三谷幸喜×香取慎吾、最強タッグの初挑戦とは?

インタビュー

9月18日からアマゾンプライム・ビデオで独占配信される新オリジナルドラマシリーズ「誰かが、見ている」。これまでドラマでは「HR」、「新選組!」、映画では『THE 有頂天ホテル』、『ザ・マジックアワー』、『ギャラクシー街道』とコンビを組んできた三谷幸喜×香取慎吾が手がけるシットコム(シチュエーションコメディ)である。

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ふたりがシットコムでタッグを組むのは、実に18年ぶり。

【前編】香取慎吾が演じる、愛すべき不器用人。

香取演じる舎人(とねり)真一の途轍もなく愛すべき不器用さに、過剰な関心を抱いてしまった隣人の佐藤二朗演じる粕谷次郎と山本千尋演じるあかね父娘。あかねが舎人の日常を勝手に動画配信してしまうことを思いつき、その配信を通じて、本人の知らぬところで世間の人気に火が付いて……という、まさにSNS時代のコメディとなっている。この攻めた設定、企画を世に放つことになった裏側をふたりに聞いてみた。

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黄色いつなぎをトレードマークに、香取慎吾がコミカルな演技を披露。

――香取さん演じる舎人真一ですが、好奇心は人一倍強いのに対し、できないことも人一倍あるという、愛すべき不器用さをたたえたキャラクターで、まるで生まれたての赤ん坊、もしくは絵本シリーズ「おさるのジョージ」と連想しました。どうしてこのようなキャラクターになったのでしょうか?

三谷幸喜(以下、三谷) 確かにおさるのジョージも、いろいろと工夫しますよね、それは舎人とつながるところかもしれない。僕の息子が6歳になるんですけど、舎人にはかなり息子のイメージが投影されています。息子がやりそうなこと、言いそうなことをそのまま香取さんにやってもらっているんです。なぜそうしたかというと、シットコムって、主人公が個性的でなければならないというのがあって。今回はアマゾンプライムだから、世界中の人に向けての配信で、もちろん字幕があるのですが、なるべく台詞に頼らないおもしろさでみなさんに楽しんでもらうにはどうしたらいいかと考えた時、キャラクターの可笑しさ、おもしろさをまずは前面に出したいと思ったからなんです。どこの国の誰が見ても、彼がいるとおもしろくなってしまう。そこから舎人が生まれたという経緯があります。

もうひとつ言うと、これまで僕の芝居の中で、香取さんは周囲のみんなに振り回される役柄が多かったのですが、そろそろ逆が見てみたいなと。香取さんがトラブルメーカーになっているところを見たいと思ったんです。さらに言うと、香取さんのコメディアンとしての引き出しをもっと見てみたい。朝起きて歯を磨いて、朝食を食べてという当たり前の動作を香取さんが演じると可笑しくてしょうがない、そういう生きているだけでおもしろい香取さんを見てみたいと思いました。

香取慎吾(以下、香取) 三谷さんがおっしゃるように、これまでの僕は三谷さんの作品の中で振り回される役がとても多かったので、「誰かが、見ている」の台本を読んだ時は難しかったです。これまでの役柄とは違っていたので、「この台本の裏に何か意図があるのか?」と余計なことを考えてしまいました。だから最初の頃は、「これはこうでいいのですか?」と質問しながら進めていました。

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やることなすことハプニングだらけの舎人。生の観客の笑い声や拍手も入ってくるというショートコントのような演出。

――事前に第1話、第3話を観させていただいたのですが、その中で舎人が、パソコンのキーボードボタンがバラバラになった時、リモコンカーを操作して、各パーツを集める場面があるのですが、まさに一発芸と言いますか、ライブ感満載で驚きました。

