三谷幸喜&香取慎吾、見てる? 見られてる?

インタビュー

9月18日からアマゾンプライム・ビデオで独占配信される新オリジナルドラマシリーズ「誰かが、見ている」。数々のドラマや映画でコンビを組んできた三谷幸喜と香取慎吾のインタビュー後編をお届け! 

【前編】香取慎吾が演じる、愛すべき不器用人。

――タイトル『誰かが、見ている』について、ぜひお伺いしたいことがあります。昨年末の収録時から時間が経ち、コロナ禍によって、社会に「自粛警察」という言葉が生まれたり、監視社会の色合いが強くなったり、誰かが誰かを見る意味合いが変わってしまったという印象があるのです。そういう時期だからこそ、舎人くんを取り囲む周りの目が、とにかく温かく見守るという描写に救われて、「みんな、こういう温かい眼差しを取り戻そうよ」というメッセージを一方的にドラマから感じました。もちろん、三谷さんと香取さんはコロナ前にこれを作られているので、当初の趣旨とは違ったと思うのですが。

三谷 そうですよね。そもそもこの物語は、最後の8話まで観ていただけると最終的に見えてくるものがあるんですけど、そこまで見ると、誰かが見てくれているから元気を出そうと、香取くん演じる舎人が最終的にそこに辿り着くまでの物語なんです。決して、誰かが見ているというのが否定的なことではなく、その誰かというのは神様かもしれないし、違う誰かなのかもしれないけど、とにかく頑張って生きていけば、きっと、誰かが見てくれているんだよ、という、そういう前向きな物語にしたかったので、それがタイトルにも出ているんです。その逆に、いま世間が威圧的に「誰かが見ているぞ、俺が見ているぞ」と監視の風潮になっているとすると、それは悲しいことですね。

香取 うん。いま三谷さんのおっしゃった、「どんな時でも、誰かが見守ってくれているんだ」という意味ですね。コロナ禍でいうと、ステイホームの時間って新しい発見もあったけど、個人的には結構、寂しい時間でもあったりして。僕はもともとインドア派で、普段から外に出ないのに、それでもこんなに家を出ないと、ちょっと気持ちが滅入っちゃうこともあったんだけど、そういう時に、誰かがどこかで見てくれているというのはありがたかったし、ズームとか、ああいう形でも人と話せたりすることで、心が柔らかくなれたりしましたからね。

三谷 確かにね、否定的なイメージになることが多いですよね、いまの時代、みんなが見ていることが。でも、決してそっちだけじゃない。プラスの面にも目を向けてほしいですね。

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危なっかしい舎人を放っておけず、佐藤二朗扮する粕谷が変装して舎人の部屋に突撃するシーンも。

――ところで舎人の部屋の美術がアルモドバルの映画に通じるレトロポップで印象的なインテリアでした。

三谷 ああいうシットコムだし、限定された空間でワンシーズンもたさなくてはいけないので、部屋もひとつの主役でした。ずっと見ていられるような空間にしようと、スタッフと試行錯誤をしました。

香取 すごく不思議なんだけど、これまでも何度も、自分の部屋っていう設定のセットをいっぱい見てきたけど、いつもだいたい明るい色味だったり、どこで買ってきたのかわからない人形が置いてあったりして。

三谷 ははは、だいたいそうなんだ?

香取 だいたいそうですね。

三谷 自分の家はどうなんですか?

香取 アトリエ的な場所には確かに赤いソファを置いていて、結構、舎人の部屋とイメージが近い。でも、住んでいるところは違って、黒一色みたいな。インテリアショップみたいな空間。

三谷 へえ、そうなんだ。

香取 コマーシャルでも一瞬しか出てこなくても、自分の部屋っぽいのはこういう舎人の部屋の感じ。どうしてだろう?すごく不思議で。

三谷 極端に言えば、香取くんは畳の部屋に住んでいるイメージがないからね。

香取 美術的な要素で言うと、今回のドラマには最後にアニメーションがついていて、タイトルの文字のフォントもおしゃれで、笑いとか、コメディの要素だけじゃなく、ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、これが好きって言える要素が多い。そう思えるから人に薦めたいし、「え? 知らないの?」って言いたいんですよ(笑)。今回のドラマもそうだけど、三谷さんの作品って、全部そうなんですよね。

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三谷 僕は今回、配信ってことで何がうれしいかっていうと、30分のドラマなんだけど、ときには35分とかにしてもいいいですよって言われたんです、アマゾンさんに。「そんなに時間にこだわらなくていい」って。そんなことって地上波ではありえないことで、だからこそ、第1話で、先ほども話に出ましたが、バラバラに飛び散ったパソコンのキーボードのピースを探すという、あれだけで延々と10分以上費やしている。いままでのドラマだったら、あれ、絶対途中でカットされちゃう。

さらにダメ押しのように、ピースを探している中で、舎人の手がソファに挟まって抜けないということもやっているんですけど、あれも、普通のドラマではやれないですからね。あれを延々とやれる場を与えてくださったその喜びと、その間をもたせることができる俳優さんに恵まれたことがうれしくて。

あれ、普通の人じゃ演技できないと思うんですよ。あのソファのくだりは脚本になくて、あの場で「もうひとつできないかな?」と提案したら、香取さんのほうから、これはどうだと出てきたもの。ああいうセリフのないやり取りは脚本に書けないことで、それをたっぷり時間をかけてやれる。そのことができたのが、このドラマのおもしろさに繋がっていると思います。

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香取のアイデアによる舎人の奮闘シーン。

【前編】香取慎吾が演じる、愛すべき不器用人。

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アマゾンオリジナル 新ドラマシリーズ
『誰かが、見ている』

●脚本・演出/三谷幸喜
●出演/香取慎吾、佐藤二朗、山本千尋、長野里美、宮澤エマ、夏木マリ、稲垣吾郎、大竹しのぶほか
●1話約30分、全8話
●9月18日より、アマゾンプライム・ビデオにて全8話を一挙独占配信
https://twitter.com/darekagamiteiru

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photos:©︎2020 Amazon Content Services LLC, stylisme:KAN NAKAGAWARA (CaNN / KOKI MITANI), KAYO HOSOMI (SHINGO KATORI), interview et texte:YUKA KIMBARA

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