アンティークリネンの、心地いい服。
おしゃれ好きなもので......
こんにちは。編集REIです。
先日、友人のアーティスト高橋雄飛が、初の個展『二笑市』を学芸大学の準備中ギャラリーで開催しました。
個展のタイトルは、関東大震災後に渡辺金蔵によって建てられた「二笑亭」が語源。”二笑=含みのある、皮肉めいた笑い”と解釈し、展示の名前に選んだそう。
会場には古布や手紡ぎ、手織りの素材を用いて作られた衣服のほか、まさに展示タイトルに適ったような、どこかシュールでユーモアがありつつ、しかしそこに意思のある立体作品のほか、ドローイングやペインティングも展示されていました。
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展示されていた服のなかで、いちばんのお気に入りがこのドレス。
フランスで買い付けたアンティークリネンをベースにしています。上の半弧を描いたような黒いデザインは、中国のミャオ族のコットンを使っていて、豚の血と卵白を混ぜたものを塗り、光沢を出しているのだそう。
左側から裾にかけて施されたペイントは、高橋さんが布用塗料で描いたもの。コンテンポラリーな表現ながらも、習字を思わせるどこか伝統的な趣きに惹かれます。
そして、最後に注目したいのが、タグ部分。
よく見ると、実は一凛の花が描かれています。その理由を聞いたところ、少し照れながらもこのように答えてくれました。
服が花瓶、人が花のような気持ちで考えました
なんと素敵な発想、そして言葉だろうと思いました。
ときには洋服が花のように見えることもありますが、心持ちとして、「人が花」の意識はとても本質的ですし、ずっと心にとめておきたいものだなと痛感。
レセプション時には、友人アーティストらが集って、演奏会も開かれました。聞きなじみのない楽器や音ばかりだったのに、なぜか心地がいいのは、高橋さんの人柄でつながった演者や、アナログな手仕事の音がそうさせるのかなと、この展示のコンセプトに触れたような時間でした。