【Weekly連載 21】ある靴の「繋ぐ」お話。
caoの心の育て方。
今月は、ツナグお話を少し……。
とある国に仕事で訪れた時のこと。ある「靴」と出合いました。
とても古い靴で、その家系に代々引き継がれてきた様子。
サイズはちょうど、女の子が大人になる頃、16才くらいになったら履けるサイズなのかな。
ずいぶん昔につくられた靴なので、デザインもちょっと変わっていて、日本でいうと舞妓さんが履くような感じの靴なの。
そんな靴だから履ける場所が少なくて、合わせる洋服も履くタイミングも限られる靴。けれど、とても大切に、祖母から母へ、母から娘へなどと託されてきています。
その靴が履けるようなお年頃になると「今日、この靴を履きたい気分」という日のタイミングで、その靴を履いて出かけていたよう。
そしてどの方も、出かけた先で、不思議と「良縁」のパートナーに出逢うらしい。
足が勝手に向かうように、靴がそのパートナーの前にエスコートするかのようなんですね。
パートナーとは “人生一片のパートナー“。その女性が、その時の人生を楽しむためにピッタリの男性、という意味合いのパートナーです。
だから出逢う男性が複数人のこともあれば、生涯一人ということもあるようです。
仕事で活躍するタイミングでは、家を守ってくれるような男性と出逢ったり、別れる時も綺麗にお別れしたり。
それはそれはどのストーリーもとても素敵。
その靴には、数々のストーリーが眠っていました。
その靴は、どうやって代々引き継がれていったのか。決して「良縁を結ぶ靴」とは伝えられていないですよ。
譲ってくれた方の生き方を見て、靴とともに、なんとなくその感性を受け取る感じ。
ギフトという言い方で渡されることもあるし、靴のことをベストパートナーと言ったりもしたようです。
靴はあくまでも自分を着飾るアイテムのひとつ。
その靴ありきではなく、自分の力で生きていきなさい、と教えられ、そんなあなただから靴がエスコートしてくれるのよ、と。
大切なことは、自分がそれなりでないと靴も活かされないということ。
靴にすべてを任せれば勝手に運んでくれる、というものではない、と彼女たちも理解しているのでしょうね。
なぜなら、男性に出逢った後は、靴の存在など忘れてしまうほど、自分の人生を濃く楽しんでいらっしゃるんですよ。
わたしがその靴を手にしたとき、
『 貴方が主役です。貴方が輝けば、何処までも貴方をエスコートします。』
と、靴が優しくつぶやいたの。
靴が大切されてきたことの誇りを秘めていらっしゃるような感じがして、靴も、この靴を履く方も、どちらも “何か” を共有していらっしゃる感じが、とても愛おしく、受け継ぐものも大切だと思ったりしてね。
へへっ
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illustration : MARIKO ENOMOTO