自分を整えるバカンス直前! フランス流、夏のハーブの取り入れ方。

Paris

もうすぐ夏のバカンス。22時まで明るいパリの街では、人々が来たる休暇に胸を弾ませながら、仕事に遊びにと忙しい日々を送っている。そんな季節、フランス人たちの多くが「自分を整える」ために自然に取り入れているのがハーブや植物の力だ。パリ在住約20年、フランス人たちと働きながら暮らしてきた植物療法士が、フランス流の夏のセルフケアと、日本でも実践できるハーブの取り入れ方をご紹介。この夏は、日本にいながら“フレンチマインド”を取り入れてみませんか。


早朝のニースの海辺。朝食後の時間になると、家族連れでワイワイしたり、本を数冊抱えてやってくる人も。人それぞれの海辺の楽しみ方がある。©︎maki kotabe

6月のパリ。20時を過ぎてもまだ明るい空の下、テラス席は仕事帰りの人々で埋まっている。グラスを片手に語られる話題は、「今年のバカンスはどこへ行く?」だ。
フランスは6月に入ると、街の空気が少しずつ変わり始める。学校や多くの企業にとっては年度末にあたり、多くの人が7月、8月の長い夏休みを前に慌ただしくなる時期だ。仕事では休暇前に終わらせておきたい案件が重なり、9月の新年度へ向けた準備も始まる。一方で、そんな忙しい時期にも、フランス人は楽しむことを忘れない。同僚や友人たちとアペロやディナーを楽しみ、テラス席では人々の笑い声が響く。「あと少し頑張ればバカンスだね!」そんな会話が聞こえてくるのも、この季節ならではの風景だ。

フランス人にとってバカンスは、単に子どもの夏休みに付き合うためのものでも、家族サービスのためだけのものでもない。来たる9月の新学期、新年度を迎える前に、自分自身を整えるための時間でもある。海辺でのんびり過ごす人もいれば、山へハイキングに出かける人もいる。本を何冊も持って旅に出る人もいれば、家族や友人との時間をゆっくり楽しむ人、観光に出かける人もいる。日常から少し距離を置き、心と身体を休ませる。そして新しい発見や刺激を持ち帰る。フランスのバカンスには、そんな意味が込められている。


夏を心地よく過ごすための植物の知恵。

こうした「自分を整える」のなかで、フランスの暮らしに自然に寄り添っているものがある。それが植物だ。夏が近づくと薬局には日焼け止めがずらりと並ぶ。フランスでも紫外線対策は夏の必須事項だ。その隣には、ラベンダーウォーターやカモミールウォーター、カレンデュラを使ったアフターサンケア製品が並ぶ。シトロネラなどを使った虫除けも定番だ。さらに旅行シーズンらしく、ペパーミントやサイプレスを配合した脚用ジェルも人気だ。植物の特性を活かした製品は、フランスでは特別な自然療法というよりも、季節を快適に過ごすための日用品として親しまれている。不調を治すというより、心地よく過ごすために植物の有効成分を取り入れる。そんな距離感がフランスらしい。


虫刺されや植物よるかぶれを防ぐスプレーと鎮静ジェル。どちらも精油が使われている。
足を軽くするリフレッシュスプレーとジェル。こちらも精油や植物の成分が使われている。


南仏では、植物が風景の一部になる
プロヴァンスを訪れると、その理由がよくわかる。ラベンダー畑が広がる風景は有名だ。植物は観光資源という一面もあるが、日常に根付いたものでもある。市場にはローズマリーやタイムが並び、庭先にはラベンダーが咲き、レストランではハーブをたっぷり使った料理が供される。植物は特別な健康法ではなく、暮らしの知恵なのである。

日本ではラベンダーというと「リラックスの香り」というイメージが強いかもしれない。フランスでは、香りを楽しむだけでなく、夏の暮らしのなかでさまざまな形で活用されている。肌のケア、ちょっとした傷の修復にも使われている。ミントの爽やかな香りは暑い季節の気分転換だけでなく、消化にも役立つ。ローズマリーは料理だけでなく日々のセルフケアにも。植物療法は生活の背景に何気なく存在しながら、人々の夏を支えている。

南フランスのラベンダー畑。畑の中を歩いていると、可憐な紫の花に包まれ夢心地になる。
©︎maki kotabe

日本の夏に取り入れたい、フランス流の植物療法との付き合い方。

近年、日本の夏は年々厳しさを増している。猛暑や熱帯夜、冷房による冷えやむくみなど、身体への負担も大きい。だからこそ、暑さとともに生きるフランスの植物療法には学べることがある。大切なのは、何か特別なことをすることではない。一日の終わりにハーブティーを飲む。香りを楽しみ、心身を緩めて睡眠へ導く。ハーブで食べすぎた後の消化促進を促す。そんな小さな習慣が、夏を少しだけ心地よくしてくれる。植物は魔法ではない。けれど忙しい毎日のなかに、小さな余白をつくってくれる存在なのかもしれない。



フランスの植物療法から学ぶ、パリ発・夏のハーブケア。

そんなフランスの夏の植物療法を、日本の暮らしに取り入れるためのオンライン講座が開催される。ヨーロッパの暮らしを発信するtoc toc主催の「夏のハーブケア」講座だ。講師を務めるのは、パリ在住の植物療法士 maki。全3回の講座では、フランスの植物療法をベースに、日本でも取り入れやすいハーブや精油の活用法を紹介する。

テーマは、夏に起こりやすい不調へのセルフケア。むくみや消化の不快感、暑さによる疲労感などを取り上げながら、ハーブティーや精油を使った具体的な方法を学ぶ。
また、フランス人がどのように植物を暮らしに取り入れているのか、夏の過ごし方についても紹介する予定だ。ハーブを学ぶだけではなく、フランスの夏を旅するような時間になるかもしれない。今年の夏は、植物とともに心地よく過ごすヒントを見つけてみてはいかがだろうか。

©︎yurie furuya

「夏のハーブケア」講座
日程:2026年6月12日(金)、19日(金)、26日(金)の全3回
時間:20:00~21:00(日本時間)13:00~14:00(フランス時間)
3回ともオンラインのみの実施。当日の参加ができない場合はアーカイブ視聴が可能。お問い合わせ、お申し込みは、toc tocのサイトにて6月10日まで受付中。
https://www.mytoctoc222.com/lessonmakisummer


  • text: Maki Kotabe