【フィガロジャポン35周年企画】 バルザック・パリのクリゾリンヌが提案する、郊外の一軒家での暮らし方。

Interiors 2026.04.18

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アールドゥヴィーヴルへの招待 vol.11
2025年、創刊35周年を迎えたフィガロジャポン。モード、カルチャー、ライフスタイルを軸に、豊かに自由に人生を謳歌するパリジェンヌたちの知恵と工夫を伝え続けてきました。その結晶ともいえるフランスの美学を、さまざまな視点からお届けします。

パリジェンヌに人気のブランドを率いるクリゾリンヌ・ドゥ・ガスティーヌは、パリから約1時間の生まれ故郷リールにある一軒家を改装して引っ越した。家族との時間を大切にする彼女が考える家とインテリア、暮らし方とは?

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Chrysoline de Gastines
2014年、夫ヴィクトリアンと義兄弟のシャルルと3人でバルザック・パリを創業し、クリエイティブディレクターに。ヨーロッパで生産、エコ素材を使用するファッションを中心に、ホームコレクションやコスメなど幅広く取り揃えるパリジェンヌ御用達ブランドのひとつ。


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アーチの向こうがキッチンスペース、手前がダイニング。右側はリビングで、すべてひと続きになっている1階。

フランス北部リールはパリからTGVでたった1時間。夫のヴィクトリアン、義兄弟のシャルルとプレタポルテブランド、バルザック・パリを共同創業したクリゾリンヌにとって、それは重要なポイントだった。生まれ故郷のオー=ドゥ=フランス地域圏の首都リールに戻ろうと決意したのは、4人の子どもを育てるのに適した環境だと感じたからだ。パリを東西や南北に移動するよりも短時間で市内中心のオフィスに着くし、夜には落ち着いて家に向かい、家族とのんびり過ごすことができる。

物件探しを始めたのは末っ子のジョルジュを妊娠している時で、素敵な庭付きの300平方メートルの一軒家に巡り合った。とはいえ、自分らしい空間にこだわるクリゾリンヌは室内をフルリノベーションすることにした。1年にわたる改装工事を支えてくれたのはインテリアデザイナーのシリエル・ヴァティンヌだ。それまで住んでいたパリのアパルトマンやリールから近いル・トゥケの別荘をお願いしたことがあり、プロジェクトを重ねるごとに築かれた強い信頼関係で共同作業はスムーズに進んだ。

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カラーオーク材を使用したキッチン。トム・ディクソンのペンダントライトを吊るし、ヴィンテージのクロームガラステーブルをシェニール生地のオーダーメイドベンチとザラ・ホームの椅子が囲む。テーブルの上は、ファーム・リビングの花瓶とセラックスのボウル。

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カラフルなグラスはエキ・ビュスケ・プール・マチュー・ヴェルゴットの「レ・サンジェルマン」

この家の最大のポイントは1階を完全にオープンスペース化したこと。玄関からキッチン、リビングからダイニングにいたるまでドアはひとつもなく、自由に行き来できる。空間にメリハリをつけるために木のアーチを活用した。

「家のあちこちに木材を使いました。白壁やコンクリートの床との対比で自然で温かみのある素材を使い、穏やかな雰囲気を作りたかったのです。カラフルなインテリアを見ると素敵!と思うのですが、自分の表現のベースにあるのは白。白こそが自分の個性を発揮できる色なんです」

実際、この家で窓に降り注ぐ光を受け止めているのは白だ。光がたくさんの鏡に反射し、部屋のすみずみまで届いている。白はさらに家具やオブジェ、ラグ、現代アーティストの作品などを巧みにミックス&マッチさせるためのベースとして完璧だ。

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庭に面した夫妻の寝室。ヘッドボードはオーダーメイドで、ベッドリネンはガブリエル・パリの製品。格子柄の洗面台にはアンティークの鏡、ラ・ボンヌ・ブロスのブラシ、バルザック・パリのコスメ。

