけた。

さらに、専門家の間でこの老化理論は信奉されているものの、現在までに「本格的な科学的研究は行われておらず、今後も予定されていない」ことも付け加えた。

アレクサンドル・クソマニ博士は練習熱心なランナーに対し、「食事で十分なミネラルやビタミンを摂り、場合によってはサプリメントも利用して不足しないように心がけることで」皮膚老化リスクを回避することを勧める。

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その他のリスク

TikTokで、ジェラルド・インバー博士は「顔がやつれて老けるだけでなく、膝や足首、背中にも悪影響があります」とランニングのリスクを警告している。これに関しては、「確かに関節の軟骨組織が劣化することは明白で、重要な点です。50歳のトップランナーの関節が80歳並みにすり減ってい流のは確かです」とアレクサンドル・クソマニ博士も同意した。ただ、遺伝的要素も大きく、さらに進行の度合いは練習の強度に比例するとも語った。

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