Shen Tanaka U.F.O.

田中シェンと映画監督・枝優花、深夜のガールズトーク。

Shen Tanaka U.F.O.

Hello U.F.O. riders!
Warmly welcome you back with big hugs!

緊急事態宣言解除まであと、もう少し。

解除されたら何がしたいですか?

夜に遊びに行ったり?
外でごはん食べたり?

規制緩和して時間がたくさんある気がしたり?

やりたいことたくさん!

でも、終わりは新しいはじまり。

友達とソーシャルディスタンスをとりつつも
お花見できるといいなぁって思ってます。

本日は!

U.F.O.のアパートメント、
「maison Alien」に住むARTでフロンティアな住民たちとの
交流の場、Maison Alien/

第2弾、

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映画監督、枝優花さんです。

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MA ISON
A  LI EN

NO.231 Yuka Eda

By the window

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YUK   A
E-DA

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Clothes of the day

Shoes/Dr.Martin
Bag/Casselini
Top/nugu
(すべて私物)

NO.231 / By the Window

02:01

ひどく凍えていた。

不甲斐なさに、
自分の不自由さに。

終わらない問題集を解いているような気分だ。
解いても解いても同じ場所に
戻される。

もういいだろう、
そう思って寝ようとしても、
夢の中にまで追いかけてくる。

こうなることがもともと、人間のDNAに仕込まれてのであれば
ひどい話じゃないか。

受験でさえ終わりがあるのに、
「眠れない問題」にはまるで終わりがない

あまりにも眠れないので
Maison Alienのアパートの周りをぐるぐるする。

ぐるぐる…

ぐるぐ…

ぐる…

ぐ…

「おぉ~い」

突然上から声が降ってきた。
もしや天使のお告げか?

声の主のほうへ目線を向ける。

2階の窓から聞こえたようだった

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逆光でよく見えないけど、あれは、
たぶん、優花ちゃんだ。

ふんわりと優しい桜色のカーテンが風に揺れて、
夜中だということも忘れて
あ、とうとう朝がきてしまったのか
という錯覚に陥った。

「おもしろいから止めなかったんだけど、あまりにも回るから」

口角を上げてくすりと微笑み、

「もう8周目だよ? 眠れないなら上がってこない? おいしいレモンがあるから」

その言葉に促されてシェンは階段を駆け上った。

扉を開けてくれた彼女の顔を見て
驚くほど素直な一言が出た。

「会いたかった」

  ↑フィクション
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       ↓ノンフィクション

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(優花=以下優)
(シェン=以下シ)

優「なんかさ、まだ20代の監督がわかったふうでいたって誰も得しないから。現場でも、本当にわかんないことが多くて、最初の顔合わせの時とか全然わかんなくて」
シ「うん」
優「これとこれがわからないから教えてほしい、とか、何でも聞くっていうよりは、自分の中でいちおう考えて」
シ「うん」
優「こうだと思うけど、これはどうなんだろうか?って相談をもちかけるというか。みんなは『頼ってほしい』っていう気持ちが、どっかにあって」
シ「うんうんうん」
優「各部署の人たちのほうが私よりプロで、聞いたらみんなめちゃくちゃ答えてくれるから、けっこうそういうふうにやっているかな」
シ「なるほど、そうだよね。でも、たとえばもっともっと現場が大きくなっていって、スタッフも増えて、演者も増えて、いろんな身近にあったことがどんどん遠くなるんだよ。向こうは話したくても話せない。お互い気を使って、当たり前だったことができなくなる。で、たぶんもっといっぱいっぱいになってそれどころじゃない、みたいな」
優「なにそれ(笑)怖い話するね」
シ「でも、絶対通ると思うんだよね」
優「うん」
シ「別に経験したわけじゃくて(笑)想像で言ってるけど、でもそうなった時に1回裸の王様になれたら、強いよね」
優「確かに」
シ「あたし、失敗して学ぶタイプの人間だから」

