ギリシャの息吹が宿る、シャネルのクルーズコレクション。
Le cercle Chanel
5月の初め、パリのグラン パレの上階にあるギャラリー クールブで発表されたシャネルの2017/18年 クルーズコレクション。今回、カール・ラガーフェルドは“文化の起源”を出発点とし、古代ギリシャにクリエイションのヒントを求めた。「古代、そして古典古代のギリシャにおける美の基準は、いまの時代にも当てはまります。あれほど女性が美しく表現された時代はないでしょう」と、カール。もっとも「リアリティには興味はありません。自分の気に入ったものを使うだけ。私の考えるギリシャとは概念のひとつにすぎません」と語る。
左:Look 1 右:Look 58 ©CHANEL
左:Look 65 右:Look 85 ©CHANEL
古代ギリシャを想起させるコードが、カールによってシャネルらしくアレンジされた最新作の数々。まるでギリシャ神話に登場する女神のような雰囲気を漂わせたモデルたちが纏うのは、ツイードとジャージ、シルクとリネン、そしてレースとクレープなどテクスチャーの違った素材を組み合わせた軽やかなコレクション。しなやかなドレープは流れるようなラインがモダンかつエレガントなシルエットを描き出す。また、月桂樹の枝からなるダブルCのプリントや古代の水瓶に施された装飾やフレスコ画の帯状装飾を模したモチーフのニットウエアなど、神話のエッセンスを取り入れたアイテムも目を引く。「古代史を彩る要素を、歴史の授業で学んだままではなく、ひねりを加えて、より軽やかにモードに落とし込みました。シャネルらしさもありながら、かつてマドモアゼル・シャネルが創造していないものに仕上がったと思います」
フィナーレより。 ©CHANEL
フィナーレより。古代ギリシャからのインスピレーションを最新コレクションに昇華させたカール・ラガーフェルド。 ©CHANEL
新作のアクセサリーにも古代ギリシャのエレメントがふんだんに散りばめられている。足元には、柱状のヒールが特徴的なグラディエーターサンダル。そして、月桂冠のヘッドアクサセリーや首や腕に絡まるゴールドのブレスレット、カフもコーディネートのアクセントに。神話の世界では、知恵の象徴とされるフクロウのモチーフを飾ったバッグやマーブルレザーを使った“ガブリエル ドゥ シャネル”の最新作など、ディテールにいたるまで、カールが解釈する古代ギリシャのエッセンスが詰まったアイテムをチェックしたい。
texte : TOMOKO KAWAKAMI, graphisme du titre : KAORU MASUI ( [tsukuru] )