齊藤工 活動寫眞館 ・弐 東京スカパラダイスオーケストラ、谷中敦。
「齊藤工 活動寫眞館」について
フィガロジャポン本誌とmadame FIGARO.jpの連動新連載「活動寫眞館」。現在発売中の本誌に被写体として登場したのは、東京スカパラダイスオーケストラの谷中敦だ。うだるような暑さの7月の終わり、齊藤工が代官山を訪れた。
光と影が交差する店内の一角。
鉄製の重い扉を開けると、そこには502と記されている。レザーの香りがゆったりと充満する、洗練されたプリミティブな空間。谷中敦が20年近く通っているという、片山勇が手掛ける「BACKLASH」の店。革、それぞれが持つ個性を丁寧に生かしたレザーアイテムが数多く揃い、ジャケットやブルゾン、シャツなどウエアのほか、ベルトやバッグなど小物も充実している。タフであり品のある、実に男らしいクリエイションだ。
「ずっと憧れの人だったんです」
齊藤は緊張ぎみにつぶやき、そのほのかな緊張感を抱えたまま、ふたりは早くも撮影の空間へと消えていった。
この日も「BACKLASH」のシャツを着てきた谷中。
約10分。「撮れました」と階段を下りてくる齊藤。挨拶した時の緊張感が早くもとけている様子だ。「じゃあ、せっかくだし色々着てみようよ」と、谷中はジャケットやブルゾンを試着していく。全国ツアー中だったにも関わらず、軽快なムード。
タイトなレザーをさらりと着こなす。そのレザーアイテムも、以前から着ていたかのようなフィット感。
男ふたりとレザーのある、タフな空間。それと相反する和やかな雰囲気。次々とレザーアイテムを試着していく中で、齊藤があるブルゾンに注目をした。
「このジャケットの裏地、コレは?」と齊藤が聞くと、谷中は答える。
「それは、僕が書いた詩なんです」
レザーブルゾンの裏地に、英語の詩をプリント。
メッセージを背負う。バックプリントのメッセージTシャツよりも、密着度が高い。齊藤はブルゾンを試着し、谷中のメッセージを背負った。
この手によって“音楽”が奏でられる。
「最後に、手を撮っていいですか?」
「もちろん」
齊藤が最後にフォーカスしたのは、約30年間バリトンサックスを演奏し続けてきた、手だった。
「谷中さんから漂う空気は、慈愛に溢れ艶やかな匂いがした、繊細で大胆で、あらゆる両極のモノを同じボリュームで持ち合わせていらっしゃる方。短い時間でしたが、その空気を浅草寺の御線香くらい自分に浴びせました」
憧れの存在も気負いなく。
出会えた喜びの気持ち一緒に写真に刻んだ、真夏のとある一日だ。
東京スカパラダイスオーケストラのバリトンサックス担当。最新アルバム『Paradise Has NO BORDER』(cutting edge)が発売中。11月にはライブハウスツアー「涙後体前」がスタートする。www.tokyoska.net
移動映画館プロジェクト「cinéma bird」主催。映画監督作に『半分ノ世界』(2015年・国際エミー賞ノミネート)。初長編監督作『blank13』(第20回上海国際映画祭 最優秀監督賞受賞<日本人俳優初>)は、18年2月公開予定。写真家として、KinKi Kidsシングル『薔薇と太陽』(ジャニーズ・エンタテイメント)ジャケット写真、綾野剛や柄本佑など俳優のオフィシャルスチールを撮影。
BACKLASH
国内のみならず海外にもファンも多く、レニー・クラヴィッツやキース・リチャーズ(The Rolling Stones)なども愛用することで知られる。
東京都渋谷区鶯谷町8-7
tel:03-3462-2070
www.backlash.jp
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