この夏はガルニエ宮で、インサイド・オペラとピカソ展を。

パリとバレエとオペラ座と。

1. インサイド・オペラでオペラ座の怪人に挑む

6月から始まり人気を呼んでいるインサイド・オペラ。これはオペラ座内で展開されるゲームで、オペラ座やバレエなどにまったく知識がなくても楽しめる。新しいコンセプトでオペラ・ガルニエの訪問とは異なる視線で劇場内を眺められるので、大人も子どもも退屈しないようだ。

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インサイド・オペラのチケットは参加時に購入もできるし、予約もできる。
www.inside-infos.fr/opera/en/index.php

モーツァルトのオペラ『魔笛』の楽譜の一部が初演の前夜に消えてしまった。オペラ座の怪人の呪いのようだ。パニックに陥るオペラ座。そこに怪人から8つの謎が突きつけられる。これが解けない限りは上演できない……。そこでインサイド・オペラの参加者が謎解きに挑戦して、失われた楽譜(8つの音符)を見つける、というゲームである。

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参加者には仮面と解くべき8つの謎を書いたオペラ座の怪人からの挑戦状(英仏2カ国語あり)が渡される。

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1時間ごとに入場者全員でスタートするが、謎解きは8つの順を問わず個人の自由なペースで進められる。© David Merle

ガルニエ宮内を上へ下へと歩き回って大理石、絵画、彫刻で飾られた建築の中に秘められた8つの謎の答えを探す参加者。18世紀風のコスチュームをつけた俳優たちが随所にいて、ジェスチャーでさりげなくヒントをくれる。彼らとやりとりしていると、なんだか、映画の撮影現場にもぐりこんだような錯覚がするのも面白い。最後は参加者が失われた楽譜を見つけ、めでたく……となり、ミニ・コンサートへ。ここでもまだ遊びが続いて、最後まで参加者を楽しませてくれる。

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コスチュームをつけた俳優たちが劇場内のあちこちに。何が始まったのかと、ちょっとびっくりしつつも珍しさゆえにカメラを向ける一般見学者も少なくない。

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最後はゲームの参加者も演奏に招かれて……。

1時間のゲームだが、時間制限はあってないようなもの。ゲームの終了後は、自由に劇場内を散歩し、さらに館内で開催されている『ピカソとバレエ』展も見ることもできる。参加者の中には劇場の美しさに魅入られ、あるいは謎解きに疲れ、途中でゲームをリタイアして見学に回る人も。開催は9月2日までだが、好評ゆえに延長される予定があるらしい。

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オペラ・ガルニエ内。謎解きの答えを求めて劇場内を眺めるうち、見学に熱心になってしまうゲームの参加者もいるほどの美しさだ。photos:Mariko Omura

Inside Opéra(インサイド・オペラ)
入り口 オペラ座正面左手
開)10:00〜17:30(最終入場は16:30)
休)月・火
料金:28ユーロ(大人)、22ユーロ(14歳以下)
www.inside-infos.fr/opera/en/index.php

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2. ピカソとダンスの思いがけない関係

画家パブロ・ピカソ(1881〜1973)の名を聞いて、代表作『ゲルニカ』を思うか、彼の青の時代を思うか、あるいは彼の多彩な女性交遊を思うか。しかし、あまり彼とダンスを結びつける人は多くないだろう。いま、オペラ・ガルニエ内の国立図書館&ミュージアムでは『ピカソとダンス』と題した展覧会を開催している。

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ポスターにも使われている『Grand nu dansant』(1962年)。BnF, Estampes et photographie © Succession Picasso 2018

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ピカソがバレエ・リュスと近しかった時代のデッサン。『Trois danseuses』(1919-1920) Musée national Picasso-Paris, Dation Pablo Picasso, 1979 ©Succession Picasso 2018

展示作品は約130点で、「バレエ・リュス」「バレエ作品のための仕事」「ダンスを描く」「ダンスからダンスの仕草へ」という4部構成。前半はマレのピカソ美術館で昨年開催された『オルガ・ピカソ』展でも見ることができたが、結婚することになるオルガも属していたバレエ・リュスとの出会い、そしてバレエ作品のための舞台芸術やコスチュームの仕事を紹介している。1915年に遡るピカソとバレエ・リュスの関係。両者を結びつけたのはジャン・コクトーだ。バレエ・リュスの仕事をしたいと渇望していたコクトーが、著名なピカソを巻きこむことができたおかげでバレエ・リュスの団長セルゲイ・ディアギレフの覚えめでたく……という背景がある。

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展覧会の入り口で「パラード」のキュビスム的衣装に迎えられる。

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「パラード」の緞帳のためのプロジェクト(1916〜1917)。Musée national Picasso-Paris, Dation Pablo picasso, 1979, MP1557©Succession Picasso 2018

ピカソのほうはといえば、1917年にパリで初演された『パラード』の衣装、緞帳、舞台装置を手がけることになり、そこで最初の妻となるバレエ団のダンサー、オルガ・コクローヴァと知り合うのだ。バレエ・リュスとの仕事の6作品を含め、ピカソが関わったバレエ作品は合計で10。1970年代以降、その10作品の中から『パラード』『三角帽子』『青列車』『イカール』『ル・ランデヴー』がオペラ座のレパートリー入りをしている。展覧会場ではこうした作品の衣装、デッサンなどを展示。

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バレエ『プルチネラ』(1920年頃)の舞台装置のための習作。BnF/Bibliothèque-musée de l'Opéra,© Succession Picasso 2018

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バレエ『三角帽子』を踊るジョゼ・マルチネーズ(2009年)。©Ann Ray/ Opéra national de Paris ©Succession Picasso 2018

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『三角帽子』は衣装も展示。

後半はバレエに限らず、ダンス一般とピカソの関わりについての展示に当てられている。バレエ・リュスと出会うよりずっと前の1890年代末、ボヘミアン時代の彼の作品に登場したのはミュージックホールやコンサートホールの踊り子たち。その後も彼は幅広くダンスをとらえて作品に反映した。「ダンスを描く」ではサーカス、神話、闘牛、ダンスのエロティックなパワーの4項目に分けて、ピカソの作品を紹介している。これまでダンスと結びつけていなかった作品を新たな視線で鑑賞する良い機会だ。

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「ダンスを描く」のコーナーより。

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『Deux danseurs』(1925年)。ピカソの作品からのリプロダクション。BnF, Réserve des livres rares ©Succession Picasso 2018

庶民的な祭りのダンスも社交界のパーティも好んだピカソ。ダンスは彼の人生についてまわった。1949年に雑誌『LIFE』のためにジョン・ミリが撮影した写真では、ピカソの動きの中にダンスを感じることができて……まさに、『ピカソとダンス』展。これはオペラ座内でピカソの作品に触れるのに、最適のテーマと言っていいだろう。

『Picasso et la danse(ピカソとダンス)』展
会期:開催中〜2018年9月16日
会場:Bibliothèque-Musée de l’Opéra
Palais Garnier
Rue Scribe/Rue Auber
75009 Paris
開)10:00〜17:00
料金:ガルニエ宮見学(12ユーロ)に含まれる。
大村真理子 Mariko Omura
madameFIGARO.jpコントリビューティングエディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。

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