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優「ふふふふ」
シ「失敗は1回しとけ、みたいな。早いうちにしとけっ!みたいな(笑)」
優「(笑)」
シ「その、裸の王様ってどういう状態なんだろう、みたいな。経験しちゃうかもね!(笑)」
優「中学校の時に部活をやっていて、部長をやっていたの」
シ「うん」
優「それが、初めて人の上に立つっていうポジション。それがうまくいかなくて。すごくふさぎこんじゃったんだけど」
シ「うん」
優「その経験が、映画(2017年製作の『少女邂逅』)のもとになって。その時に、すごく反省したというか。中学の頃は自分も未熟だったから。人の上に立つからしっかりしなきゃ、とか」
シ「プレッシャーね」
優「そう、みんなの前でちゃんとしなきゃ、とか。本当だったらもっとみんなに歩み寄って、頼ったりすればよかったんだけど。ひとりでなんとかしようとしちゃって」
シ「うん」
優「当時は幼くて、極端だったから、もう絶対に人の上に立つようなことやりたくない!って」
シ「うん」
優「影で、下で、やっていこう!みたいな気持ちで」
シ「全然いま抑えきれてないじゃん(笑)」
優「(笑)監督やるなんて思ってなかったから、その時の経験がすごく生きていて。監督っていうと、みんな『監督!』って立ててくれるけど」
シ「うん」
優「いちばん何もできないし、みんなに支えてもらって、やりたいことをやらせてもらってるから。いちばん下の立場だな~、っていうのを、たぶんその中学の経験がなかったら、そういう思考になれていなかったかな、と思って」
シ「うんうん」
優「だから、あの時の反省がちょっと生きているというか」
シ「だいぶ生きてるよ(笑)」
優「(笑)」
シ「そういう、当時はうまくいかなかった記憶も経験も、『経験してよかったね』って言えた時に当時のつらい思い出は成仏するなと思っていて」
優「うん」
シ「そういった意味では、何事も無駄じゃないっていうのはわかるんだけど」
優「無駄じゃない」
シ「でもその渦中にいる時は、なんやねん!って思うじゃん」
優「確かに」
シ「たとえば、オーディションで落ちて」
優「うん」
シ「NO!って言われたってことじゃん」
優「そうだね」
シ「そう。そのNOをいままではNOのままで受け止めてきた。だから、ああ、私じゃだめなんだ。この人にとって。みたいな」
優「うん」
シ「でも、そうすると、いつまでたっても、自分が救われないと思って、ちょっと付け足すことにした」
優「どう、付け足すの?」
シ「NO、いまじゃない」
優・シ「あははははは(笑)」
優「でも、本当そうだと思う(笑)」
シ「ずっと、じゃなくて、いま、じゃない!」
優「そうそうそう。たまたま、今回は違っただけで」
シ「そう解釈するようになったら」
優「あ~」
シ「失敗することを怖いと思うのがいちばん、やっぱり怖くて」
優「確かに」
シ「だから、自分の都合のいいように何かを付け足すと、だいぶ楽になる。物事自体は起きちゃうから、無色透明」
優「うん」
シ「それに色を付けているのは、自分自身だなって」
優「うん」

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優「リスクをとることが怖いというのはわかるんだけど、意外とリスクをとったほうが楽しいというか、自己責任のほうが何でも楽しいって思う」
シ「うん」
優「親が『いいよ』って言ったからやっていることよりも、親の反対を押し切っても、お金も自分でやりくりして、頑張るしかないって思ってやったほうが、逃げ道もないし」
シ「うん」
優「何でも、やっぱり覚悟をもってやるから、妥協もできないし、そうなると本当に……たとえばお金のかけ方も細かく考えるし、本当にこれ自分がやりたいの?って何度も自分で考えるし。満足がいくものを作ろうってなるし」
シ「うん」
優「『これ誰かが言ってたから、やってまーす』ってなった瞬間に……たぶん、楽しちゃう」
シ「なるほどな」
優「そう思ったから、いつも極力、自分を追い込むようにしていて。私がやりたいって言ったんだから、私が最後まで責任をもってやる!っていうのが」
シ「うん」
優「最終的に作品がよくなると思って。人のせいにしない」
シ「うん」

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優「したくなるんだけどね(笑)」
シ「したくなるよ~(笑)」