「バルザック・パリの店舗と同じ手法です。白をベースにカラーやモチーフ、たとえばレオパード柄や私のベッドルームのヘッドボードのストライプなどを合わせて楽しみます。私はストライプ中毒と言っていいほど、ワードローブもインテリアも縞模様にあふれているんですよ!」

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明るいリビングでは、ピエール・フレイの生地を使ったオーダーメイドのソファが主役。奥のノルディック・ノットのラグの上には、ヴィンテージ家具が巧みに配置されている。ジャンカルロ・ピレッティの「アルキーチェア」、グビで購入したピエール・ポーランの「パシャチェア」、ジャンフランコ・フラッティーニのローテーブル「セザン」など。テーブルの上にはコザン・パリの花瓶、ベロ・エ・ベロの灰皿。壁にはアガット・プルヴォストの作品。

もうひとつ偏愛しているのが、キウイグリーンだ。大好きなこの色はリビングのラグやキッチンのベンチ、玄関のシェニール生地のクッションにも使われている。

「この家が心地いいのは、細部までこだわったからでしょう。家具の一部はオーダーメイドだからもちろん好みどおりですが、自分たちのライフスタイルも考慮しました。キッチンはすべてが綿密な計算に基づいています。上階にある娘コロンブの寝室では機能的なベッドを考案しました。大きな引き出しがふたつ付いていて、持ち物をさっと片付けられるようになっています。リビングのソファとスチール書棚もオーダーメイドです。ヴィンテージ家具もあって、カッシーナによるジャンフランコ・フラッティーニのミラーローテーブル『セザン』や、ジャンカルロ・ピレッティがデザインした『アルキーチェア』を置きました。ダイニングでは義姉妹のブランド、ガブリエル・パリの製品であるラッカー塗装テーブルに、マテオ・グラッシのヴィンテージチェアを合わせています。このようにオーダーメイドと新しいもの、ヴィンテージとの組み合わせが家の個性を作っているんです」

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オーダーメイドの本棚には、アンドクレベリンの花瓶にリールのフロリスト、デュブケのアレンジメントを飾った。ディ・フレットのランプ、ファーム・リビングとアンティークの花瓶、ザラ・ホームのボウルも並ぶ。

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緑豊かな庭の植栽は日本庭園をイメージ。

庭もこの家の魅力を増している要素のひとつだ。どの部屋からも花や植物が見え、特に1階に設けられた夫妻のベッドルームはたっぷりの自然に囲まれていて、庭と室内が渾然一体となっている。

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テラスにもうひとつダイニングテーブルがある。子どもたちは庭のトランポリンで遊ぶことも多い。

「当初、デザイナーのシリエル・ヴァティンヌからは私たちのベッドルームを上階に置いて、バスルームとクローゼットを併設するよう勧められました。でも、できるだけ庭の近くにいたいと思ったのです。朝、窓を開けてすぐ庭を感じられるように」

結果として2階は4人の子どもたち─ギャランス、コロンブ、ラザール、ジョルジュのスペースとなった。それぞれが個室を持ち、一緒に遊ぶ共同スペースもある。大人も子どもも気分や時間帯に応じて一緒にいたり、別々に過ごしたり。屋外でも屋内でも居心地がいい家なのだ。

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木の暖炉はもともとこの家にあったもの。いまも現役で、冬の日には温もりのある場所となる。棚には家族の絵やヴィンテージの彫刻が置かれ、壁にはドロテ・サルトリウスの作品。

そして、バルザック・パリは2025年12月に地元リールにも店舗をオープンした。店内にはブランド初の花瓶などの製品も並んでいる。アールドゥヴィーヴルの世界へ向けたさらなる一歩こそ、クリゾリンヌ・ドゥ・ガスティーヌの願いなのだ。

*「フィガロジャポン」2025年4月号より抜粋

photography: Matias Indjic (Madame Figaro) text: Caroline Appert (Madame Figaro)

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