三谷 あれね、実際にお客さんの前でやりましたからね。スゴイですよね。

香取 そうですね。そういう目で見れば、結構、細かく段取りがありましたよね。でも、なんだろう。三谷さんだからだと思うんですけど、不自然な動きが入っていないからそんなに苦労しないんですよ。三谷さんが作ってくれる動きは、ここでこうなっちゃうから、次はこうしなきゃいけないということの積み重ねだから。脚本に、一個でも「これって意味あるのかな?」という動きを付けられちゃうと、覚えにくいと思うんですけど。

三谷 シチュエーションコメディというのは、別にお客さんの前でやらないといけないとか、そういう決まりはないんですね。ただ、今回の「誰かが、見ている」はシットコム+αという感じのもので、お客さんの前で、なおかつワンシーンで収録しています。元々シットコムというのはシチュエーションと登場人物が限定されているものなんです。連続ドラマではなくて、毎回1話完結。だからいろんな事件が起きるんだけれども、主人公が全然成長していかないというものをある意味シットコムという風に言うらしい。一応それに倣って作っています。プラスお客さんの前で演じる。なるべく止めずに舞台と同じような形で作るというのは、僕が舞台とテレビの両方をやっている人間なので、両方のいいとこ取りができるんじゃないかなと思って今回初挑戦してみました。やっぱり違いを感じるのは、お客さんが実際に前にいることですね。

香取 僕と三谷さんは「HR」という作品で、シットコムを18年前にやっているんですけど、その時は2クール、半年間やらせていただきました。1日お稽古して、次の日が本番で、お客さんを入れて。ドラマなんだけど、一発本番のような形で作って、すごく楽しくて、大好きになったジャンルなんです。きっとこの「HR」という作品のように、これから日本にいっぱいシットコムがあふれて、いろんな作品が見られるんだなと思っていたんですけど、そうはならなくて。それからずっとシットコムをやりたいなと思い続けていたら、今回、三谷さんがアマゾンプライム配信という形で実現してくれて。三谷さんにとって初めての場所で、シットコムに参加できてすごくうれしいです。

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舎人の一挙一動を覗き見ながら見守る粕谷親子(佐藤二朗と山本千尋)。

――舎人さんは知らないうちに隣人の粕谷父娘に勝手に観察されて、どんどん好きになられて、お節介ばあさんみたいに、いろいろ手助けされるような設定ですけど、香取さんとしては同じような状況にあったことはありますか?

香取 あったと思います。もう記憶にないですけど。いまはもう僕、有名だけど、有名じゃない僕が有名になった瞬間に、経験しているんじゃないかな。「あれ?あれって香取慎吾じゃない?」って、言われた時に。もうあまり覚えていないけれど、その時はすごくうれしいだけじゃなくて、怖いとか、やだなあと思ったこともあったから。そういう感じは重なる部分はありますよね。

――佐藤二朗さんの役が優しい性格の役だから許されるけど、盗撮的な要素が(笑)。

三谷 いや、犯罪ですよね(笑)。

香取 ははははは。

三谷 ギリギリの話ではある。

香取 粕谷父娘は舎人をずっと壁の覗き穴から観察しているんですけど、ある時、「もう(観察を)やめよう」というセリフが入っていて、「あれ? なんでやめようって言うんだろう。突き詰めてここまで観察しているのに」と思って聞いていたんです。でも完成したものを観ると、あのひと言がフォローになっていたり、二朗さん演じる粕谷が悪い人に見えなくなっていて、全体的に嫌な雰囲気じゃないんです。三谷さんの脚本はそこがすごいなあと。

三谷 ははは。

香取 でもやっている時は、「せっかくこんなに盛り上がって、みんなではちゃめちゃやっているのに、なんでそんな冷めるひと言を?」って思ったんだけど、できあがってみると、それがすごく大事だったりするんです。

【後編】三谷幸喜&香取慎吾、見てる? 見られてる? に続く

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photos:©︎2020 Amazon Content Services LLC, stylisme:KAN NAKAGAWARA (CaNN / KOKI MITANI), KAYO HOSOMI (SHINGO KATORI), interview et texte:YUKA KIMBARA

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