【2027年春夏コレクション】ディーゼル、グレン・マーティンスが手がける最後のショーを開催。
2020年からクリエイティブ・ディレクターを務めるグレン・マーティンスの退任が発表されて間もない26年9月22日(現地時間)、彼が最後に手がけるディーゼルのショーが開催された。赤い照明でインダストリアルな雰囲気の会場は、クラブをイメージして作られたという。品行方正に有終の美を飾ろうとしているのか。毎回趣向を凝らしたセットや演出で私たちを驚かせるブランドにしては、シンプルであるように思われた。
トップを飾ったのはメンズモデル。ワックス加工を施したレザージャケットをトップステッチ入りのブレザーに重ね、その下にはトラックスーツの襟とシャツの袖口を融合させたリブニットセーターを着用している。

こうした融合のアイデアはコレクション全体で見られ、その境界線には蘭をかたどったカットアウトがあしらわれた。9月16日に発売されたばかりのフレグランス「オンリー・ディザイア」を象徴するこの花は、ポロドレスの裾にも刺繍されている。

レザーやデニム製のパンツとソックスからなる「パンタソックス」や、たくし上げたTシャツを縫い合わせ、再構築したアイテムも登場。



コーティングをした後、レーザー加工を施すことでレザーのような質感を表現したデニムも。

そして、やはりシンプルな演出で終わるわけがなかった。観客の中にはマルセイユを拠点とするアーティスト・コレクティブ「(ラ)オルド」のパフォーマー、200名が紛れ込んでおり、ショー中盤からはドナ・サマーの「愛の誘惑(Love to Love You Baby)」を再構築した楽曲にのって、身悶えたり、抱き合ったり、キスを交わすなど、官能的で熱を帯びたパフォーマンスを披露したのだ。ルックも段々肌が露わになっていき、ラストは極端に短いデニムショーツだった。

なお、着用したのは、トランスジェンダーのモデル、エラ・スナイダー。実はコロナ禍の2021年に発表されたマーティンスのデビューコレクションのショートフィルムで、主人公を務めていたのだった。コレクションでも、ベルトだけで固定されたトップなど、当該シーズンを彷彿とさせるアイテムが見受けられた。

フィナーレで観客たちはスタンディングオベーションでマーティンスを迎えたが、大胆で型破りに人生を楽しむ姿勢を提案し、アイコニックなデニムを中心に実験的なアイデアを実現し続けた彼は、たしかにブランドイメージを変え、若い世代を中心に多くの新しい顧客を獲得した。きっと本人は一区切りがついた、と感じているだろうし、観客たちもそれを大いに讃えたのだった。
はたして、彼が築き上げたスタイルを引き継ぐ次世代とは一体誰なのか。今後の発表を心待ちにしたい。
- text: Itoi Kuriyama
- edit: フィガロジャポン編集部