シトウレイの東京見聞録

いまの時代の空気感が流れる店。

シトウレイの東京見聞録

おしゃれな人と、おしゃれをしている人って違う。
同様に、おしゃれなお店と、おしゃれなものを置いてあるお店というのは違って、
私が心を惹かれるお店や人っていうのは大概において前者に当たる。
今日は原宿のELEPHANT、久々に「眩しさ」なるものを感じたお店についての物語。

「今年(2018年)の7月にオープンしたんで、ちょうど半年くらいた経ちました。店に置くアイテムは、自分が着たいって思うものを基準に選んでいます。具体的には、いまの気分に沿ったブランド古着、買い付けで見つけた新しいブランド、あとはずっとやりたかったオリジナルです。古着をリメイクした一点ものなんですけどね」
オーナーの健太くんはそう話す。

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ブランド古着、オリジナル、セレクトブランドが整然と並ぶこじんまりとした店内。

原宿の奥、古いアパートの3階と、お世辞にも立地がいいとは言えないこの場所は、ファッションにのめり込んでる男の子たちが、足しげく通うお店。ラックにかかったブランド古着のテイスト、シルエット、そしてブランドのラインナップ。いまの時代の気分のものもありつつ、半歩先のものも。そして、驚くのはその価格帯。「あ、いいな」って思った古着のタグを見てみると、思った以上に肩ひじ張らないリーズナブルな値段表示。

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いまの時代感に合ったものをバイイングしたブランド古着も。90年代のコム デ ギャルソンのナイロンブルゾン¥19,800

「物に見合った値段で買ってほしいから、値段に関しては気を使ってます。付加価値みたいなのを着けたくないんです。気になったものがあった時、タグを見て『高いね』って、印象を持たれたくなくて。いまのお客さんって本当に目が肥えていて、情報取集のレベルも以前とはケタ違いなんです。インスタでランウェイの情報のチェックは当たり前、トレンドが何かも早い段階でつかんでる。語弊があったらすいません、でも『付加価値をつけて売る方法』は、もう通用しないと思ってて。付加価値はそれが『付加』であるのがわかっちゃうとさむいじゃないですか。だったら全部イーブンに見せてファッションやりたいなって。それにレイさん、値段の心配がなくなると、お店って俄然『宝探し感』って出ません? 掘り出し物を探す感覚が出てくるというか。僕、お客さんが『参加する』形のお店がやりたくて。お店の提案を受け身で聞くっていうよりも、自分でお店の中で探し、掘り出す。お客さんが能動的に店に関わってもらうのがいいなって。その方が店とお客さんの距離感って近くなると思ってて。その距離の近さが共感を生む。『憧れ』じゃなくて『共感』で、ものって買われる時代だから」

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バイイングしているイタリアのシャツブランド、エーティーエムスタジオのシャツ¥26,800

「オリジナルのリメイクも、あえて凝りすぎないように、ストイック作りすぎないように気を付けています。単純にふざけたてたり、ちょっとバカげてるほうがお客さんも気楽に買えるだろうし。距離感が近くて共感できる服がいいなって」
 価格に付加価値を付けない透明性であったり、共感でものを売る方法って、ある意味エバーレーンと同じスタンス。
個人的にはこういった新しいファッションのムーブメントは、日本ではどういう落としどころになるんだろうって思ってた時、健太くんのやり方は、そのひとつの答えだ。

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2枚のフーディを繋げたデザイン。オリジナルレーベル「ジ エレファント」ドッキング パーカ¥15,984

「いま東京のメンズのファッションはストリートっぽいものから、『ちゃんとおしゃれする』って方向性に向いてます。とはいえカチッとはしているんだけど、ヌケ感もあって。90年代後半っぽいテイストが気になってます。だから最近この年代の雑誌を読んでいて。こういう情報ってネットにもまだ載ってないから、余計に興味があるのかも。この時代の違和感のあるスタイルがおもしろくって、お店で提案したいなって。ダサいのか、一巡めぐって新鮮なのか……見極めが際どいスタイルが、半歩先のスタイルだと思うんです」

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90年代のストリート誌。スタイリングやサイズ感、写真の雰囲気もいまの気分だ、と健太くんは語る。「本当におもしろいものって、オフラインにあると思うんです。アップロードされていない情報を探してみると、何かしらの発見があります」

そう言って、90年代後半の雑誌をいくつか見せてくれる。雑誌の中は「ファッションが好き!」なパッションであふれた男の子たちがたくさんで、思う存分おしゃれしてる。
「時代の空気感的にも、いまとこの時代って同じ感じがするんですよね。イキった感じのテイストとか、おもしろいインディペンデントなブランドが出てきてたりする動きとか。ギリギリのファッションに挑戦するお客さんも増えてるし、ファッションの勢いを感じるんです。」

なんていうか、健太くんは「いまの時代の空気感」と阿吽の呼吸にある人なんだと思う。
このお店が、彼が、眩しい理由はきっとそこ。

東京、この街のいまと同期している人の見ているものと、その先と。

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オーナー兼バイヤーの折見健太くん。90年代のヒステリックグラマーのデニムがよく似合う。

The Elehpant
東京都渋谷区神宮前2-15-11 3F.
theelephantmarket.com

シトウレイ

ストリートスタイルフォトグラファー兼ジャーナリスト
日本が誇るストリートスナップのパイオニアであり、独自の視点で捉えた世界のファッションを発信するメディア『STYLE from TOKYO』 を主宰。

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