ノルマンディーへの冬旅、ふたつのマルシェで旬のお買い物。
パリのマルシェとレシピ。
2020年があっという間に終わり、新たな年を迎えましたね。みなさま、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
ノエルのヴァカンスは、パリを抜け出してノルマンディーのドーヴィルですごしてきました。
日々の閉塞的な暮らしに疲れてくると、自然の中、人の少ない遠いところにどうしても行きたくなってしまいます。
今日は、ノルマンディーのマルシェをご紹介します。
到着してすぐ夕飯の食材を買いにトゥルーヴィルの魚市場へ。この建物の中に10軒ほどの魚屋が。裏手には海から繋がる川が流れ、横付けされた船から大量のホタテや魚が水揚げされています。
23日はまだ静かで、ノエルの下見や注文をする人たちがちらほら。
ここのスペシャリテの活ホタテが安い! 夜はカルパッチョとガーリックバターをのせたオーブン焼きにしました。もう、たまりません!!!
ノエル当日は店の横に大きなテントが設えてあり、買い物客の行列が。地元民やヴァカンス客の注文をさばくのに大わらわで、カキ剥きのスペースはもう殺気立ってます。
予算を言って、盛り合わせを作ってもらいました。
どの店も盛大な甲殻祭りを繰り広げております。レストランが閉まっているので、今年は特に繁盛しているそう。
パリのマルシェではなかなかお目にかかれないキングクラブ(タラバ蟹)。
これもノエルの花形、活オーマルのほかに伊勢エビも立派なこと!
飛び跳ねるエビ、ウニもごちそうだ!
カキもノエルには欠かせないもの。ノルマンディー作戦で有名なUtah Beach(ユタビーチ)特産のほか、スターシェフご用達、大西洋側から来るGillardeau(ジラルドー)のカキまで。
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魚介を一通り買った後は、対岸のドーヴィルのマルシェへ。
夏のヴァカンスで、いつも買い物をしている農家のおばあちゃんたちも元気でよかった!
10種類ほどあるリンゴのプレートにはコンポート用、タルト用、酸味あり、甘くてジューシーなど、ひとつひとつの特徴と用途が書いてあります。
宿り木があってうれしい!うれしい! 畑の横にある木の中で育ったものを持ってきたそうな。Gui(ギ)と呼ばれるフランスの年越しには欠かせない縁起物なので、大きな束を買って帰ってきました。
隣は地元のハチミツのスタンド。これは、Miel en Rayon(ミエル・アン・レイヨン)のコームハニー。プロポリスたっぷりで美肌効果、殺菌や抗酸化作用があるスーパーフード。ハチの巣蜜を丸ごとなんて、いかにも養蜂家らしい。
エピスリーには、フォアグラのパテやソーセージ。Cèpes(セップ)茸入りのものをアペロ用に。
ソーセージの隣には、地酒のシードルやカルバドスが揃っています。
地産で有名なのは、Isigny(イジニー)のバターやPont L’Eveque(ポン・レヴェック)のチーズ。気になったのは、カルバドス入りのカマンベールチーズ。
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さて、買い出しの帰り道。
デコレーションされたノルマンディースタイルの市役所。
街の名所のひとつ、ホテル・バリエール・ル・ノルマンディーは残念ながら門を閉ざしています。
マリーナに停泊しているクルーザーでノエルや年越しを祝うためにシャンパーニュをたくさん運び込んでいる人たちがいました。まあ、素敵!
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ランチの後は海へ。
どんなに寒くてもやっぱり海はいい。強い潮風に洗われて心身ともにリセットできた気分に。
晴れたり曇ったり、ときおり通り雨のノルマンディーらしいお天気のなかでも毎日の散歩は楽しいもの。クロード・ルルーシュの映画『男と女』で有名な板張りのビーチはいつも人気のスポットです。
街の至る所にある写真フェスティバルのexpoが目を楽しませてくれます。
リフレッシュした海辺のプチヴァカンスも終わり、写真を見ながらパリで懐かしむ日々です。
今日は冬の料理教室でよく作っていた簡単なデザートをご紹介します。
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■黒ゴマのパンナコッタとキンカンのグラニテ
Petite crème au sésame noir et granité de kumquat
黒ゴマペースト(練りゴマ) 大さじ2
牛乳または豆乳 300cc
生クリーム 300cc(あっさりがお好みでしたら、同じ分量の牛乳か豆乳で)
砂糖 40g
アガアガ(粉寒天) 小さじ1
水 大さじ1
ミント 少々
ーシロップ
キンカン 6個
砂糖 30g
水 100cc
日本酒または好みのリキュール 大さじ1
ー 作り方
1. キンカンをスライスして、砂糖30g、水100ccと一緒に小鍋に入れて沸騰させてから火を止め、日本酒を加える。常温で冷ましてから冷凍庫で凍らせる。
2. ボウルに黒ゴマペーストを入れ、牛乳を少しずつ注ぎながら泡だて器で混ぜ溶かし、目の細かいザルや茶漉しで濾しながら鍋に入れる。生クリームと砂糖を加えて中火にかける。小さな容器に、アガアガと水大さじ1を混ぜ合わせて、鍋の中に加え、混ぜて沸騰させてから火を止める。2分くらい置いてからグラスに注ぎ、冷めたら冷蔵庫で冷やす。
3. 2が固まったら、1を冷凍庫から出してフォークで混ぜて、パンナコッタの上にのせ、ミントなどのハーブを飾る。
そもそも、グラニテを上にのせたのは、2時間の料理レッスンの間、シロップを冷やす時間短縮のために冷凍庫に入れたまますっかり忘れてしまい、それをのせてみた、というのが始まり。
たまたま、その時作ったお鍋の後の火照った身体に、それがおいしくて好評だったのです。なので、もちろんただ冷やしただけでも十分です。
ゴマは冬にこそ摂りたいエナジーフード、そしてキンカンのおいしい時季にぜひ楽しんでください。
152, Boulevard Fernand Moureaux 14360 TROUVILLE-SUR-MER
アクセス)SNCF Trouville-Deauville駅より徒歩10分
営)9時~19時
無休
Place du Marché 14800 DEAUVILLE
アクセス)SNCF Trouville-Deauville駅より徒歩10分
営)7時~13時
休)月、水、木 ※夏季は毎日営業
料理クリエイター
長い間モードの仕事に携わった後、2003年に渡仏。料理学校でフランス料理のCAP(職業適性国家資格)を取得。 パリで日本料理教室やデモンストレーション、東京でフランス料理教室を開催。フランスの料理専門誌や料理本で、レシピ&スタイリングを担当。16年春、ベジタリアン向けの料理本『LA CUISINE VEGETARIENNE』をフランス全土と海外県、ベルギー、スイス、イギリスなどのヨーロッパ各地で発売。この連載をまとめた『パリのマルシェを歩く』(CCCメディアハウス刊)が発売中。
Instagram : @haradasachiyo