【シャネル06】修道院の庭で披露されたコレクション。
シャネルの魅力にクローズアップ
先ごろ、パリのグラン・パレでシャネルの2020年春夏 オートクチュール コレクションが発表された。
いつもコレクションのテーマと強く結びついているショーのセットデザイン。今春夏のランウェイには、ガブリエル・シャネルのルーツであるオバジーヌ修道院の庭が再現された。母親の死後、12歳の時に訪れたオバジーヌ修道院で多感な時期を過ごしたシャネル。花や野菜が植えられた質素な修道院の庭園が今回のコレクションの舞台だ。
煌びやかなオートクチュールの世界とは一線を画した今シーズン。華美な装飾だけに頼らずとも、シンプルな中に潜むラグジュアリーを強く印象付ける。
白と黒で描く、ツイードのシリーズでショーがスタート。その禁欲的ともいえるデザインは、昔の女子学生や子どもたちが着ていた服などがアイデアソースに。パステルのスパンコール刺繍のセットアップは、修道院のステンドグラスが着想源だ。黒と白の無駄を削ぎ落とした装い、そして修道院の制服を彷彿とさせるワンピース。アーティスティック ディレクターのヴィルジニー・ヴィアールは、実際にフランス中部にあるオバジーヌの修道院に足を運んだのだそう。
「自然のままに近い庭園を見て、すぐに魅了されたわ。とても晴れた日で、夏の花の香りに満たされた風を感じた。そこから、まるで植物園のようにさまざまな花が咲き誇る繊細な様子を刺繍で表現したいと思ったの。私を引き付けたのは、オートクチュールの洗練された部分と、あの庭園のシンプリシティが生み出すパラドックスだった」
そう語ったヴィルジニーは、その“パラドックス”という言葉を見事に表現したコレクションを披露してくれた。
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Discover about Gabrielle Chanel's childhood
12歳から18歳までの多感な時期をオバジーヌの孤児院で過ごしたガブリエル・シャネル。彼女はこの場所で、想像力を膨らますこと、規律を守ること、そしていつも勤勉でいることなどを身に付ける。さらに将来、彼女の身を助けることになる裁縫の技術もここで習得。白と黒を愛したシャネルの美的感覚もまた、この幼少期に培われてきたものだ。
パリのグラン・パレに、オバジーヌ修道院の庭を再現。 © CHANEL
ガブリエル・シャネルは、1928年にカップ=マルタンの海を一望できる高台の土地に地中海風のヴィラを建設した。その「ラ パウザ」と名付けられたヴィラにも彼女が少女時代を過ごしたオバジーヌ修道院を思わせるデザインが随所に見られる。マドモアゼルの希望により、玄関ホールには修道院にあったものを模した大きな石造りの階段が設けられ、ヴィラを構成する3つの建物も修道院風の柱の回廊で縁取られた中庭を囲むように配置された。彼女にとって特別な場所だった「ラ・パウザ」にも自身のルーツであるオバージーヌ修道院で身に付けた規律や美的感覚が生かされていたのだ。
Look 1 © CHANEL
Look 14 © CHANEL
Look 32 © CHANEL
Look 46 © CHANEL
Look 61 © CHANEL
Look 62 © CHANEL
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シャネルゆかりの庭園で、ショーを楽しんだセレブリティ。
今回もシャネルの最新のクリエイションをひと目見るために世界中からセレブリティが集結した。ブランドのアンバサダーであるキャロリーヌ・ドゥ・メグレやファレル・ウィリアムス、そしてアナ・ムグラリスなども来場。日本から駆けつけたアンバサダーの小松菜奈は「最もシャネルらしいなと思ったところは、ツイードを使って、シンプルな中に美しさがあって、本当にもう目がキラキラしました」と語った。
シャネルのアンバサダーを務めるファレル・ウィリアムスと妻のヘレン。 © CHANEL
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BIGBANGのG-DRAGONは、シャネルのツイードジャケットを纏って。 © CHANEL
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日本からはシャネルのアンバサダーを務める女優の小松菜奈が出席。 © CHANEL
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シャネルのアンバサダーを務めるフランス女優のアナ・ムグラリス。 © CHANEL
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女優クリスティン・フロセスは、ヴィヴィッドな赤のジャケットとスカートで登場。 © CHANEL
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シャネルのアンバサダー、キャロリーヌ・ドゥ・メグレはモノトーンの装い。 © CHANEL
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カナダの女優テイラー・ラッセルは「シルエットも色も、すべてにシャネルを感じた」とコメント。 © CHANEL
texte : TOMOKO KAWAKAMI, graphisme du titre : SANKAKUSHA