女性の自己表現を支えたポメラート、60年の革新をパリの展覧会で読み解く。
ミラノを代表するジュエラー、ポメラートのエスプリを語る、パリ開催初の展覧会が、パレ・ド・トーキョーで始まった。1967年、時代の転換期に生まれたジュエラーの革新的な歩みが、貴重なジュエリーだけでなく、力強いキャンペーンフォトの歴史と共に語られている。

展覧会を象徴するのは、1971年に撮影された“Le Gemelle”と呼ばれるポメラートのキャンペーン写真。パオロ・バルビエリ撮影のモノクロ写真にはブレスレットとネックレスを身につけた同じモデルのカット違いが双子のように並んでいる。
「展覧会のキーワードはレヴォルーション。ポメラートは70年代のジュエリーの広告に革命をもたらしました」とキュレーターを務めたミラノ工科大学ジュエリーデザイン学科のアルバ・カッペリエリ教授は語る。ジュエリーそのものにフォーカスしていた広告写真とは一線を画し、女性のパーソナリティと内面の強さを表現したキャンペーンは、この展覧会のエスプリを象徴するものだ。

ポメラートが誕生した1967年は、20世紀におけるターニングポイントとなった時期にあたる。西欧世界を中心に学生運動や反戦運動、フェミニズム運動などが巻き起こり、音楽、アートやモード、社会全体に本格的な革新がもたらされた。ジュエリーといえば男性が女性のために投資の意味も込めて購入するものだった時代を経て、創業者ピノ・ラボリーニが提案したのは革新の時代に生きる女性たちに向けた新しいジュエリー。モードの世界にプレタポルテが生まれたのと時を同じくして、女性たちが日常に身につける自己表現の手段としてのジュエリーを提案したのだ。この展覧会は時系列でメゾンの歴史を語るのではなく、ポメラートの創造的、技術的、スタイル的な革新のファセットをテーマごとに紹介する構成になっている。

展示の幕開けは70年代の力強いキャンペーン写真。ジュエリーそのものよりも、それを身につける女性を主役としたモノクロ写真がポメラートの女性像を描き続ける。仕事を持ち、知的で自由、自立した女性たち。80年代にはアルバート・ワトソンやホルスト、90年代にはハーブ・リッツ、スノードン、ハビエル・バリョンラット、ミシェル・コントといった写真家が写し取った女性たちの姿は、時代性とともに、自立した女性の普遍的な強さを表現している。

一方、ブランドのDNAを語る歴代のジュエリーは、3つの革新をテーマ別に展示。金細工職人の家系に生まれた創業者から受け継がれた伝統技術と革新的なインスピレーションの融合から生まれた作品が並ぶ。

「クラフツマンシップの変革」は、アイコニックなチェーンがテーマ。ポメラートは、純粋に機能的な存在だったチェーンをジュエリーの重要なデザイン要素に押し上げた。しなやかで彫刻的なチェーンはダイヤモンドのパヴェが施されたり、外側にぐるりとジェットがあしらわれたりと高度なクラフツマンシップで仕上げられ、ジュエリーの中心的な存在となった。

「スタイルの変革」では、彫刻のようにボリュームがあり、柔らかなシルエットで優しい肌触りの独特のスタイルが紹介される。
「色彩の変革」は、ブランドのシグネチャーとも言える自由な色彩の組み合わせにフォーカスする。ストーンの序列の概念を超えて、ジェムの色彩を自在に操る作品を振り返る。


60年近くにわたって女性たちの自己表現に寄り添ってきたポメラート。展覧会を締めくくるのは2017年の創業50周年に立ち上げられたプラットフォームPomellato for Womenプロジェクトだ。ジェンダー平等に対する意識を高め、社会変革の推進を目的とするこのプロジェクトに参加しその運動を体現してきた女性たちのポートレートが展示され、最新のメッセージ動画が紹介されている。女性への暴力に対する運動を行う機関など、幾つものNGOへの援助を行なう同プロジェクトは、自立した強い女性たちを支えるブランドの価値観を象徴している。

『Pomellato, le Joaillier révolutionnaire ポメラート ― 革新のジュエラー』展
会場:Palais de Tokyo 13, avenue du Président Wilson 75116 Paris
会期:開催中〜7月20日
開)12:00〜22:00(木曜日は24:00まで)
休)火 入場無料
予約サイト
ポメラート クライアントサービス
0120-926-035
https://www.pomellato.com/jp
- text:Masae Takata(Paris Office)