シャネルのキーワード11 進化するジャケット。
シャネルを紐解く24のキーワード
10月初め、19年春夏 プレタポルテ コレクションを発表したシャネル。会場になったパリのグラン・パレでは、何とビーチを再現し、青く晴れわたった空の下、穏やかに波打つ浜辺で、新作を纏ったモデルたちが楽しげに歩く姿が印象的なシーズンに。
フィナーレ。 ©CHANEL
明るくて、爽やかなカラーパレットで幕開けしたコレクションは、ボリュームで遊んだデザインが特徴的。なかでもメゾンのアイコンであるジャケットは、ワイドなショルダーやフレアスリーブ、そしてオーバーサイズなど、さまざまなシルエットで登場し、クラシックなピースにひねりをプラスするシャネルらしい仕上がりになっている。アイコニックなツイードにシフォン、レース、コットンポプリンなどを組み合わせ、軽快さとエレガンスが見事に融合したデザインは、シャネルならでは。
Look 1、3 ©CHANEL
Look 5、20 ©CHANEL
Look 50、58 ©CHANEL
Mot-clé 11 / シャネルのキーワード 11
ジャケット Jacket
1950年代、それまでのボディを締め付けるスタイルから女性たちを解放したガブリエル・シャネル。その時、彼女が提案したのがスーツだった。それまでの時代遅れのスタイルから一転し、マスキュリンでありながら、フェミニンでもあるシャネルのスーツは、アクティブで自由に生きる女性たちの昼、そして夜の装いに快適さと機能性をもたらすことに。
ファーストコレクションのためにモデルのフィッティングを行うガブリエル・シャネル。(1954年) © All Rights Reserved
「シャネルのスーツは、活動的な女性のために作られています」とはシャネルの言葉。「そういう女性の気持ちは、私にもよく分かります。だから私は、着心地がよくて、たとえ車を運転していても、女性らしさを損なわない服を作りたいとずっと考えていたのです」。そんなシャネルが選んだ素材がツイードだった。彼女はジャケットの堅苦しいイメージを抑えるため、芯地と肩パットを取り除く。さらにジャケットの身ごろ、脇の部分、袖の位置など、さまざまな部分に工夫を凝らし、着心地のよさを追求していった。その直線的で構築的なツイードジャケットは、メゾンのアイコンとなり、時代の流れとともに再解釈が繰り返されていく。
現在、そのDNAを受け継いだカール・ラガーフェルドによって、さらなる進化を続けているシャネルのジャケット。伝統を重んじながらも、革新的なクリエイションを発信するカールの姿は、50年代に女性たちに新しいスタイルをもたらした、ガブリエルの姿とシンクロする。
---fadeinpager---
セレブリティたちも、シャネルのビーチを満喫。
秋の風が心地よいパリの街に、突如現れたご機嫌なサマービーチ。その空間に足を踏み入れた瞬間、この日、シャネルのショーのために世界中から集まったセレブリティたちのテンションも一気にアップしたよう。ブランドのアンバサダーを務めるキャロリーヌ・ドゥ・メグレや台湾の女優、グイ・ルンメイ、中国の女優、マー・スーチュン、そして日本のモデル、小松菜奈と豪華な顔ぶれのゲストたちも、みんな笑顔なのが印象的だ。「シャネルは、アイコニックでクラシックなピースにひねりを加え、いまの気分に落とし込み、進化させるのが本当に得意だよね。素晴らしい」とは、ショーの常連でミュージシャンのファレル・ウィリアムス。
texte : TOMOKO KAWAKAMI, graphisme du titre : SANKAKUSHA