宮崎駿の特別企画展が大人気、LAのアカデミー映画博物館。

Travel 2021.12.01

稲石千奈美

From Pen Online

211126-la-academy-01.jpgアカデミー映画博物館開館記念特別展として話題と人気が彷彿する「宮崎駿展」は同監督初の大型北米回顧展だ。photo: @uma._kv

去る9月、パンデミックにより延期を繰り返した末についにオープンしたロサンゼルスのアカデミー映画博物館。その開館記念特別企画展は「宮崎駿展」が飾った。2022年6月まで開催される展示は4階特別展示ギャラリーにあり、開館直後に、多くのジブリファンが真っ先に駆けつけた。

ジブリスタジオとのコラボによって実現した人気展というだけあって、特別展ギャラリーの前では入室を待つ行列が絶えない。扉を開けると森の中をくぐるトンネル仕掛けは吉祥寺のジブリミュージアムに似ていて、これからトトロやナウシカ、キキが待つジブリの世界に入るよというリマインダーだ。

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211126-la-academy-03.jpg展示ギャラリーを入ると、まず森の木の中を通って入るような体験型のインスタレーション。ギャラリーには寝転んで空を仰げる寛ぎの「草原」もある。photo: Joshua White, JWPictures/©︎Academy Museum Foundation

北米初の宮崎駿回顧展は300点を超えるスケッチやセル、ストーリーボード、映像でその50年間にわたるオートゥアとしてのキャリアを紹介する。ジブリが創作する青い海と空、森の緑、飛行機が飛び交うマジカルな世界に加え、マザーツリーの空間や、寝転がって雲がゆっくり移動するジブリの空を仰ぐ体験型インスタレーションも印象的だ。ジブリワールドで描かれる変遷の物語は、絵やアニメになったビジュアルのみでなく、宮崎監督直筆の詩やストーリーボードにメモされた言葉にも感じられる。監督が『千と千尋の神隠し』で長編アニメ作品賞、続いてアカデミー名誉賞受賞で手にしたオスカー像も展示している。

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211126-la-academy-04.jpgジブリマジックを体験するインスタレーション、マザーツリー。photo: Joshua White, JWPictures/©︎Academy Museum Foundation

展示開催期間中は館内のシアターでジブリ映画を常時上映しており、最新設備の美しいシアターでお気に入りのジブリ映画の鑑賞が叶う。

ミュージアムショップではこの回顧展図録(49.95ドル)のほか、ロサンゼルスのミッドセンチュリー家具専門店モダニカとコラボしたジブリデザインの椅子(5種類、各100脚限定 600ドル〜)など博物館限定の商品も販売中。

展示を観終わったらトライしたいのが、アカデミー博物館ならではのアトラクション「オスカーエクスペリエンス」だ。アカデミー賞受賞の模擬体験で、スタジオに入り演台に立つと前には授賞式会場の観客映像があり、「アカデミー賞受賞は。。。」と字幕の流れるスクリーンに自分で登録した名前が映し出されたら、喝釆の観客を前に本物と同じオスカー像を手にとって喜んでみる。このなりきりの様子が動画として後で送られてくるのだ。エクスペリエンスは、入館料とは別に15ドルでの予約購入必要だが、意外と思いオスカー像を手にする価値はある。

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211126-la-academy-05.jpg来館したら、ぜひオスカーエクスペリエンスでは本物のオスカー像を手に取れる授賞式体験を。photo: @uma._kv

アカデミー博物館の一階ロビーにはオリジナルグッズのほか、ロサンゼルスのアーティストやブランドとコラボした博物館限定商品を販売しているミュージアムショップ、カフェ・レストランのファニーズがある。入館チケットが不要なので、地元の映画ファンの御贔屓レストランとしても機能しそうだ。

211126-la-academy-06.jpg1今後の本格営業ではカジュアルなカフェ、シックなレストラン、バーラウンジと使い分けができるようになる、ファニーズでは季節のカリフォルニア料理を提供。photo: @uma._kv

企画段階から何度も大小のトラブルを乗り越えて、ようやくオープンに漕ぎ着けたアカデミー映画博物館は、映画の現実と将来を真摯に見つめる映画関係者からも、映画ファンからも、映画と日常が切り離せないロサンゼルスの街からも歓迎され、オープニングの祝賀モードと勢いはパンデミック回復の機動力になっている。

アカデミー映画博物館
www.academymuseum.org

 

稲石千奈美

在LAカルチャーコレスポンデント。多様性みなぎる都会とゆるりとした自然が当然のように日常で交差するシティ・オブ・エンジェルスがたまらなく好き。アーティストのアトリエからNASA研究室まで、ジャーナリストの特権ありきで見聞するストーリーをエディトリアルやドキュメンタリーで共有できることを幸せと思い続けている。

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