編集KIMのシネマに片想い

東京フィルメックス育ちです!

編集KIMのシネマに片想い

こんにちは、編集KIMです。
先日、フィガロ本誌やmadameFIGARO.jpで「活動寫眞館」連載をしてくださっている齊藤工さんにお話をうかがっている時に、「アジア人として」という言葉が出てきました。
「アジア人として」――。私もずっと「アジア」ということを意識して映画をはじめカルチャーを眺めたり、仕事をする時にもベースに考えとして持ってきたので、齊藤さんの言葉にとても共感しました。
アジアの秀作をきちんと観ておきたい、という気持ちが1990年代から強くなって、東京国際映画祭のシネマプリズム部門や、アジアの風部門を観ていました。2000年になって始まった「東京フィルメックス」という有楽町で毎年11月にこぢんまり行われる映画祭には、開催初年度から現在までずっと通い続けています。ここで、多くのアジア映画の才能に出会いました。

なんといっても筆頭は韓国のキム・ギドク。東京フィルメックス映画祭で『受取人不明』(2001年)を観た時は、残酷なのに美しい描写、劇的なドラマに驚愕したものです。その後、ギドク監督が映画が撮れなくなっている時の自分を人里離れた小さな小屋で撮影した『アリラン』(2010年)のような私的告白的なドキュメンタリーでさえおもしろい仕上がりになっているのを観て、何かを表現するという才能やエネルギーが果てしない人って存在するのだなあ、としみじみしました。今年のカンヌ映画祭コンペにも出品された『バーニング』(2018年)の公開が来年にひかえているイ・チャンドン監督の『オアシス』(2002年)を観たのも東京フィルメックスでした。席から立ち上がれないほどの感動というか深い感慨を覚え、この「シネマに片想い」のカバー画像に積み上がるDVDの1枚にしている映画です。韓国映画ばかり挙げてしまいましたが、中国のロウ・イエ(第1回開催時のグランプリ『ふたりの人魚』)、ジャ・ジャンクー、タイのアピチャッポン・ウィーラセタクンもこの映画祭で深く知りました。アピチャッポン監督には、2011年6月号のフィガロジャポン「タイの夢ヴァカンス」特集で、チェンマイのおすすめアドレスを教えてもらい紹介しています。それも、この映画祭でのインタビューがきっかけでした。
昨年2017年は、インドネシアの女性監督作『殺人者マルリナ』が最優秀作品賞。女性監督の作品が素晴らしかった年で、madameFIGARO.jpでもインタビューを紹介したシルヴィア・チャン監督の『妻の愛、娘の時』が日本で最初にお目見えしたのもこの映画祭でした。

今年も、多くのアジア映画監督の作品が紹介されます。開催は今週末11月17日(土)から25日(日)までです! 今回の上映作品のなかで、KIMが気になっている作品について触れていきますね。

オープニングに韓国のホン・サンスとはしびれます。日本では加瀬亮さんが出演した『自由が丘で』(2014年)などでも注目され、本国で女優キム・ミニとの不倫関係でも話題のモテ男な監督。意欲的に日常から派生したシーンで映画を撮り続ける監督なのですが。今回の上映作品は、2018年に撮影された『川沿いのホテル』『草の葉』の2本。ともにキム・ミニ出演です。

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『川沿いのホテル』 ●監督/ホン・サンス ●2018年、韓国映画 ●96分  ロカルノ映画祭で男優賞受賞。

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『草の葉』 ●監督/ホン・サンス ●2018年、韓国映画 ●66分 こちらもヴェネツィア映画祭に出品。世界3大映画祭の人気者です、ホン・サンス監督。

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『幸福城市』●監督/ホー・ウィディン ●2018年、中国・アメリカ・フランス映画 ●107分 2056年の台北が舞台。中国映画はここ数年で確実に変わりました。若い世代の台頭は昔からだったけれど、2010年代の若手監督の新しい感性のおかげか、作風がグローバル化して、国ごとの個性よりも、世代の個性としてのほうがひとくくりにできるような‥‥もちろん映画祭時に観るので、本作未見ですが、期待大です。

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『轢き殺された羊』●監督/ペマツェテン ●2018年、中国映画 ●86分 ウォン・カーウァイがプロデュース、ということで気になっています。チベットが舞台。

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『ロングデイズ・ジャーニー、イントゥ・ナイト』 ●監督/ビー・ガン ●2018年、中国・フランス映画 ●140分 こちらはフランス映画の目利きの配給会社が気に入って、日本公開が決まったようです。フィルムノワールの雰囲気、ワンカット1時間で3D映像と、驚きの仕掛けが気になります。カンヌのある視点部門にも出品されました。

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『夜明け』 ●監督/広瀬奈々子 ●2018年、日本映画 ●113分 こちらの日本映画は観ました! 日本の、若手女性監督たちの映画が来年前半、何本か公開されます。広瀬監督は、西川美和監督にも師事していた人物。女性の視点で、男の心の中を描くっておもしろいな、と思いました。骨太です、作品の方向は。柳楽優弥さん主演。日本での公開は2019年1月です。

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『アッシュ・イズ・ピュアレスト・ホワイト』(原題)●監督/ジャ・ジャンクー ●2018年、中国・フランス映画 ●141分 こちらも配給が付いたので、公開されます。ジャ・ジャンクー作品は昔からフィルメックスのメインの楽しみのひとつでした。こちらは裏社会で生きる男女の時間を描く物語。以前、フィルメックスでウォルター・サレス監督によるジャ・ジャンクーを題材にしたドキュメンタリー映画も必見でした。
© 2018 Xstream Pictures (Beijing) - MK Productions - ARTE France Cinéma

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『8人の女と1つの舞台』●監督/スタンリー・クワン ●2018年、中国映画 ●100分 きらびやかかつ耽美的なストーリーを得意とするクワン監督作に、昔夢中になりました。1991年のマギー・チャン主演作『ロアン・リンユイ』でも女優を描きましたが、この作品も女優たちの姿を追っている物語です。

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『あなたの顔』 ●監督/ツァイ・ミンリャン ●2018年、台湾映画 ●76分 ツァイ・ミンリャン監督は何度も映画監督やめる!と叫ぶ人ですが必ず戻ってくることが特徴。フィガロの映画レビューのページでも大スペースで何度も紹介していますし、KIMも以前インタビューの際にお会いしたことがあります。(そう考えると、ここで紹介する監督たちでも、どうしても会えない映画作家には会えていないですね、大好きなイ・チャンドン監督にもキム・ギドク監督にもインタビューではお会いしたことがない…‥)最近のツァイ・ミンリャン監督は、ストーリーというよりも映像詩人的要素が強くなってきていますが。

ここまで書いて気付いたのは、今年は中国・フランス合作が多いこと。そして、ここでも書ききれないけれど紹介したい作品はまだまだあります。これまでも出品作が多い特別招待作品の監督作を多く紹介してしまいましたが、映画祭とは本来、新しい才能を発掘したい!という映画好きが通う場所です。コンペの作品もたくさん観に行くつもりです。平日の21時台上映のTOHOシネマズ日比谷、休日は朝日ホールに通います。

アジア映画の魅力と出合いに、多くの方がフィルメックスに足を運んでほしいです!

第19回東京フィルメックス 
開催:2018年11月17日(土)~25日(日)
https://twitter.com/tokyofilmex

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