「齊藤工 活動寫眞館」について

齊藤工&る鹿が紡いだ、フランスシネマのようなひと時。

「齊藤工 活動寫眞館」について

俳優・斎藤工が、アーティスト・齊藤工として手がける、モノクロ写真。尊敬する人、会いたい人にカメラを向け、映画のメインキャストを撮影するように、一瞬の表情と佇まいを写し取る。フィガロジャポン本誌「齊藤工 活動寫眞館」に未掲載のカットと、齊藤自身の言葉で、撮影舞台裏を綴ります。今回は、最近歌手デビューも果たしてますます注目を浴びるモデル、る鹿が登場。

愛らしい顔立ち、一度聞いたら忘れられない名前、何より圧倒的な存在感。齊藤工もまた、る鹿の存在を知って衝撃を受けたひとりだった。

「あるスタイリストさんがSNSに投稿した作品に彼女が写っているのを見て、“る鹿”とは何者だろう!?と。無国籍で、性別も超えるような雰囲気を纏っていて、こういう人が現れて肩書き至上主義が崩れていく、それを象徴するひとりだと思いました」

ほどなくして撮影が実現し、齊藤とる鹿は初めて顔を合わせた。

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今回の撮影にあたり、齊藤がイメージしたのはフランス映画のヒロインのようにる鹿を撮影することだった。ボーダーのトップに着替えて目の前に現れた彼女に、「可愛い!」とスタッフから幾度となく声が上がる。まさにパリジェンヌを演じる主演女優のように瞬く間にその場にいる皆を魅了した。

ソファに座る彼女に寄って撮影する齊藤の手のブレスレットに目を留め、「crystalは日本語で何というんですか?」とる鹿が質問し、齊藤が「水晶」だと伝える。そんな微笑ましい会話のようにシャッターが切られていく。

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衣装を変えてトレンチコートを羽織り、ファブリックを貼った壁の前に立つと、先ほどとはまったく違う表情に。ウォン・カーウァイの映画のヒロインのようだと齊藤が言うと、「ウォン・カーウァイ大好きです!」とうれしそうだ。

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外での撮影も考えていた齊藤が、雨が雪に変わったのを見て彼女を気遣うと、「行きましょう!」と元気に答える。ピンと張りつめた寒さを感じさせないほど、齊藤がとらえたる鹿は傘さえも遊び心いっぱいに使いながら、さまざまな表情を見せてくれた。ちょうど小学校の下校時間と重なり、反対側の道を子どもたちが元気よく駆け抜けていく。その後ろ姿や、重い荷物を落としてしまった子を皆で助ける様子を見て、ふと齊藤がカメラを向けていた。

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いくつかのシチュエーションで撮り進めていく際、齊藤は手持ちの照明器具で時折、る鹿に光を当てていた。光る剣のような形状を見て、る鹿は「『スター・ウォーズ』!」と興味津々。「何というメーカーのものですか?」「どこで買えますか?」と齊藤に熱心に質問する。すると齊藤は、彼女にその照明をプレゼントしたいと伝えた。る鹿はびっくりして辞退したが、齊藤の強いすすめにより、撮影後に彼女に手渡された。

「『(照明を)持って歩きたい!』と言う彼女に、『これを使ってさらにいい作品を作ろう』というクリエイターとしての意識を感じました。彼女の手に渡ってクリエイションの手助けになるんだったら、自分の手元に置いておくよりもいい」

若い才能とも積極的に関わり応援する、彼らしい何とも粋な計らいだった。

「映画は大人数が関わる大変な作業で、だからこそ実現できることがあるいっぽうで大所帯ゆえの不自由な部分もあります。これからはより感覚的な時代になっていくとわかっていても、コロナ禍で失われてしまった職業もあり、自分はかつての時代を知る人間として、簡単には切り替えられない。る鹿さんたちの世代が世界を変えていくんだと思います」

る鹿 RUKA
中国・重慶出身。2014年に来日。同年、SNSがきっかけでモデルデビュー。自身のブランド「DEERTRIP」のディレクションや、スタイルブック『る鹿的一切』(宝島社刊)の出版といったファッション分野に加え、Web連続ショートドラマ「おやじキャンプ飯」第5話や「Pen」YouTubeチャンネルのドラマ「光石研の東京古着日和」第3話に出演、21年2月10日にゆらゆら帝国の「空洞です」をカバーし歌手デビューも果たすなど、活躍の場を広げている。
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TAKUMI SAITOH
長編初監督作『blank13』が国内外の映画祭で8冠獲得。18年、パリ・ルーヴル美術館のアート展にて白黒写真作品が銅賞受賞。19年も出品。18年よりHBO Asiaの国際プロジェクトにて2年連続日本代表監督を務め、多数の賞を受賞。アジアアカデミークリエイティブアワードではそのうちの1作『Life in a box』が最優秀監督賞を受賞。主演作『シン・ウルトラマン』、出演作『騙し絵の牙』『CUBE』『狐狼の血LEVEL2』、監督作『ゾッキ』などが今年公開予定。企画・制作を手がけたクレイアニメ『オイラはビル群』が今春WOWOWにて配信予定。移動映画館「cinéma bird」の主宰や「MiniTheaterPark」の活動など。

1&2カット目:
ニット¥71,500、パンツ¥77,000/ともにJW アンダーソン(三喜商事) シューズ¥137,500/マノロ ブラニク(ブルーベル・ジャパン)その他スタイリスト私物

3〜5カット目:
コート¥145,860、スカーフ¥34,760、ブーツ(参考商品)/以上ナヌーシュカ(ヒラオインク)

●問い合わせ先:
三喜商事 tel:03-3470-8232
ブルーベル・ジャパン tel:03-5413-1050
ヒラオインク tel:03-5771-8809

stylisme : MAYU YAUCHI

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