傑作『男と女』の続編が、53年を経てスクリーンに!

インタビュー

人生はゲームだ。今作を撮る恐怖もゲームのひとつ。

クロード・ルルーシュ|映画監督

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フランシス・レイの音楽とともに愛され続けている『男と女』。1966年にカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した恋愛映画の金字塔が、スクリーンに帰ってきた。あのふたりは、その後どんな人生を歩んだのか。彼らの53年後を描いた『男と女 人生最良の日々』はカンヌ映画祭でお披露目されたが、上映では感涙にむせぶ声も聞こえた。監督はもちろん、名匠クロード・ルルーシュである。

撮るべくして撮った、『男と女』の続編。

「3年前の『男と女』50周年記念のイベントで、ジャン=ルイ・トランティニャンとアヌーク・エーメが話している姿を見て、彼らを再び撮りたいと思った。私にとって、この続編を撮ることは強迫観念のようなもの。人生において強迫観念を持つことは大事だ。創るべき、創るべきと、本能がずっと語りかけてきていたよ」

ジャン=ルイは、老境に入り施設に入居中。曖昧になりつつある記憶の中で思い続けるのは、人生で最も愛した女性アンヌ。それを見かねた息子は彼女を探し出し、父との面会を依頼する。

「私の映画はすべて私の人生で体験したことがアイデアソースとなっていて、これも然り。私の作品の常連だった女優アニー・ジラルドがアルツハイマーを発症して施設に入っていたんだ。アニーの娘の頼みで会いに行った時の経験が、設定の基になっている。そこで過ごした2時間は、素晴らしかったと同時に恐ろしいものでもあった。彼女は、私のことを時々わからなくなったりしたからね。その衝撃が物語の核となった」

この作品を撮るにあたっては、恐れも感じていたという。

「正直、ジャン=ルイ・トランティニャンとアヌーク・エーメ、私も今作を撮るのが怖かった。うまくいくか、ふたりはスクリーンで観るに値するほど美しくあれるのか……いろいろ考えた。けれど最初のシーンを撮って私たちはようやく安心し、楽しめるようになった。怖いと感じるのは悪いことではない。人生の大事な局面では、人は恐怖心を抱くもの。それほど大事だというサインだ。人生はゲームだと思っているし、この恐怖もゲームのひとつだと思う」

老境を描いているにもかかわらず、この作品には希望がある。

「タイトルは、ヴィクトル・ユゴーの言葉『人生最良の日々は、まだ生きられていない年月である』から引用したもの。私の最高傑作は、私がまだ撮っていない作品ともいえる」

本作で49作目、現在82歳。記念すべき50作目の映画も製作中だ。

Claude Lelouch/クロード・ルルーシュ
1937年、フランス・パリ生まれ。報道カメラマンを経て、60年に監督デビュー。『男と女』(66年)が大ヒットとなり、96年には続編『男と女、嘘つきな関係』も。『愛と哀しみのボレロ』(81年)など、49もの長編映画を製作してきた名匠。

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元レーシングドライバーで記憶を失い始めているジャン= ルイのもとをアンヌが訪ね、別々の道を歩んできたふたりが再会を果たす。1作目の名シーンを織り交ぜた、新たなラブストーリー。今作でも、ルルーシュ監督の盟友で昨年この世を去った作曲家フランシス・レイが音楽を手がけている。
『男と女 人生最良の日々』は、1月31日よりTOHOシネマズ シャンテほかにて公開。

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*「フィガロジャポン」2020年3月号より抜粋

interview et texte : ATSUKO TATSUTA

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