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優「中国の映画祭に行った時に自分の映画を選んでくれた中国のプログラマーの人に言われた言葉が心に残っていて。中国でいちばん大きい映画祭で、その中でかなり低予算の私の映画を選んでくれたから、なんで?と聞いた時に、言われた言葉で」
シ「うん」
優「『僕は日本映画が大好きだったけど、正直いまはあまり好きじゃない。それはたぶん世界中の映画好きみんなが思っていることで、どうしてかというと、日本の映画業界はいま監督にとって必要のない作品を作りすぎているから』」
シ「うん」
優「『たとえばあなたよりもっと年上の監督が、女子高生のキャッキャッした映画を撮っている。それが、その監督にとって切実なものであればいいけれけど、そうではない。映画は確かにビジネスだけど、それだけじゃない』」
シ「うん」
優「『監督の人生にとって、どうしても必要な作品が観たい。そういうものを感じたから、あなたの作品を選んだんだよ』って言ってくれて」
シ「えー、じーんとくる、うれしいね」
優「うん。だからこそ、そういう映画を撮り続けてほしいって言われて」
シ「ふぅ~! しんどいよ~(笑)」
優「そうそう、だから、わたしは、これからも、スタンプラリー的に監督できないなと思って」
シ「うんうん」
優「たとえば、アクションも撮れます、ミステリーも撮れます、実写化もできます、って、技術を披露する職業監督は、無理だなって思って。私が好きな映画監督って……やっていることがいつも一緒だから」
シ「うん」
優「是枝(裕和)さんとかも、たぶん、ずっと一緒」
シ「結果ね」
優「うん、結果的に、『血の繋がり』というものに『そうではない』ものは勝てるのか勝てないのか、っていうことをずっと扱っているし」
シ「うん」
優「西川(美和)監督も、自分の中にある真実と、社会の中で求められている真実があって、食い違った時に、どっちが正しいのかっていうことをずーっと描いていて。監督は無意識なのかもしれないけれど」
シ「うん」
優「でも、人生をかけて追いかけたいものってひとつしかない。それをずっとやれている監督ってすごく作家だなと思っていて」

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シ「私には、すごい研究者に見える」
優「あ、でもそう」
シ「ずっと映画っていうラボ(研究室)にこもって、これをやってみたらどうか、こうしてみたらどうか、って。そして最終的に、1%のひらめきと99%の努力で、どうにかなるんじゃないか、みたいな」
優「ほんと、ほんと。だから自分も、何本か監督して、全部違う話なのに、脚本見た時に『あれ、言ってることが全部一緒!』って」
シ「うん」
優「結果的にこれしかできない」
シ「でも、それに気付いたって強くない?」
優「(笑)そう。それこそ、始めたばっかりの時は、スタンプラリー的に全部やれないとダメなのかって思ってたんだけど」
シ「うん」
優「脚本家の野島伸司さんに、10代の頃にちょっとお世話になっていて、当時相談した時に言われたのが」
シ「うん」
優「そんなの、ファンは求めてないから、って」
シ「おぉ~~!」
優「ファンは、好きな監督とか好きな脚本家の作品を観た時に、あっこの人節がきた!ってなった時にうれしい」
シ「うん!」
優「その人が、何か違うことに挑戦してるのも、別にいいんだけど、それが、たとえば違う自分を見せたいみたいな挑戦をされても、ファンはうれしくない。その人がやりたいことにみんなが共感して、一緒に追いかけているから。だから、わざわざ自分の新しい一面を、みたいなことは思わなくていいんだよ、やりたいことを追求しろって言われて」
シ「深いね~。急に真実を突き付けられたみたいな」
優「そう。そっか、って」
シ「真実はひとつ!」
優「簡単だったなって」
シ「器用になろうとしなくていいってことだね、不器用なまま、自分のいいところをもっともっと伸ばすみたいな。鍛冶屋みたいなことなのかな」
優「鍛冶屋!?(笑)」
シ「うん、磨いて磨いて磨いて、叩いて叩いて叩いて。だって最初は見えないじゃん?刃物に」
優「うん」
シ「で、磨いて磨いて、波紋が出てきて、また調整して調整して、名刀が生まれました、っていう」
優「急に(笑)」
シ「で、その前に叩かなきゃいけないから、叩いて叩いて、火であぶって」
優「詳しい(笑)」
シ「映画作りってそういうことなのかなって」
優「さっき言った西川監督の作品も」
シ「うん」
優「初日に観に行くと、西川監督と同じ歳くらいの観客が多くて」
シ「えー! そうなんだ」
優「たぶん、西川監督の作品をずっと追っている人たちで、西川監督と同じ感覚でみんなも歳を重ねて追いかけてきてて、作品と監督とお客さんが、歳をとって成長していくみたいで、いいなぁって思った」
シ「そうなるといいね」
優「そうなの」
シ「一緒に育っていくじゃないけど、会話してるっていうことだよね、監督とお客さんが、作品を通じて」
優「作品を通じてコミュニケーションできればいいし、だからこそ思うのは、いま26歳で、そろそろ高校生の話が描けなくなってきていて」
シ「なるほど」
優「自分が高校生だった当時の話は描けるの、でもいまの高校生は、感覚がわからない」
シ「そういうことね」
優「でもそれって当たり前だと思って。それはもっと若い子が撮ればいいと思う。私はいま等身大の20代の話は描ける。だから、自分が若い監督として、絶対に大丈夫って思うところで本物を撮っていくほうがいい、っていまは思ってる」
シ「うん」

