XngHan&Xoul（スンハンアンドソウル）、愛するソウルと。

クールでモード、そして超絶技巧。Xoul（ソウル）と呼ぶクリエイティブクルーと新しいアーティストの形を模索し始めたXngHan（スンハン）とソウル街案内する。本誌2月号未掲載カットとともにインタビューをお届け。XngHanが案内するソウルのアドレスはフィガロジャポン2月号でチェックして。>>購入はこちら。

コート¥126,500、トップ￥286,000、パンツ各￥484,000、バッグ「ポケット ナッパレザーバッグ」（H18.5×W22×D7cm）￥489,500（すべて予定価格）／以上ミュウミュウ（ミュウミュウクライアントサービス）　その他／スタイリスト私物

編集部がXngHanに初めて出会ったのは、東京ドームで開催された『SMTOWN LIVE 2025 in TOKYO』。ステージの強烈な光の中で彼は驚くほど研ぎ澄まされていた。伸びやかな歌声と、身体のラインは自由に波打ちながらも軸のあるダンス。そして、ネイルまで美意識が行き届いたファッションセンス。XngHanは2025年にアーティスト、XngHan&Xoul（スンハンアンドソウル）として歩み始めた。Xoulは、彼と活動をともにするクリエイティブクルー。曲や作品ごとにメンバーが変化する創造的なチームであり、彼の個としての表現を最大化する装置でもある。「ソロとして新しく生まれ変わるなら、常に変わる姿を見せたいと思った」と、コンセプトを話してくれた。

レザーシャツ￥1,705,000、タイ￥77,000／ともにボッテガ・ヴェネタ（ボッテガ・ヴェネタ ジャパン）　その他／スタイリスト私物

雑踏に潜むソウルの静寂を味方に。

今回は、彼の好きなソウルの街を歩きながら撮影。街の魅力を尋ねると、「ソウルは街全体も人々も、せわしなく生きているように見えると思いますが、ヒーリング効果のある漢江や石村湖（ソクチョンホス）、ソウルの森がある。忙しい生活の中でも余裕を取り戻せるスポットがあるところが魅力だと思います」

そこでは音楽を聴きながら、ぼんやりと景色を眺めるのが好きだと言う。「漢江や石村湖、水のある場所が特に好きです。ただ座っているだけで気分が軽くなる。水辺に行くと自分の心も整う気がします」

25年の休暇に選んだのも済州（チェジュ）。「海を見ながら風に当たりたくて出かけたのですが、水がゆらゆらするのを見ながら心静かに過ごしました」と、穏やかに語った。

ジャケット￥277,200、トップ￥103,400、パンツ￥220,200、ネックレス￥52,800、ベルト￥61,600、シューズ￥225,500／以上サンローラン バイ アンソニー・ヴァカレロ（サンローラン クライアントサービス）　その他／スタイリスト私物

チームとして輝く新しいアーティストの形。

彼のパワースポットである漢江での撮影を終えると、映画館、ミュージックバーへと移動した。歩きながら、自身のアーティスト活動の話に。ロールモデルを尋ねると、G-DRAGONとTAEYANG、ふたりの名前を挙げた。

「ソロでやっていても大きな会場を埋めるエナジーのあるアーティスト。ステージで生まれる躍動感や存在感がカッコ良くて、ステージの映像を探して見ては、僕も練習を繰り返しています」

デビューシングル「Waste No Time」では、同世代のダンサー、キョホンとユルとともに制作に臨んだ。「ふたりとも同年代で、興味のあるものが似ていました。お互いに"ウッシャウッシャ（気持ちを合わせて頑張る時の表現）"しながら頑張れた。Xoulというクルーとチームを作る時、同世代であることも大切にしているんです。同じ時代を生きてきたということは、共感できるポイントも多い。感覚や感性がピッタリと合うことが活動において重要だと考えています」

コート￥521,400／バーバリー（バーバリー・ジャパン）　その他／スタイリスト私物

2000～10年代のK-POPの発信が好き。

悩みがある時に足を運ぶエリアは梨泰院だと言う。「ファッションや音楽の方向性に悩む時、梨泰院に行くと自由になれる感じがして、新しい方向性が見えるんです。街にはいろんなジャンルの音楽が流れていて、こんな音楽やファッションの作り方もあるのだとヒントをもらうことがあります」

自分の強みについては、「冷静な視点とオープンマインドな姿勢」と即答。「頑固な部分もありますが、意見をもらったら柔軟に変わることができるのが長所だと思います」そのしなやかさこそが、XngHan&Xoulという新しい表現体の骨格を作るのだろう。K-POPについての視点も、彼らしい観察と美意識に満ちていた。

「東方神起先輩やBIGBANG先輩がリードしていた2000～10年代のK-POPが好きです。曲やグループのコンセプトがはっきりしていた時代。僕は、ステージに立つこともひとつの芸術だと思っているからこそ、舞台で見せるものは明確にみなさんに提示したい」

交ざり合い、拡張し続ける現在のK-POPの流れの中で、自分だけにしかできない表現にこだわり続ける。そんな彼は、どんな未来を描いているのだろうか。「30代、40代になってもフレッシュなおじさんでいたいです。Roo'Raというグループで活動されたイ・サンミンさんは、いま『知ってるお兄さん』というバラエティ番組に出演されていて人気を得ています。素敵に年齢を重ねていらっしゃると思うんです。イ・サンミンさんのように自分のスタイルがありながら、常に新しいものを受け入れることができる大人はカッコ良いと思います」

服も自分色を表す手段のひとつと、古書やヴィンテージが集まる東廟市場の賑わいの中で、楽しそうに散策した。撮影が終わると被っていたキャップを脱いで深々とおじきをし、スタッフ全員の目を見て感謝の気持ちを伝え帰っていった。音楽だけではなくファッションも、街も、仲間も。絶えず変化し進化することを目指しながら、自分の軸を研ぎ澄ませていく。それがXngHanというアーティストの生き方のように思えた。

＊「フィガロジャポン」2026年2月号より抜粋