ヴェネツィアのドリス・ヴァン・ノッテン財団、4月25日に職人技を集めたお披露目展が開幕。

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自己が創立したブランドから昨年退任したドリス・ヴァン・ノッテン。ヴェネツィアのサン・ポロ地区の運河に面したパラッツォ・ピサーニ・モレッタに、彼の長年の右腕であるパトリック・ファンヘルーヴェと共同で非営利団体のドリス・ヴァン・ノッテン財団を設立した。そこで何を行うのだろうか、と関心を集めていたのだが、4月25日に初の企画展『The only true protest is beaty(美しさだけが真の抗議)』が開幕。これは10月4日までつづく。ヴェネツィアでは4月18日に現代美術の国際展であるヴェネツィア・ビエンナーレ第61回の開催が始まったところなので、とても良いタイミングだ。

ヴェネツィアに開館したドリス・ヴァン・ノッテン財団。ⒸFondation Dries Van Noten

この財団を擁するパラツォは1400年代に建築され、1700年代にゴシック建築で建て替えられ、ヴェネツィアの数あるパラツォの中でもいまもその姿をとどめているという貴重な建物である。展覧会の鑑賞はまず財団のフレンズ(Vivaticketにて。料金は20ユーロ~)になり、その後訪問日時の予約を入れる、という仕組み。一手間かかることにより、興味本位の観光客で財団内に人が溢れるということにはならないだろう。

宮殿内部。これだけでも見どころ十分な財団だ。ⒸFondation Dries Van Noten/ Camilla Glorioso

展覧会はドリス・ヴァン・ノッテンとジーン・ブリュロクトが共同キュレーターを務めている。タイトルは活動家シンガーだったフィル・オクスにインスパイアされたものだそうだ。工芸品、ジュエリー、アート、テキスタイルピース、デザイン、グラフィック、ガラス、陶芸などが、宮殿内の20の部屋に200点以上。これら現代の作品が、宮殿のフレスコ画や家具、漆喰装飾と対話するように展示されている。クラフツマンシップは表現の言語であり、感情の伝達手段。その言葉を体現する仕事として展示されているのはクリスチャン・ラクロワ、コムデギャルソン、ヘアアーティストのジュリアン・ディス、エットーレ・ソットサス、現代アーティストの青木克世、パリで活躍する陶芸家・栗原香織……など、幅広い分野からのセレクションによる50名だ。世界中からの参加に混じり、ガラスのwave murano glassやジュエラーのCodognato(コドニャート)などヴェネツィアを代表する名前も。ドリス・ヴァン・ノッテンの新たな活動を知り、財団を支援する素晴らしい機会となるこの展覧会。期間中にヴェニスを訪問するなら、ぜひ。また、パリから足を延ばす価値も大いにありだ。

大理石の美しさに加え、ムラノグラス、鏡など素晴らしい家具調度品も。ⒸFondation Dries Van Noten/ 
装飾のディテールも見逃さないよう。ⒸFondation Dries Van Noten/ Camilla Glorioso
展示から。ヴェネツィアの職人仕事を代表する、1866年に創業されたコドニャートのジュエリー。スカルのモチーフで知られている。

『The Only True Protest Is Beauty』展
開催中~10月4日
Fondazione Dries Van Noten
Palazzo Pissani Moretta
San Polo 2766, Venezia
https://fondazionedriesvannoten.org/en

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大村 真理子

madameFIGARO.jpコントリビューティング・エディター

東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。2006年から「フィガロジャポン」パリ支局長を務めた後、フリーエディター活動を再開。主な著書は『とっておきパリ左岸ガイド』(玉村豊男氏と共著/中央公論社刊)、『パリ・オペラ座バレエ物語』(CCCメディアハウス刊)。