Music Sketch

人気フェスのドキュメンタリーや、人気の舞台など次々配信。

Music Sketch

緊急事態宣言が発令され、自宅にいる時間が生活の中心となりました。この1週間で配信された動画や、これから配信されるものをいくつかご紹介します。

■アンドレア・ボチェッリが、感染防止の祈りを込めて熱唱。

イタリア人テノール歌手のアンドレア・ボチェッリが4月12日夜に、キリスト教の復活祭(イースター)に合わせて「Music For Hope」と題したソロコーンサートを生配信。それが現在も動画としてアップされている。ボチェッリは「音楽がストリーミングされることによって、世界中の人々がしっかりと手を繋ぎ、私たちは傷ついた地球の脈打つ心臓を抱きしめられるでしょう」とメッセージ。

イタリアは、新型コロナウイルス感染において特に死者が多い国とあって、この配信は非常に注目された。会場は歴史的建造物であるミラノ大聖堂で、無人の空間に響き渡るパイプオルガンとボチェッリの魂を込めた歌声に惹き込まれ、画面の隅々まで見入ってしまうほど。最後の曲「Amazing Grace」ではボッチェリは外へ出て、天空の下で各国へ思いを込めて歌い上げる。趣深い動画なので、まだの方はぜひチェックを。

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■世界的人気音楽フェス、コーチェラのドキュメンタリー映像。

こちらはアメリカを代表する世界屈指の音楽フェスのひとつ、コーチェラ・フェスティバルの20年に及ぶ歴史を追ったドキュメンタリー映像『Coachella: 20 Years in the Desert』。主催者や関係者のインタビュー、当時のパフォーマンス映像を交えて構成している。当初はオルタナ系のインディー・ロックバンドがフェスの中心だったが、その後はエレクトロポップ、EDM、そしてR&Bやヒップホップなどがメインアクトとなり、これまでの潮流を知る上でも興味深い。

2011年のヘッドライナーであるカニエ・ウエストがクレーンに乗って登場し、ギリシア風の巨大なレリーフをバックに大がかりなパフォーマンスを展開。2018年にはビヨンセが「Beychella」と呼ばれたほどソロコンサート並みの圧巻のステージを披露するなど、見どころも満載。また、会場奥にある観覧車のライティング含め、毎年ド派手になっていくフェスの様子も楽しめる。

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■パンデミックと闘う医療従事者を支援。豪華な顔ぶれの『One World: Together at Home』

企画者としてのレディー・ガガの記者会見も注目された『One World: Together at Home』。これは、WHO(世界保健機関)と国際的な貧困問題に取り組む組織「グローバルシチズン」が連携して準備したイベントで、新型コロナウイルス感染症のパンデミックと闘う医療従事者を支援するためのバーチャルコンサートだ。参加者はアラニス・モリセット、アリシア・キーズ、アンドレア・ボチェッリ、エディ・ヴェダー(パール・ジャム)、エルトン・ジョン、クリス・マーティン(コールドプレイ)、コモン、ジョン・レジェンド、スティービー・ワンダー、ビリー・アイリッシュ、リゾ、レディー・ガガをはじめとする顔ぶれに、ミュージシャン以外ではデヴィッド・ベッカムなども参加予定。日本時間4月19日午前9時から、アメリカのTV局を通じて生放送され、YouTubeやFacebookなどでも配信される。

■ARライブ体験を楽しめるリアル・エステートの試み。

新しい試みではUSインディーシーンで活躍する、ニュージャージー出身の5人組バンド、リアル・エステートが、ライブに限りなく近いARライブ体験ができる「Quarantour」を開始。iPhoneまたはAndroid端末でアクセスすれば、時間と場所を選ばずに誰でもARライブ体験が可能になるとのこと。

YouTube上では実際に体験をした際のデモ映像が公開されている。

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■シェイクスピアズ・グローブでの『ハムレット』公開中。

舞台作品にもフリーで配信されているものが増えている。見応えがあるのは、ロンドンにあるシェイクスピアズ・グローブで行われている『ハムレット』(2018年)。シェイクスピアに所縁のあるグローブ座を現代に再現した劇場のため、その建造物からして独特な雰囲気を醸し出している。シェイクスピア作品は、日本でも公開されているナショナル・シアター・ライブの映画シリーズでもよく目にするが、近年は特に配役にこだわりを見せていて興味深い。ここでは、ドラムの生演奏だけで効果音を作るといった演出にも注目を。

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■ナショナルシアターでも期間限定で作品公開中。

ナショナルシアターでも募金活動を行いながら、期間限定で作品を公開している。現在は『宝島』を公開中。日本時間の4月17日午前3時から1週間公開し、その後、他の作品に替わる予定。毎回豪華な内容なので、興味のある方はYouTubeチャンネルをマメにチェックしてみてください。

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4月23日まで視聴できる『宝島』より。photo : coutesy of National Theatre

■アンドリュー・ロイド・ウェバーのYouTubeチャンネルも必見!

アンドリュー・ロイド・ウェバーが、自宅でショーを楽しんでもらいたいからと、この4月に立ち上げたYouTubeチャンネル「The Shows Must Go On!」。第3弾として日本時間の4月18日3時から48時間にわたり『オペラ座の怪人』を公開。これは2011年にロイヤル・アルバート・ホールで上演された25周年記念コンサート版。すべて無料配信のため、その代わりにウェバーはさまざまな慈善団体への募金を呼びかけている。

■ほかにも各国の舞台がストリーミング中。

スイスのジュネーブ歌劇場では、アヴィエル・カーンが総監督を務めた『浜辺のアインシュタイン』をストリーミング中。カーンはベルギーのアントワープにあるオペラ・フランダレンを一躍有名にした実績から、移籍後の2019年9月のこの就任公演はとても注目された作品。『浜辺のアインシュタイン』は、現代音楽の巨匠であるフィリップ・グラスのオペラ三部作の第一作目であり、気鋭の舞台演出家として名を成したロバート・ウィルソンと組んで制作したグラスの出世作。それゆえ、こちらの舞台も見事な仕掛けとともに素晴らしい世界観を演出している。オペラ好きでなくても必見の作品。こちらは4月19日まで。

ステージ・ロシアでは、ロシアの偉大な詩人・作家であるプーシキンの『エフゲニー・オネーギン』に基づいた『オネーギン』を4月16日〜19日、シェイクスピアの『リア王』を23日〜26日にストリーミング。

普段は会場に足を運ばなくては観られないコンサートや舞台を自宅で楽しめるよう、世界各国でこういった動きが出てきています。掲載しきれないので、また追ってアップしていきます。

*To Be Continued

伊藤なつみ

音楽&映画ジャーナリスト/編集者
これまで『フィガロジャポン』やモード誌などで取材、対談、原稿執筆、書籍の編集を担当。CD解説原稿や、選曲・番組構成、イベントや音楽プロデュースなども。また、デヴィッド・ボウイ、マドンナ、ビョーク、レディオヘッドはじめ、国内外のアーティストに多数取材。日本ポピュラー音楽学会会員。
ブログ:MUSIC DIARY 24/7
連載:Music Sketch
Twitter:@natsumiitoh

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