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agnès b.
吉岡里帆、アニエスベーと見つける「私らしい毎日」。
母の影響で、幼い頃から親しんできたアニエスベー。吉岡里帆は、大人になったいまも、その世界観が日々のワードローブに息づいているという。長く愛するブランドへの思い、自分らしいスタイル、そして新しい装いが引き出す、まだ知らない自分について。2026年秋冬コレクションを纏い、吉岡里帆が等身大のファッション観を語った。

好きの原点は、幼い頃の記憶に。
物心ついた頃から、アニエスベーは身近な存在だった。きっかけは、フレンチテイストの洋服やインテリアを愛していた母。家の書棚には、アニエスベーの写真集もあったという。
「スナップボタンが付いた裏起毛のカーディガンとか、キャップとセットになっている可愛い水着とか。子どもの頃に着ていた服をすごくよく覚えています。慣れ親しんでいたからこそ、大人になったいまもその愛着は変わらなくて。ベーシックでリラックス感のあるフレンチカジュアルは、私がいちばん好きなスタイルになっています」
カーディガンプレッションや、コットンのボーダーカットソー。アニエスベーの服をずっと好きでいる理由は、“時代に流されない、タイムレスな魅力があるから”。

彼女自身、洋服を買う時に基準にしているのは、ずっと好きでいられるかどうか。普遍的で、時代に左右されない服を愛するあまり、一度気に入ったら簡単には手放せない。そのため「クローゼットはすごい量になってきてます」と苦笑する。
「私、同じ服を何年も着られるタイプなので、『これはまた絶対、いつか着るだろうな』と全部に思っちゃうんです。去年とどう違う雰囲気で着られるかを考えるのも楽しくて。アニエスベーのベーシックアイテムをずっと好きな理由は、着回し力が高いところにもあるかもしれません」

たくさん試した20代を経て。
「20代の頃は、本当にいろんな服を着ては失敗して。買ったのはいいけど、『やっぱり着こなせないな……』とあきらめた服もたくさんありました」
最初から、長く愛せるものだけを見極められていたわけではなく、たくさん手探りで試した時期があったという。経験を少しずつ重ねながら、次第に自分にしっくりくるものが見えてきた。
「年々、いろいろなものに手を広げたり、突発的な買い物がすることが少なくなってきました。いまは、『絶対に好き』と自分でわかるものを掘り下げるようになった気がします」

服の選び方が変わるなか、思い描くクローゼットのあり方も少しずつ変わってきた。
「以前何かで、目をつぶって引っ張り出したものだけでコーディネートできるという、究極におしゃれな人のクローゼットを見たことがあって。私もそうなりたい!と思うようになりました。パリジャンたちも、服をたくさん持たないと言いますよね。自分にとってずっとスタンダードでいられるアイテムをひとつずつ持っていればいいという考え方って、すごく素敵だなと思います」
何でも試していた頃から、自分の軸をもって選ぶようになったいま、選択肢を狭めたはずなのに、意外にも、装うことがもっと軽やかになったという。見つけたのは、“自分らしさを深めていく楽しさ”だった。
まだ知らない自分が見えてくる。
「いろいろな撮影現場に行かせていただいていますが、忙しい毎日の中でも、朝の服選びはしっかり悩みます。たとえば着物を着る日は、前開きの服が脱ぎ着しやすく便利なのですが、“じゃあ、何でもいいか”とはならなくて。少しでも可愛い前開きの服を選びたくなってしまうんですよね(笑)」
そのこだわりの理由は、演者としてどんな佇まいで現場に入るかも、チームの空気をつくるひとつだという思い。だからこそ服を選ぶときに、仕事の内容や場所、その場にいる人たちを思い浮かべる。相手や場への敬意を装いに込めながら、その日の自分を整えていく。

同時に、服を選ぶ時間は、気持ちを切り替えるためのスイッチでもあるそうだ。今日はどんな気持ちで一日を始めたいのか。どんな心のあり方でいたいのか。内面に問いかけるように、服を纏っていく。
「常に自分を磨き、新しい感覚を取り入れていくことが必要な職業だと思うんです。そのためにも、自分がマンネリ化しないように、新しいアイテムを手に取ることも大事にしていきたいです。その先で、まだ知らなかった自分の一面が、ふと見えてくるような気がします」
Profile
吉岡里帆/Riho Yoshioka
1993年1月15日生まれ、京都府出身。2015年のNHK連続テレビ小説『あさが来た』への出演で注目を集め、以降、映画・ドラマを横断して活躍する。 26年はNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』、映画『シャドウワーク』や『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』などに出演。
- photography: Bungo Tsuchiya(Tron)
- styling: Chie Gondo
- hair: Hirokazu Endo(ota office)
- makeup: Kie Kiyohara
- editing: Yuki Miyahara