  ↑ノンフィクション
=========================
       ↓フィクション

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「ふぁぁああああ」

思わずあくびが出た。

幸せなほうのやつ。

時計を見ると4:59になっていた。

空の色もグラデーションになる予兆がうかがえる。

「そろそろ寝よっか」

どちらともなく、そんな言葉を視線で交わす。

「またすぐね」

「おやすみなさい」

そう言ってふたりは別れた。

階段を上る足が重い。

幸せな幸せな、夢の世界へ戻ろう。

THE END

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YUKA EDA
1994年生まれ、群馬県出身。
2017年、初長編作品『少女邂逅』を監督。MOOSICLAB 2017では観客賞を受賞。
香港国際映画祭、上海国際映画祭にも正式招待。
バルセロナ・アジア映画祭にて最優秀監督賞を受賞。
19年、日本映画批評家大賞の新人監督賞も受賞。
そのほか、羊文学「砂漠の君へ」、崎山蒼志「Samidare」などのMV、ショートフィルム
Karin.「Solitude Ability 〜過去と未来の間〜」、
ドラマ24「あのコの夢を見るんです。」(TX系)などにも演出として参加している。
また写真家として、さまざまなアーティスト写真や広告を担当している。

COMINGUP WITH YUKA….

人気シンガーソングライター Karin.が
3月10日に発売する10代ラストとなるアルバム『solitude ability』から
インスパイアされたショートフィルム2本を監督・脚本。
主演に伊藤万理華、小野寺晃良を迎え、「孤独」と向き合い、時に寄り添う
尊さを教えてくれる作品となっている。

3/10(水)20時プレミアム公開
●「solitude ability - 涙の賞味期限 - 」
https://youtu.be/qZRxdgIpgg8

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Maison Alien

スペースシップU.F.O.の中に存在する
宇宙人な住民たちが住む「メゾンエイリアン」

スペースシップの住民たちは昼夜問わず
自由研究をしている。

ドアの向こうは時空を移動している。

NO.231
エンジェルナンバー
「あなたができると信じること、それが実現への第一歩」

P.S.
お互いを物にたとえると

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シェン→優花

「単4の電池」
あるんだけど、ない。
でもないと動かない。

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優花→シェン

「海外のお菓子」
見た目と食べた時の印象が違う。
懐かしい味。

Q「優花ちゃんの作品にキャスティングするなら、私はどんな役で登場しそう?」
A「いままで演じている役もそうだし、私も“普段の生活にいそうじゃない人”にキャスティングするような気がしていて。日常を描いていく中で、この人が出てきて、少し場面が変わる、自分の人生が少し変わる、ような。そういう役」

田中シェン

鹿児島県出身。英語、中国語、日本語を操るトリリンガル。中学生の時からアメリカで学生生活を送る。大学ではファッションを学び、大手アパレル会社に就職。その後、モデルへ転身。インスタグラムでイラストが人気になり、イラストレーターとしても活動中。国民的キャラクターのちびまる子ちゃんとのコラボレーションも。最近は、NHK大河ドラマ「いだてん~オリムピック噺~」(2019年)にも出演するなど女優活動も開始。連載タイトルのU.F.O.には、U. (Undefined) F. (Free-minded) O. (Open heart)、U (update). F (fashion). O (o’clock)など、さまざまな意味が込められている。

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